都がカジノ構想先送り

特区計画

東京都は都心周辺を再開発する「アジアヘッドクオーター特区」第3期計画(2021〜23年度)を策定しましたが、大企業3社が提案していたカジノを中核とする統合型リゾート(IR)構想を先送りしていたことが15日までに、明らかになりました。

第3期計画は、都が設置した官民連携組織「アジアヘッドクオーター特区地域協議会」(略称・AHQ特区協議会)で検討し、3月に内閣府の認定を受けました。

計画によると、21年度から3年間に金融系外国企業を含め375社以上と外国観光客の誘致を目指しています。MICE (国際会議場・展示場)などの整備支援、大手不動産会社や外国企業などに税の減免や補助金支給、規制緩和など手厚い憂遇措置を講じます。

AHQ特区協議会メンバーの森ビル、フジテレビ、三井住友銀行の3社のIR提案は先送りしました。

協議会を所管する都政策企画局は本紙の取材に対し、「地域協議会では、IRに関する意見はでなかった」と説明しています。

 icon-angle-double-right アジアヘッドクオーター特区協議会
石原慎太郎知事(当時)が2011年に設置した国際戦略特区計画の検討組織。現在は都と9区、大企業など29団体・企業で構成しています。


都民の批判が背景に

【解説】
AHQ特区協議会のカジノ推進3社が出していたIR提案を盛り込まなかったことは、都議選(4日投開票)を控えて、都民の批判を考慮したことも背景にあります。

小池百合子知事は「稼ぐ東京」を強調、カジノについて「メリット・デメリットの両面について検討すると言い続け、21年度都予算にIR調査費1000万円を計上し、石原慎太郎元知事が打ち上げたカジノ構想に執着しています。

東京都は12年度以降、ひそかにIRの調査・検討を継続。都港湾局が三菱総研に委託した調査報告書で、臨海副都心青海地区がIR候補地として「最適」としていたことが、「しんぶん赤旗」(19年6月3日付)で判明しています。

都議会で小池知事を支えてきた自民党、公明党、都民ファーストの会は「カジノいらない!東京連絡会」のIR中止陳情を不採択にしてきました。

日本共産党は、世界で廃れつつあるカジノを「成長戦略」に据えるのは愚かだと批判。都議選で、「稼ぐ東京」の名で大企業の利益を応援するカジノ誘致などはやめて、福祉とくらしという自治体本来の仕事に取り組む都政に切り替えようと訴えました。

小池知事は都民の声を尊重し、カジノ誘致検討をきっぱり断念すべきです。(岡部裕三)

(「しんぶん赤旗」2021年7月16日付より)