【2018年未来へ】声あげる若者 多摩都市モノレール せめて通学定期安く

【2018年未来へ】声あげる若者 多摩都市モノレール せめて通学定期安く
大企業・財界ファーストの安倍政権のもと、高学費に苦しむ学生や非正規・長時間労働に将来を見いだせない若者が増えています。そんな中、よりよい未来を求めて現状を変えようと声をあげる青年に焦点を当てました。
 
 
中央大学2年 尾林哲矢さん(20)
 
入学試験を突破し、念願の大学に入学。次に待ち受けるのが、年間100万円を超える初年度納入金という大きな壁です。負担しきれない家庭では、将来の夢を抱いて入学した学生たちも、睡眠時間を削ってアルバイトに精を出さなければなりません。
 
そうした学生たちの中に、せめて通学の足となる多摩都市モノレールの高額な運賃、通学定期代を下げてほしいと、署名を集めて都に陳情を提出した学生がいます。今年成人を迎える中央大学(八王子市)2年生の尾林哲矢さん(20)です。
 
他の路線より高く
同大の初年度納入金は、文系で約124万円、理系では約178万円。その上、多摩モノの運賃は、他の鉄道事業者と比べてみても、同距離の通学定期券で京王電鉄の約3倍超も高く、学生の大きな負担です(表参照)。
 
同大多摩キャンパスに通う学生によく利用される、JRとの乗り換え駅「立川南」から「中央大学・明星大学」駅間(7・4㌔㍍)は、片道360円。定期券を購入しても月平均7000円前後にもなります。
 
尾林さんは「多摩キャンパスの学生の間には、高過ぎるという空気があります。京王線から乗り換える学生の中には、多摩動物公園駅から一駅100円でも、節約するために15分ぐらいかけて歩く人もいます」と話します。
 
尾林さんは友人と相談して「運賃を下げようの会」を立ち上げ、都に値下げを求める陳情をすることにしました。昨年7月の都議選前に都議会各会派に行った運賃についての公開質問の回答(自民、公明は妥当、共産、ネットは高い、都ファは回答なし)をポスターにしてキャンパスに張り出したところ、大きな反響もありました。
 
バイトで睡眠削る
スポーツサークルのメンバーは、無料通信アプリ・ラインで「みんな署名しよう!」と呼びかけ、短文投稿サイトのツイッターでも「モノレール運賃値下げ署名なんてあるんだ」などの投稿が飛び交いました。署名は短期間に290人から寄せられ、都議会に届けました。昨年12月議会で採決され、共産党は賛成しましたが、都民ファーストの会、公明党、自民党、民進党などの反対で採択には至りませんでした。
 
共産党の白石たみお都議は、都市整備委員会の審議(昨年11月28日)で、前もって陳情を提出した学生から聞いた声を紹介しながら質疑しました。
 
白石都議が「胸が詰まった」という学生たちの生活実態は、本当に深刻なものでした。1年生の女子学生は「親から『うちは余裕がないから学費の3分の2を出してくれ』と言われました。年70万円を稼がなくてはならず週5日、夜の居酒屋でバイトをしています。仕事を終えると帰宅は深夜になり、少しだけ寝てから大学に向かう毎日です。モノレールの運賃が高いのは本当につらい」と訴えました。
 
大学院を目指す4年生の男子学生は、ダブルワークをしながら学費を稼ぎ、試験勉強をしているといい、「せめて交通費の負担が軽くなったら」と切々と話しました。
 
白石都議は、昨年4月から通学定期券を2割値下げした神戸市の神戸新交通の事例をあげて、値下げに向けた検討を始めるよう都に強く迫りました。