100年の樹木 伐採の危機

❚ 明治神宮外苑再開発で緊急シンポ

3000本の樹木を伐採し、高層ビルを建設するなどの再開発計画が問題になっている明治神宮外苑。この再開発をめぐって17日、千葉商科大学丸の内サテライトキャンパスで同大学が呼びかけた緊急シンポジウムが行われ、オンラインでも配信されました。
同大学の原科幸彦学長は1月以降に延期されている樹木伐採について現状を危機的な状況にあると強調しました。
中央大学研究開発機構教授の石川幹子氏は100年を超える歴史的樹木とイチョウの状況を報告した上で、いかに外苑が世代を超えてつくられてきたかを解説し「事業者はイチョウ並木を移植すると言つていますが、ここ2、3年で枯損がさらに進み、移植すればさらにひどいことになります。また、外苑は文化的資産でもあります。社会的共通資本として守り、管理していく必要がある」と強調しました。
環境植栽学が専門の藤井英二郎千葉大学名誉教授は新国立競技場建設の際に移植された樹木のずさんさを指摘。新宿御苑や外苑では都心の気温よりも2~3度低く、樹木によって地表の温度が下がることを説明。都市計画が専門の大方潤一郎東京大学名誉教授は良好な自然的景観を維持するための風致地区条例について「風致地区の建築は各区の首長判断。だからこそ科学的根拠のある環境調査が必要」と東京都環境影響審議会での調査の重要性を訴えました。
経営コンサルタントのロッシェル・カップ氏は「事業者らは樹木の『更新』という言葉を使っています。彼らの方こそ樹木への考え方を更新する必要があると思います」と批判しました。
会場から具体的な移植方法についてなどの質問や住民運動を盛り上げていく必要があるといった思いなどが語られ、双方向でやりとりしました。

(しんぶん赤旗2023年12月19日付より)