豊洲場外市場計画 挫折

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受託2社そろって撤退

東京都は28日、築地市場(中央区)の移転先、豊洲新市場(江東区)内に計画していた食と観光の施設「千客万来施設」の事業を受託した、すしチェーン「すしざんまい」運営の喜代村から辞退の申し出があったと発表しました。都は速やかに再公募の取り組みを行うとしていますが、2016年11月に新市場と同時に開業するという場外市場計画は、挫折に追い込まれています。

豊洲新市場予定地は、場外市場でにぎわう築地市場と違って交通の便が悪いうえ商業施設もほとんどないことから、客寄せの場外市場として千客万来施設を計画しました。

都は、大和ハウス工業に青果棟の5街区に調理器具などの専門店街(敷地0・6ヘクタール)、喜代村に水産仲卸売場棟の6街区に場外市場店舗、1000席のフードコート、首都圏最大級の温浴施設(敷地1・1ヘクタール)の建設・運営を委託し、年間約420万人の入場をあてこんでいました。

都は14年2月、喜代村と大和ハウス工業の2社を委託企業に選定し、速やかに基本協定と土地賃借契約を結ぶと説明。2社に土地を事業用定期借地方式で貸し付け、30年間で計40億円の賃料収入を見込んでいました。

しかし、大和ハウス工業が2月23日に都に辞退を伝えたため、喜代村の動向が注目されていました。

喜代村の木村清社長は29日、中央区の本社で開いた記者会見で辞退の経過と理由を説明し、「大変申し訳ない」と陳謝しました。

2社は辞退した理由として、施設を利用する客と物資搬入車両の安全性が確保できないこと、温浴施設の見通しが立たないことなどをあげています。

千客万来施設計画をめぐっては、都と事業者の調整が難航し、計画していた3月までの着工の見通しが立たない事態を本紙1月9日付で報道。2月以降に商業メディアが相次いで報じていました。