小学校の英語 習得単語600―700 中学生にも忌避感 東京でシンポ

学習指導要領改定で2020年度から小学校での英語教育の教科化が始まり、子どもたちや教員の負担が問題となっている中、子どもと教科書全国ネット21などが呼びかけて「第58回教科書を考えるシンポジウム 小学校英語の教科化2年を過ぎて」が26日、東京都内で開催されました。学校現場で英語教育に取り組む教員など、オンラインも含め38人が参加しました。

 教員や研究者でつくる新英語教育研究会の高瀬翔太さんは、小学校英語の問題とその取り組みについて報告しました。学習指導要領改定前までなかった小学校で習得すべき英単語の数が600~700語になり、子どもたちの理解が追いつかず、「教員も教えることが増えている」と指摘。「詰め込みではなく、子どもたちが『分かった』と思えるような環境が必要だ」

 中学校英語の問題について報告したのは同研究会の高草木直子さん。小学校で習得したことを前提に、中学校の英語の授業を進めなければならないため、「生徒が文法事項をまとめて学習する時間が取れない」と指摘。「生徒の学習環境と教員の労働環境を改善させることが求められている」と話しました。

 同研究会の吉岡潤子さんは、教材や指導法の画一化で、「英語を得意とする子どもと苦手な子どもの二極化が進んでいる。少人数クラスを実現させて、教員が教材研究できるようにしてほしい」と述べました。

 討論では、小学校英語の教科化以降、中学生の英語に対する忌避感が強くなっている一方、「アルファベットを書くことが苦手だった生徒が、少人数授業によって英作文が書けるまでになった」などの発言がありました。

(しんぶん赤旗2023年2月27日付より)