歯止めない住民監視/山添氏が反対討論 土地利用規制法が成立

討論に立つ山添拓議員=16日未明、参院本会議(写真提供:しんぶん赤旗)

政府に歯止めのない調査権限を与え、基地周辺や国境離島などの住民を監視する土地利用規制法が16日未明の参院本会議で自民、公明、維新、国民などの各党の賛成多数で可決、成立しました。日本共産党、立憲民主党は反対しました。

同法は、基地や原発などの周辺約1キロと国境離島を「注視区域」に指定し、利用状況を調査して「機能阻害行為」があれば利用中止を命令・勧告し、従わなければ刑事罰が科されます。特に重要な施設は「特別注視区域」に指定され、一定面積以上の不動産取引に事前届け出を義務付けます。調査対象や範囲、期間、実施主体などの歯止めがなく、法施行後の政令などに白紙委任しています。

討論で共産党の山添拓議員は、憲法が保障するプライバシー権や財産権を脅かし、曖昧な要件のもとで刑罰を科すなど審議では重大な懸念が浮き彫りになったと指摘。14日夕方から突然採決ありきで議事を進めたことについて、政府が説明できない法案は廃案にすべきだと強調しました。

討論に先立つ参院内閣委員会の質疑で田村智子議員は、戦時下での要塞(ようさい)地帯法でさえ区域ごとに禁止行為や新設できない建造物など規制内容を具体的に明記していたと指摘。「何が禁止なのか、何も具体的に示さないのは日本国憲法での法律の体をなしていない」と批判しました。

15日の同委での採決後に、法案を参院本会議に緊急上程したのに対し、日本共産党と立憲民主党は、参院議院運営委員会の水落敏栄委員長の解任決議案を提出。自民、公明、維新、国民などの各党の反対多数で否決されました。日本共産党から倉林明子議員が賛成討論に立ちました。

(2021年6月17日付「しんぶん赤旗」より)


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