「対面読書」再開へ改善/東視協と共産党都議団 粘り強く運動

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対面音訳室。右の部屋で音訳者がマイクで話し、左の部屋で視覚障害者がスピーカーで聞く方式(写真提供:しんぶん赤旗)

コロナ禍 視覚障害者が希望

東京都立中央図書館(港区)には視覚障害者が希望する資料を音訳者が対面で読み解く「対面音訳サービス」があります。視覚障害者の読書権を保障する大事なサービスですが、新型コロナウイルスの影響で2月29日から全面中止に。東京視覚障害者協会(東視協)や日本共産党東京都議団の粘り強い運動で全面再開へ、改善が進んでいます。(遠藤寿人)


都立中央図書館 感染リスク避け準備

東視協会員の女性(68)は「対面音訳は、視覚障害者が人として生きていくには必要なもの。全面再開してほしい」と声を上げます。

同図書館「視覚障害者サービス室」によると、同サービスは1970年に開始。2019年度の利用者はのべ299人。正規職員は3人。非正規職員は1人の体制。うち視覚障害がある職員が2人です。利用者は2日前までに予約し、図書館が音訳者(図書館協力者)を手配する仕組み。

同女性は06年から14年間、土日などに3時間ほど利用してきました。弱視で1人で出かけることはできますが、文字や顔の認識が困難です。理学療法士の資格を持ち病院に常勤。学会誌や教科書、新聞に至るまで社会生活に必要なありとあらゆるものを読んでもらいます。

5月末、東視協の副会長(68)が都に再開を要望。一般利用者の図書貸し出しは、6月22日の再開が決まっている一方で、「対面音訳の再開予定はない」との回答でした。

図版の説明も必要

東視協は日本共産党の星見てい子都議に相談。交渉設定の過程で図書館側は6月22日の再開を表明しました。

対面音訳サービスは一つの部屋に音訳者と利用者が入り、希望の資料を「対面」で読み解く方式。同図書館には対面音訳室が4部屋あります。

図書館側はコロナ対策として、飛沫(ひまつ)や接触を避けるため制限を設けてきました。①音訳者と利用者が「別々の」部屋に入り、内線電話で話す方式で、この1枠のみとする②1人、1枠1回2時間まで③夜間は午後7時半まで―。

前出の女性は専門性の高い医学書や図版の知識が欠かせません。「対面だと、机をはさんで拡大読書器を使って図版の説明をしてもらえる。別々の部屋だとそれができない」と話します。

他にも「希望の時間に予約が取れない」「時間が不足。全部読んでもらえない」「聞き取りにくい」など改善要望が出されました。

読書権が保障され

対面音訳室を視察する星見都議(中央)ら=5日、東京都港区(写真提供:しんぶん赤旗)

9月23日、星見都議が交渉。図書館側はPHS(簡易型携帯電話)とコードレスフォンの枠と、マイクとスピーカーを使う2枠に広げ、1日3時間まで、夜も午後9時まで利用可能にしましたが、「同室」での対面音訳サービスには至っていません。

同図書館は「機器のセッティングや電波の調整が難しく最初、苦戦しました。接触、飛沫のリスクを極力避け感染動向を見ながら何ができるのか検討したい」といいます。

東視協会員の男性(75)は「視覚障害者の場合、読む権利、読書権が保障されて初めて社会参加ができる。それができないと自立そのものが脅かされる」と対面音訳サービスの全面再開を求めます。

星見都議は話します。「対面音訳は視覚障害者の生活を支え、命を守るうえで重要なサービスです。コロナ禍でも、今の狭い音訳室に限らず図書館施設全体で場所を探すことなども含め、感染防止対策をとりながら全面再開にむけ検討が必要です」

(2020年10月21日付「しんぶん赤旗」より)