【朝鮮人虐殺追悼式典】都が「誓約書」要請/文化人ら117人 抗議声明

関東大震災直後の1923年9月、流言・デマで軍や警察、自警団などに虐殺された朝鮮人の犠牲者を追悼する式典をめぐり、東京都が式典実行委員会に、会場使用許可の条件として「誓約書」の提出を要請していることに抗議して、文化人ら117人が11日、要請の再考を求める声明を発表しました。

ノンフィクション作家の加藤直樹さんらが呼びかけたもので、内田樹神戸女学院大学名誉教授、作家の島田雅彦さん、フォーク歌手の中川五郎さん、山田朗明治大学教授など学者、弁護士、宗教者ら117人、1団体が賛同しています。

同式典は関東大震災50年の1973年、東京都墨田区の都立横網町公園に建立された追悼碑前で毎年開催しているもので、歴代の都知事がこれに追悼文を寄せてきました。

ところが小池百合子知事は2017年に追悼文送付を取りやめ、都は昨年末、同式典実行委員会の会場使用許可申請に対して条件を提示し、守られない場合は式典の中止や不許可に「異存ありません」とする「誓約書」の提出を求めてきました。

この背景には、2017年以降、式典と同日同時刻に排外主義右翼団体「そよ風」が同じ会場で集会を開き、「日本人が虐殺されたのが真相」「不逞(ふてい)朝鮮人が放火した」などというヘイトスピーチ(差別扇動行為)を繰り返すようになったことがあります。

都は「誓約書」提出を求める理由として、両団体の「トラブル」を回避するためだと説明しています。

声明は、「慰霊の公園で死者への差別と冒とくを許してはならない」と主張。都に対し式典実行委員会に会場使用許可を従来通り出すことを求め、同実行委員会と排外主義右翼団体とを同列に規制するのではなく、「死者を冒とくし民族差別を扇動する『そよ風』の集会に対し、東京都人権尊重条例の精神に基づいて対処するべき」だとしています。

(2020年6月12日付「しんぶん赤旗」より)