「安心し病院に行きたい」 心身障害者 医療費助成でシンポ

 東京都の心身障害者への医療費助成の対象拡大を求め、都内の障害者団体などでつくる「全都連絡会」は7日、3回目となるシンポジウムを都議会会議室で開きました。小池百合子知事宛ての要望書を都福祉局の担当者に手渡しました。松谷いづみ・福祉局事業調整担当部長は「真し ん摯し に受け止める」と述べました。

 都の助成制度は心身障害者に発行する「愛の手帳」の障害程度が1度(最重度)、2度(重度)が対象。住民税の課税者は医療費の自己負担が1割、非課税者は免除となります。一方、3度(中度)、4度(軽度)は対象とならず、健常者と同じ原則3割負担です。創設以来50年間、制度改革は行われていません。連絡会は3・4度の障害者も軽減するよう求めています。
 シンポジウムでは緒志嘉彦会長が「親なき後に子どもがどうなるかが最大の不安で、看取ってから死ぬのが願いになっている。医療費助成の対象拡大を切にお願いしたい」とあいさつ、
 事務局の竹野晃さんは会で取り組んできた陳情・請願は趣旨採択されたものの任期満了で廃案となり、予算化もされなかったと報告。10県と都内は杉並区で「愛の手帳」3度(中度)まで医療費助成を行っていると紹介。都の調査で知的障害者の8割が年収200万円未満という厳しい経済状況を理解するためにも、「当事者の声を聴いてほしい」と訴えました。
 保護者や当事者らが発言。自閉症で4度(軽度)の障害がある娘(23)の母親は、障害者というだけで病気になっても受診を断る病院が多く、医療費の自己負担も重いことを、突然言葉と記憶を失った時の経験を挙げて告発。娘は福祉作業所での収入が月1万円なのに、給食代が8000円で、ほとんど手元に残らない実態を訴えました。
 ぜん息と緑内障を患う3級の男性(32)の母親は「親の定年退職で医療費が大きくのしかかってくる。親なき後に子どもには金銭で苦労させたくないという気持ちを理解してほしい」と手紙で訴え。男性は「お母さんがいなくなったら医療費が払えなくなる」と話しました。
 グループホームで暮らす4度の女性は、毎月の収入が3000〜4000円なのに、給食費が月6000円、歯科に月3500円、転んで捻挫した時の治療費が4500円でした。両親はデイサービスに通っています。女性は「安心して病院に行かれるようにしてください」と語りました。
 都議会の日本共産党、立憲民主党系、自由を守る会、グリーンな東京の各都議があいさつ。自民、都ファ、公明の各都議がメッセージを寄せました。立原麻里子・東京都育成会会長が閉会あいさつし、「会派を超えて医療費負担軽減の願いをかなえてほしい」と訴えました。
 シンポではまた、「手のひらを太陽に」(やなせたかし作詞、いずみたく作曲)の替え歌を参加者全員で歌いました。「生きているからだいじな命、でもときどき病気になる、病院行きたいお金が心配3割負担」と障害者の切ない気持ちを歌詞に乗せて歌いあげ、会場は和やかな雰囲気に包まれました。

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