主張 神宮外苑再開発

小池知事は計画の中止を迫れ

「しんぶん赤旗」2024年11月29日付の「主張」を紹介します。

 東京・神宮外苑の再開発に伴う高木の伐採が始まって28日で1カ月たちました。7割の都民の反対(6月、「毎日」調査)を押し切っての伐採強行に悲しみと怒りが広がっています。

 都は昨年9月、世論に押され三井不動産ら事業者に樹木の保全策を要請しました。しかし今年9月に事業者が示した回答は、高層ビル建設と大規模施設建て替えのために貴重な樹木や環境を犠牲にするという根本問題を何ら解決するものではありませんでした。

■樹木の伐採やめよ

 新ラグビー場建設で貴重な樹林地が破壊されることは明らかで、移植される樹木も移植先の樹木と競合しともにダメージを受けると専門家は指摘します。

 小池百合子知事の責任で都の環境影響評価条例に定められた環境アセスメントの再実施が必要でした。しかし、知事はこれを無視して樹木伐採を容認しました。今からでも、再アセスをすべきです。

 また、2年前から日本イコモス国内委員会がくりかえし指摘してきた、樹齢100年を超える長さ300メートルの4列のイチョウ並木の衰退について、これまで環境影響評価書にはまったく反映されてきませんでした。しかし今回、事後調査報告書で初めて衰退を認めました。

 都の環境影響評価条例には外部の専門家が異議を申し立てる仕組みがなく、是正の手続きがありません。直ちに条例を改正し、市民と専門家の良識を反映させる必要があります。

 秩父宮ラグビー場に向かう18本のイチョウ並木は、新球場建設に伴う「伐採」から「移植検討」に変更されましたが、移植は極めて困難で、伐採されない保証はありません。それにもかかわらず工事を進め、既成事実化することは認められません。

■知事は癒着を断て

 神宮外苑再開発は萩生田光一氏や森喜朗氏ら自民党の有力者と都の幹部が密談で始めたもので、再開発の検討の初期から三井不動産が深くかかわってきたことを日本共産党都議団は以前から指摘してきました。

 また、4月にNHKが報じた資料をもとに独自調査と議会での論戦を行い、都と事業者の正式な覚書発表の2年前の2013年に▽三井不動産らが「公園まちづくり制度」を使って、本来、高いビルを建てられない都市計画公園区域から当該地域を外し高層ビル建設の計画を立てていた▽都が再開発等促進区を都市計画決定し、お膳立てした―と明らかにしました。都はこれまで、自民党有力者との密談や三井不動産への異常な肩入れについて一度も都民に説明していません。

 さらに、21日の決算特別委員会での日本共産党の大山とも子都議団長の質問に対し、小池知事は三井不動産にパーティー券を買ってもらっていることを否定できませんでした。三井不動産も9月の住民説明会で、小池知事や萩生田氏のパーティー券購入を否定しませんでした。こうした疑惑を放置したまま計画を進めることは許されません。

 小池知事は三井不動産との癒着ともいうべき関係を直ちに断ち切り、厳しい態度で計画の中止を迫るべきです。小池知事の責任が厳しく問われています。

(「しんぶん赤旗」2024年11月29日付より)