相談者に寄り添い励ます/党東京都委新型コロナ対策本部長 谷川智行さんに聞く

生活保護使い希望
前向きに仕事探せる  収入増えれば自立も

年越し支援・コロナ被害相談村で相談者(手前)から話を聞く谷川さん(左から3人目)。左端は小池晃党書記局長。右端は笠井亮党衆院議員=2日、東京都新宿区(宮下秀和撮影)

新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの市民の暮らしがおびやかされている中、医師の谷川智行さん(日本共産党東京都委員会新型コロナ対策本部長/衆院東京比例・東京4区重複予定候補)は、失業者や路上生活者の相談会にボランティアで参加しています。「雇用破壊の影響が噴出している」と話しています。(仁田桃)


相談会には、新型コロナによる休業や失業で一気に生活困窮に陥ってしまう非正規労働者からの相談が後を絶ちません。「”合法的”にクビを切られてしまう弱い立場です。雇用が壊されてきたことの影響が噴き出しています」と谷川さん。

240人に食料配布

16日に行った東京都庁下の炊き出しでは、過去最多の240人に食料を配布しました。若い人や女性の並ぶ姿が目立ちました。

相談会では、手持ち金がわずかで住まいがない人が異口同音に、「死にそうになったらまた相談に来ます」と席を立ちます。「生活保護だけは絶対にいやだ」という人が少なくありません。

谷川さんは「数カ月前まで仕事をして自立していた人にとって、炊き出しに並ぶということ自体が、耐え難いことだと思います。公的支援に頼ることへの拒否感はさらに強烈です。自己責任論が大きく影響していると感じます」と語ります。

数カ月かけて申請に踏み出す人も。

建設関係で働いていた40代男性は長い間ネットカフェで生活していました。コロナ禍で派遣の募集が激減する中、応募は殺到。仕事がなくなり、ネットカフェ代が出せなくなり路上に出ることになってしまいました。

そんな状況でも、「生活保護はいやだ」「支援でなく仕事がほしい」という男性。谷川さんが数カ月かけて支援するうちに、「生活を立て直すために生活保護を利用しよう」と気持ちに変化が。いまは生活が安定し、前向きな気持ちで仕事を探しているといいます。

扶養照会が障害

福祉関係で働いていた40代男性は事業縮小を口実に雇い止めされ、生活が立ち行かなくなりました。うつ病を患い、働けないほど精神的に追い詰められていましたが、生活保護を利用しアパートの入居も決まりました。ヘルパーの資格を持つこの男性は、介護事業所に面接に行けるまでに回復。徐々に仕事を増やしていく予定です。

昨年4月には居酒屋の店長になることが約束されていたアルバイトの男性は、オーナーから休業するよう頼まれ収入がなくなりました。当初、生活保護の利用を強く拒んでいましたが、「収入が増えれば自立できる」と利用を決めました。

「コロナがなければ自分の力で生活していた人たちですが、いずれも非正規雇用です。雇用を破壊してきた自公政権の罪は大きい」と谷川さん。

家族に連絡される「扶養照会」が生活保護申請の大きな障害になっています。”商売道具もすべて取り上げられる”などの誤った情報で、申請に二の足を踏む人も少なくありません。

谷川さんは「生活保護は権利です。政府は扶養照会を中止するとともに、正しい情報を積極的にアナウンスし、利用を呼び掛けるべきです」と話します。

(2021年1月31日付「しんぶん赤旗」より)