「Dappi」発信元に自民都連が400万円

「テープ起こし」に210万円

自民党都連がワンズクエスト者に支出したことを記載した政治資金収支報告書(しんぶん赤旗)

一般市民を装って野党を誹謗(ひぼう)中傷したツイッターの匿名アカウント「Dappi」の発信元企業が、自民党東京都支部連合会(自民党都連)から昨年だけで400万円超の業務を受けていたことが17日、東京都選挙管理委員会が公表した2021年分の政治資金収支報告書でわかりました。「Dappi」の発信元はウェブサイト制作会社のワンズクエスト(東京都世田谷区)です。

自民党都連は、ワンズ社に「テープ起こし」(2件、計210万円余)、「特設ページ制作代」(1件、172万円余)など5件、計404万円余を支出しています。前年の20年は、都連がワンズ社に約78万円を払っており、5倍以上も同社への支出が増えています。

とくに目を引くのが「テープ起こし」への210万円もの支出。他の業者の「テープ起こし」の金額を調べると、高額なものでも1分当たり400円ほどでした。仮にこの金額で計算すると、ワンズ社は5000分を超える音声の字起こしをしたことになります。

 「Dappi」の中傷投稿では、国会での演説や質問から間もなく、その発言部分が編集され字起こしされています。投稿までの早さから、組織的な関与が疑われてきました。また国会審議を終日、聞いていないとできない内容の投稿です。

収支報告書によると、都連からワンズ社への支出は、8月25日が最後となっています。「Dappi」の投稿は、昨年9月に発信元がワンズ社であることが判明し、数日後の10月2日を最後に止まっています。

この投稿をめぐっては、立憲民主党の小西洋之参院議員らがワンズ社に損害賠償を求める裁判を東京地裁で起こしています。

 ワンズ社側は、「1人の従業員による私的な投稿」として会社としての関与を否定しています。しかし、裁判で、ワンズ社は昨年4月ごろに「Dappi」の投稿をする従業員を特定していたとも説明。それにもかかわらず、同年10月まで半年近くも「Dappi」の中傷投稿が続いており、同社の説明は不自然さが際立ちます。

本紙の取材に自民党都連は「担当者が終日不在」とのべました。ワンズ社は17日夕方までに回答していません。

(しんぶん赤旗2022年11月18日付より)