東京・コロナ病床使用率8割/入院待機5千人に迫る

専門家「医療破綻の危機」

首都圏1都3県で新型コロナウイルス感染拡大が止まらず、通常の医療が逼迫(ひっぱく)する状況がさらに深刻になっています。特に東京都は7日時点の病床使用率が約8割に上ります。都モニタリング会議で専門家は、現状の感染拡大が続けば2週間後を待たずに中等症・重症患者の入院先が足りなくなる可能性があり、「医療提供体制は破綻の危機にひんする」と危機感をあらわにしています。

7日開かれた都モニタリング会議によれば、東京都の新規感染者は1週間平均で約132%増加し、最大値を更新しました。感染者の急増に対応するため病床を3500床から4千床に増やしましたが、このまま2週間増え続ければ入院患者が1日448人となり、確保した4千床を短期間で大幅に超える可能性があります。

新型コロナ患者用の病床を確保するためには通常の医療を行っている病床を空けなければならず、通常医療との両立に支障が生じています。東京都医師会の猪口正孝副会長はモニタリング会議で「通常医療をさらに縮小せざるを得ない。救命救急医療を通常通り提供する中で重症病床の拡大には限界がある」と訴えました。

感染した人の入院先や療養先がすぐに見つからない「調整中」の数も増えています。厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」の資料によれば、都内の入院・療養等調整中の数は昨年12月13日~19日に約千人だったのが、同27日~1月2日には3千人を超えました。7日時点の都の「調整中」人数は4759人、千葉県は2158人、埼玉県460人でした。自宅療養者の健康観察とあわせ、保健所の業務圧迫が続いています。

(2021年1月9日付「しんぶん赤旗」より)