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東海汽船船舶停止 「まるで島民への処分」 新島村 綾議員が聞き取り

 東京港から伊豆諸島への旅客・貨物船を実質的に独占で運行する東海汽船が、乗組員の飲酒(酒気帯び状態での船上勤務)などの複数の法令違反のため国土交通省による20日間の一部の船舶使用停止処分(10月9~28日まで)を受けた問題で、新島村の日本共産党の綾とおる村議が村内の聞き取り調査を行いました。新島村は都内の島しょ部でも2島(新島、式根島)1村という特殊な事情があり、影響が大きいことも浮き彫りになりました。

 竹芝桟橋を起点とする東海汽船グループの航路は、大島航路(伊豆大島、利島、新島、式根島、神津島の5島に寄港)、三宅航路(三宅島、御蔵島、八丈島に寄港)、そして子会社の小笠原海運が運航する小笠原航路(父島に寄港)の3航路があります。今回の使用停止処分となったのは東海汽船の大型船の橘丸(三宅、八丈航路で使用)、大島航路で運航するジェット船3隻の内2隻でした。しかし処分以前の9月28日、橘丸は故障。修理のために運航停止しドッグ入りをしたため、大島航路で輸送力を有する、さるびあ丸(波高3〜4メートルまで航行可能)が処分以前から三宅航路に使用されていました。
 大島航路に代替船として運航した、くろしお丸(波高2・5~3メートルまで航行可能)はさるびあ丸の3分の2の積載量。東海汽船は「輸送量は確保している」と説明していましたが、処分以前から輸送力は低下していました。処分期間に入ると台風が毎週のように発生したことから、船の性能と輸送力が低下させられた大島航路の新島、式根島では積荷到着の遅延に加速がかかっていました。
 にいじま漁業協同組合式根島事業所の役員は「積荷がいっぱいで魚の出荷ができないため、漁師に魚を持ち帰ってもらった。漁師は一銭にもならない」と語っています。
 商店では「本土からの積荷が滞っていて古いものから届くので、野菜が腐っていて廃棄した。ケーキなどは消費期限の問題で売り物にならなかった」と述べ、別の商店では「パンがかびていたこともある。売るものがない」という深刻な状況を訴えました。
 主たる産業が観光の式根島の民宿では、「東海汽船の報道の影響で予約は前年比2割減だった。そこに台風で全てがキャンセルになった。10月は予約が2件で1件がキャンセルで、レンタルサイクルの利用はゼロです。島民への処分のようだ」と声を振り絞りました。
 船がつかないために宿泊キャンセルが続いた民宿では有志の女将さん会が、要求をまとめて村長に提出する準備を進めていました。

地場産業に打撃
 深刻な被害は地場産業にも影響を及ぼしています。くさやの製造加工を行う新島水産加工業協同組合では原材料の魚の仕入れで甚大な被害を受けました。10月2日にとれた魚の到着を4日で予定していたところ、台風による、貨物船の運休や定例運休のために荷が遅れ8、9日に到着。全部腐敗していて400キログラムほどを廃棄しました。
 加工して販売するまでに7〜10日かかるために「店舗に並べる商品がない」だけでなく、「市場の取引には欠品が許されない。他の業者の取り扱いに変えられてしまう」、「商品を8、9月から待っているお客さんもいる」と語るなど深刻な状況です。組合長は「大型船は止めるなとしか言えない」と強調していました。
 さらに「加工する魚がないために従業員に休んでもらっている」状況もあるといいます。「働いてくれている人も困ると思う。自分たちではどうすることもできない」と述べる経営者もいました。融資を受けても返済を考えると踏み出せない事情も見てとれます。
 住民から「郵送の薬が届かない」との声も聞かれ、輸送力の低下による郵便の遅延も頻発。命の航路であることが浮き彫りになりました。
 綾議員は大沼弘ひろかず一村長とも懇談。村の経済に深刻な影響を及ぼしかねないとして、実態把握と支援などの対応を求めました。大沼村長は「住民の厳しい状況は理解している。法令違反は罰するべきだが、生活の足などが奪われるような事態は避けたいので各方面へ働きかけていきたい」と述べました。

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