労働時間の規制緩和「論外」

時短と一体の賃上げこそ 参院予算委 小池晃書記局長求める

パネルを示して質問する小池晃書記局長=13日、参院予算委(「しんぶん赤旗」提供)

 日本共産党の小池晃書記局長は13日の参院予算委員会で、大企業による「黒字リストラ」や自社株買いなどの「株主至上主義」を改めさせるよう政府に迫り、労働時間規制緩和の撤回とともに、賃上げと一体の労働時間短縮を求めました。

 東京商工リサーチの調査によると、1月~11月10日に「早期・希望退職募集」した上場企業41社の約68%が直近の最終損益が黒字で、うち8割が株価の評価が高い東証プライムの大企業でした。小池氏は、1万人の人員削減を行うパナソニックホールディングスの玉置肇副社長が「株価は通信簿」と発言したことから、株価をあげるためのリストラだと指摘。黒字でも人員削減する「黒字リストラ」について、認識をただしました。

 高市早苗首相は「労働者の自由な意思決定を妨げるようなことがあれば、適切ではない」と述べるにとどまりました。小池氏は、日本中の企業が「黒字リストラ」をし、賃金を抑制し続ければ、「企業の短期利益は上がり、大株主は大もうけするかもしれないが、国民の暮らしは疲弊してしまう」と強調。政府が大企業に雇用の責任を果たすよう忠告すべきだと指摘しました。

 小池氏は、株価をつり上げるために自社の株式を買い戻す自社株買いが増え続けているのも問題だと追及。「失われた30年」で大企業は空前の利益を上げながら、株主への配当や内部留保などに回り、実質賃金は低下している実態を示し、「まさに搾取だ。一部の株主のために国民の雇用、賃金を犠牲にするようなやり方では、日本経済はますます衰退してしまう」と強調しました。

 政府は労働者をさらに追い詰める労働時間の規制緩和も検討しています。厚生労働省の審議会で、労働者側の委員は「時間外労働の上限規制の緩和は、働き方改革に逆行するもので、あってはならない」と述べる一方、使用者側の委員は「首相の労働時間規制の緩和の検討の指示は、時宜にかなっている」と発言しています。

 小池氏は「労働時間の規制緩和は労働者の要求ではなく、財界の要望だ。さらに搾取したい財界の悲願で、企業側の論理だ」と追及しました。首相は「会社によっては時間外労働を上限規制以下の低い水準で抑制している。その結果、生活費を稼ぐために副業を行う人もいる」などと答弁。小池氏は、安倍晋三元首相が「労使は上限までの協定締結を回避する努力を図る。可能な限り労働時間の延長を短くする」と答弁していたことを取り上げ、「高市首相は上限規制の意味を取り違えている。上限まで働けという話ではない」と指摘しました。

 小池氏は、裁量労働制など長時間労働を拡大する法律が横行している中、「過労死等」での労災認定件数が2024年度は過去最高を記録したと指摘。「規制緩和など論外であり、労働時間の短縮こそ必要だ」と強調しました。

 長時間労働のもとで、日本の労働者の睡眠時間が世界的にも短く、とりわけ男性より女性の睡眠時間が短い国は世界でも少数です。小池氏は「男女がともに家事や育児、介護などのケアを分かち合える社会にするためにも、労働者が自由に使える時間を確保することは重要な課題だ」と強調し、「労働時間を規制緩和して長くするのは逆行だ」として、規制緩和の撤回を要求。大企業には賃上げできる力が十分にあるとして、賃上げと一体の労働時間短縮を強く求めました。

関連記事論戦ハイライト

(「しんぶん赤旗」2025年11月14日付より)

タイトルとURLをコピーしました