暮らし守れるのはどの党か
22日投票の東京都議選。物価高騰のなかで、どの党が伸びれば都民の暮らしをまもることができるのかが、最大の焦点です。告示直前に開かれた都議会(2~6日)の各党の態度を見れば、その答えははっきりしています。
消費税減税 国に求めよ
「都として、国に消費税減税を求めるべきです。知事、いかがですか」
日本共産党の原純子都議(江戸川区)の都議会代表質問(3日)。物価高騰に効果があるのは消費税減税だと述べ、小池百合子都知事にこう迫りました。共産党が消費税の廃止を目指して、緊急に5%に一律減税することを提案していることを紹介。大企業と富裕層に応分の負担を求める財源を示し、都として行動するように求めたのです。
都議会の代表質問とは、共産党のほか、自民党、都民ファーストの会、公明党、立憲民主党などの各党都議団の代表が行うものです。物価高騰のなかで、世論調査で消費税減税を求める声は国民の約7割にのぼっており、消費税は焦点問題です。にもかかわらず代表質問でとりあげたのは、日本共産党だけでした。
消費税増税は国政問題ですが、都は国に意見書を提出することができます。人口約1400万人の都が、国に消費税減税を求めれば大きなインパクトです。現に、この都議会では、都民から提出された、消費税減税を求める意見書を国に提出することを要望する請願が議論されました。

請願
同請願を議論した4日の都議会財政委員会。共産党の和泉なおみ都議(葛飾区)が、中小企業が、賃上げできない理由として原材料価格、電気代、燃料費などの高騰をあげている調査結果を示し、「消費税減税は、中小企業の負担を減らし、減税分を賃上げにまわすことも可能にする」と指摘。「物価高騰に苦しむ、都民、国民の負担を軽減し、中小企業の経営を支えるためにも消費税はただちに減税するべきです」と呼びかけ、同請願の採択(賛成)を求めました。
ところが自民党の委員は、理由も表明しないまま「不採択ということで…」とわずか17秒の発言で、請願採択に反対。公明と都ファは、賛否を明らかにできないところまで追いつめています。しかし、結局、同請願は「継続審査」に。「継続審査」は通常であれば審査を続けるという意味ですが、今回は都議選前の最後の議会のため、事実上の廃案です。こうして自民、都ファ、公明は都民の願いに背をむけたのです。
都政転換の三つの課題
住民の暮らしを守るために都政の課題となっている、賃上げ、医療・介護事業者への支援、住宅価格高騰対策についてはどうでしょうか。小池都政を支える、自民、公明、都ファと比較します。
賃上げ 中小企業に1人12万円
日本共産党の原純子都議は代表質問で、賃上げした中小企業に1人あたり年間12万円を支援する「賃上げ応援助成金」の創設を提案しています。
一方で、公明は「賃上げしたいが何をどう改善すればよいかわからない経営者も多く存在します」として、「(都が行っている)アドバイザー派遣での成果を分析してノウハウの普及拡大を図る」と述べる程度。都ファは「社員の自発的な貢献意欲を引き出し、短時間で成果を上げる効率的な働き方」などと語るだけでした。自民党も含めて、賃上げする中小企業を直接支援する姿勢はみせませんでした。
医療・介護 財政支援・報酬引き上げ
医療・介護について、日本共産党は、都が今年度に行う321億円の財政支援を継続・拡充することを要求。訪問介護事業所への支援も訴えています。
これに対して自民党は代表質問で、都の財政支援策のうち、特に入院患者1人当たり1日580円支援する入院基本料について「国の診療報酬の上乗せともいえる。非常に高く評価している」と述べました。ただ、そもそも病院に大打撃を与えている原因は、自公政権による診療報酬引き下げです。昨年9月、東京都医師会が「病院が危機におちいっている」と訴えた会見で、土谷明男副会長は、病院が医療を行うための費用は増えているものの、診療報酬がそれに見合った額より低く抑えられていると発言しています。
さらに自公政権は6日に日本維新の会とともに11万病床の削減を合意しており、さらに地域医療の危機を加速させようとしています。
住宅政策 家賃補助、公的住宅増設
住宅価格の高騰問題について、日本共産党は代表質問で「住まいは人権」の立場で、民間賃貸住宅に住む人の約4割にあたる100万世帯への月1万円の家賃助成、所得に応じた家賃で住み続けられる公的な住宅の大規模な増設などを主張。高騰の原因である再開発や投機を規制する必要性も指摘しています。
自民、公明、都ファは、高騰する住宅対策に触れていません。その一方で自民党は、都営住宅の定期募集の平均倍率が非常に高くなっていることを紹介しました。都営住宅の倍率が高いのは、2000年以来、自民、公明が支える都政が新設せず、圧倒的に不足しているからです。しかし、自民党は代表質問で、都営住宅には外国籍の居住者が年々増えているなどと言い、そして、日本国籍の都民が都営住宅に入居しやすくなるよう対応を要求。自らの責任をはたすのではなく、外国人を排除する態度をとっています。
請願・陳情に対する態度

都議選直前の都議会で、都民が提出した請願・陳情に対する態度からも、各党の政治姿勢が表れています。(表参照)
今議会では、都議会の議案の賛否を都のホームページに公開することを求めた陳情が議題となりました。陳情提出理由には、「どの議案等に賛成若(も)しくは反対し、又は棄権したかが分かるようにすることは、民意を政治に反映する上で、とても重要なこと」とあります。
この陳情に賛成したのは、共産、立民、グリーンな東京、生活者ネットワークなど。反対したのは、自民、都ファ、公明の小池都政を支える与党でした。
「都立高校夜間定時制の募集停止の撤回」を求める請願にも、共産、グリーン、ミライが賛成。「シルバーパス一律1000円」を求める請願に賛成したのは、共産とグリーンでした。
(「しんぶん赤旗」2025年6月16日付より)