赤旗まつり 青空寄席 出演者紹介:落語家 柳家権太楼さん(11/1)

この記事は約2分で読めます。
柳家 権太楼 さん

柳家 権太楼 さん

青空寄席3回目の出演で1日、第2部のトリを務めます。

 噺(はなし)家は笑い上手に助けられ―。川柳にもありますが、「赤旗まつり」のお客様は温かく好意的で、まとまりがあって落語についてきてくれる、芸人のほうが助けられますね。

演目は何も決めていません。当日、10年、20年前の「ねた帳」を見て、10年前のねたでも、やった人がいればやらない。当日判断します。それがトリです。一番最後にやる人間は、それぐらいのねたがないと、高座に上がれないですね。

67歳まできますと新しいねたを覚えるというよりテーマを決めています。2年越しで「鰍沢(かじかざわ)」という人情噺を、どう自分の落語にするのかやっています。一つの落語をつくるのに正直言って20年近くかかるんですよ。完ぺきにできる落語なんてないんです。死ぬまでできないと思う。それでいいんです。それが仕事ですから。

落語家になりたいと思ったのは小学生のころ。ラジオにしがみつき、親に新宿の末広亭に連れて行ってもらいました。高校生で落語家になると決め、大学を経て落語家になりました。自分の好きなことを好きなようにやらしてくれる環境があった。今があるのは許してくれた親、兄弟のおかげです。その人たちに失礼があっちゃいけないから怠けてはいけない。その人たちに恩がありますね。

「権太楼さんはうける」「爆笑王」とかいわれても自分の中では毎回不安です。「任しておけ」なんていう高座は一回もない。一度として高座で流したことはないし、投げたこともないんです。

一方、仕事を請けた以上はお客の前でうけるぞ―。と言う自信はあるんです。稽古してますから。稽古の裏づけがある。朝でも夜でも、お酒を飲んでいる時でも四六時中、ひっかかったら稽古しますね。24時間ほっとしたいです。ソチオリンピックの浅田真央さんは失敗をフリーで取り戻しました。金メダルは逃しても、4年間の血のにじむような努力にみんなが感動しました。やはり結果より努力、稽古だと思います。

ひょっとしたら身も心も休んでいるのは真剣な高座で、本領を発揮しているときかもしれません。「赤旗まつり」にいらしたら楽しんでください。笑ってくれればうれしいな。

(聞き手 遠藤寿人/撮影 佐藤光信)

(「しんぶん赤旗」2014年9月22日より)