黒塗り批判で今度は白塗り

東京都の情報公開要綱 こっそり改定 知事容認

「黒塗りでなく白塗り優先に」―。東京都がIR(カジノを中核とする統合型リゾート)関連文書などの情報公開で「黒塗り」批判を浴び、事実上白塗り優先に変更するという姑息(こそく)な手段を講じていたことが本紙の取材でわかりました。小池百合子知事が情報公開要綱改定を承認し、2月から実施しましたが、その内容は都民に知らせていませんでした。(岡部裕三)


東京都が非開示部分を黒塗りにしたカジノ業者との面談記録(2020年6月開示分)と、白塗りに変えた文書(21年6月開示分)

“黒塗り隠し”が発覚したのは、江東市民連合の岡田光司事務局長が6月に開示請求で入手した都とカジノ業者との面談記録が白塗りにされていたことからです。「しんぶん赤旗」が昨年9月16日付で報じた同一文書は、黒塗りだらけでした。

IRを担当する港湾局は本紙の取材に、生活文化局から要綱改定の通知を受けて非開示部分を白塗りにしたと説明。

本紙は都に情報公開請求し、生活文化局が小池知事に説明した資料(昨年12月3日付)と、1月に改定した情報公開関係4要綱などを入手しました。同局は要綱改定の理由を「視認性の向上」とし、白塗り枠付きまたは黒塗りのどちらを選択するかは各局・庁に任せていると説明します。

小池知事への説明資料は、「非開示情報」について、(1)白色で塗りつぶし、枠で囲んで「非開示」部分を明示(2)黒色で塗りつぶす―とし、前者を優先。「白塗り枠付きの対応が簡便にできるソフトの開発」などをメーカーに要望するとしています。

都の幹部は「そもそも白塗りにする意味がわからない。それよりも開示のハードルを下げて、情報公開を進めることが本道ですよ」と話しています。


解説 東京都の情報公開要綱
“一丁目一番地“公約 5年たっても実現せず

小池百合子氏は2016年に知事就任以降、“情報公開は東京大改革の一丁目一番地“と言明。小池氏が設立した地域政党「都民ファーストの会」も17年都議選政策で、「『のり弁』をやめます」「徹底的に情報公開」と公約しました。しかし5年が経過しても、情報公開に背を向けたままです。
生活文化局によると、情報公開事務取扱要綱で非開示部分を黒塗りと定めたのは2000年ごろで、以来20年以上、黒塗り文書「開示」が続けられてきました。
黒塗り隠しを知った市民団体から「7月の都議選を前に、黒塗り批判をかわそうと、あわてて白塗りを加えた疑いが生じる」の声が上がっています。
「晴海選手村土地投げ売りを正す会」の中野幸則会長は「私たちは、晴海の選手村用地を不動産会社に9割引きで処分した官製談合疑惑を追及している。都と不動産会社の協議記録の開示を都に請求したが、保存期間1年を口実に拒否した。そのうえ都が非開示部分を白塗りに変えるのは、都民を愚弄(ぐろう)するものだ」と批判します。

(「しんぶん赤旗」2021年11月23日付より)