外苑 アセス再審議を

❚ 専門家ら200人、都に緊急要請

 多数の樹木を伐採する神宮外苑再開発で、建築・造園・都市計画・環境の専門家有志約200人が16日、都の施行認可を撤回し環境影響評価(アセスメント)の再審議を行うよう小池百合子知事宛てに緊急要請を行いました。

 要請には、呼びかけから10日間で195人が賛同しました。三井不動産など事業者が「すべて健全」と報告していた再開発予定地のイチョウ並木について、専門家が2022年11月~昨年11月に行った最新の調査で「顕著な衰退が進んでいる」ことが明らかになったと指摘しました。

 ユネスコ(国連教育科学文化機関)諮問機関のイコモス(国際記念物遺跡会議)が異例の遺産危機警告を発し、専門家有志が再開発の中止とアセスのやり直しを再三求めたにもかかわらず、都が「一方的な情報」と一切回答していないことを「公的機関の責任を果たしていない」と批判。

 都が事業者に樹木保全の具体策を示すよう要請したことに触れ「事業者アセスのずさんさ、アセス審議会の審議の不十分さを都が認めたことを意味する」「知事も事業者も保全を約束しているイチョウ並木のイチョウに衰退が生じていることを見逃したことは重大」と強調し、都審議会でアセスをやり直すよう求めました。

 都庁で行った記者会見で石川幹子東京大学名誉教授(日本イコモス理事)は「イコモスの警告や立証に対し、都も事業者も何の回答もしていない。データを見ないことにするものだ」と指摘。有志代表の糸長浩司・元日本大学教授は「知事が(批判を『一方的』というなら)私たち専門家と一緒に現場を見て評価すればいい」と語りました。

(しんぶん赤旗2024年1月17日付より)