都政と都議会を、東京民報社の和泉尚美代表取締役(前日本共産党都議団幹事長)がウオッチする不定期連載。今回は第2回定例会(6月9日〜24日)を、代表質問に立った清水とし子都議(日野市選出)との対談で振り返ります。(荒金哲)

和泉 定例会を振り返って、どうでしたか?
清水 日本が平和国家の道をこれからも歩むのか、大きな岐路を迎えているもとで、憲法と平和を守り抜くための論戦、そしてイラン戦争の影響が深刻化するなかでの対応が、焦眉の課題でした。
そのもとで、7月には、小池知事がニューヨーク市への出張を予定しています。マムダニ市長が所属するDSA(アメリカ民主的社会主義者)は、外国の米軍基地撤去を政策に掲げています。だったら、この機会に、横田基地など都内米軍基地の返還について話し合うべきだと提起しました。
和泉 住宅政策でも、ニューヨークも東京と同じように、高家賃化が進んで、庶民が住めなくなっていることが大きな課題となっていることを取り上げましたね。
清水 東京都とニューヨークの対応の違いを浮き彫りにできたと思います。手ごろな価格の住宅(アフォーダブル住宅)をつくるということで、都が供給しようとしているのは、6年でわずか1500戸程度。マムダニ市長は、266倍の40万戸を公営住宅新設を含めて提供しようとしています。
ニューヨークと東京は、住宅価格の高騰や格差社会の拡大など、非常によく似た政治的な課題を抱えているのに、その処方箋は、東京は絆ば ん創そう膏こう、ニューヨークは根本的な手術くらい違います。
不十分な苦境支援
和泉 本当にそうですね。イラン戦争の影響による資材不足による都民の苦境への支援も進んでいません。
清水 都議団が繰り返し要請する中で、都は補正予算を提出しました。しかし、事業者への直接支援がないなど、予算額も中身もまったく足りていません。建設業者や医療、福祉などさまざまな分野の現場のみなさんに聞き取りをしましたが、事態は本当に深刻です。コロナ禍の時より深刻だ、という声さえあるのに、都がそれに応えようとしないことが、とても歯がゆく感じます。
和泉 都の補正予算の直接支援は、スタートアップ企業(新興企業)が対象で、しかもそのうち8割は、すでに10億円以上の資金調達実績があることが条件になっていると、都議団の質疑で明らかになりました。
清水 それだけの資金調達の力がある企業に、大判振る舞いする必要があるでしょうか。都民の雇用や暮らしを支える中小企業全体を支援するというのではなく、「伸びしろ」のある企業だけを支援し、持ちこたえられない企業は淘と う汰た しようという都政の発想が、ここにも出ています。
都立公園に劇場と
和泉 もう一つ、驚いたのがカジノの問題です。都はこの間、「メリット・デメリットの両面から総合的に検討している」と答弁し続けてきたのに、着々と誘致の準備を進めていることが、都議団の「スクープ質問」で明らかになりました。
清水 これまでも、都がカジノ誘致の「最適地」としている青海地区周辺では、豪華な客船ターミナルや、巨大噴水などが次々と整備されています。加えて、今回、SBIホールディングスがラスベガスでカジノと一体で運営されているドーム型シアターを、都立潮風公園に建設しようと計画していることを、明らかにしました(右地図)。実は、この劇場計画自体は、日経新聞で報道があったんです。
和泉 それが、カジノに関係していると見逃さなかったということなんですね。
清水 都立公園を、民間企業の娯楽施設の設置のために提供しようということ自体が、論外な計画です。さらに、地図に落としてみると、この場所でカジノ設置に向けた準備を着々と進めていることがよくわかります。
和泉 本当に、この地図、分かりやすいですね。国によるカジノを含むIR施設の追加選定の申請が27年5月〜11月に予定されています。東京にカジノを呼ぶなの声を広げて、絶対に誘致を許してはいけないですね。
調査提案で補って
和泉 教育費無償化について、都議団が自治体の実施状況調査をもとに、条例提案しました。
清水 頑張りました(笑)。国が学校給食の無償化に踏み出したことで、23区では、これまでそのために使っていた財源を利用して、教育の負担軽減に踏み出す動きが広がっています。それがどう広がっているのか明らかにするとともに、多摩地域では、取り組みが進んでいないのではないか、という問題意識で都内全自治体を調査しました。予想通り、修学旅行費の無償化は12区、教材費は11区、入学準備金等の支給は4区が実施している一方、多摩地域の26市では実施がありませんでした。この解決には、都が仕組みをつくる必要があるということで、この三つの教育費負担の無償化・支給を、都が全額負担して実施する条例案をまとめました。今回、賛成してくれた会派は、グリーンな東京だけでしたが、実現へ力を尽くしていきます。
和泉 学校給食無償化も、都議団が最初に提案した時は、ほとんど賛成する会派はありませんでした。そこから、少しずつ、賛同する会派や、実施する自治体が増えていった。まったく、同じ構図ですよね。14人に議席が減ってしまった中で、調査や条例提案をするのは、大変でしょう?
清水 議席が少なくなって質問時間が短くなり、カバーしきれない部分を、こうした調査や提案、申し入れなどで補っていこうと都議団で話し合い、積極的に取り組んでいます。私自身は、文教委員会は今期からで、条例提案の趣旨説明をするのも、初めてでした。本当に大変な作業でしたが、都議団事務局のみなさんの力も借りて、何とか乗り切れました。
四季ではなく二季
和泉 長く専門性を持ってそれぞれの分野を担当してくれている都議団事務局のみなさんの力は、本当に大きいですよね。9月の第3回定例会に向けて、決算委員会や、事務事業質疑、来年度予算に向けた懇談など、忙しい時期に入っていきます。
清水 私は、都議の仕事は四季ではなく、雨季と乾季の二季だけと思っているんです。もう乾季が終わり、9月から3月までの怒涛のような雨季が始まるんだって(笑)。
和泉 決算は昨年度、事務事業は今年度、予算は来年度と、3年間を股にかけて論戦や調査を進める。本当に大変ですが、頑張ってください。
清水 ありがとうございます。頑張ります。
