受診抑制招く医療費2倍化/衆院審議入り 宮本氏が批判

質問する宮本徹議員=8日、衆院本会議(写真提供:しんぶん赤旗)

一定所得以上の75歳以上の窓口負担を2倍にする「高齢者医療費2倍化法案」(健康保険法等改定案)が8日の衆院本会議で審議入りしました。日本共産党の宮本徹議員が質疑に立ち、「受診抑制が起き、国民皆保険制度が空洞化していく」と批判しました。


宮本氏は、1割負担の現状でも現役世代より高齢者の負担は重く、2割負担の導入で受診抑制が起きると指摘。政府の推計では2倍化で1880億円の給付が削減されるとしており、そのうち受診行動の変化による削減額はいくらか質問しました。

菅義偉首相は「受診行動の変化による減少は900億円と試算しているが、直ちに患者の健康への影響を意味するものではない」と強弁。負担が10万円以上増える高齢者が5千人に上ることを明らかにしました。

宮本氏は、同法案で負担が減るのは国・自治体が980億円で最も多く、事業主は360億円だと指摘。現役世代の負担軽減は1人あたり年350円にすぎず、「総理は『自助』というが、国と事業主の負担軽減こそ本当の狙いではないか」と強調しました。菅首相は「多くの方に能力に応じた負担をしてもらい、制度の持続可能性が高まる」と答弁しました。

また宮本氏は、負担増の対象となる人の年収は政令で定めており、「法改正を経ず、政権の判断で2割負担の範囲が拡大できる」と批判。医療費増加に対し、金融所得課税など課税強化で財源をつくるべきだと主張しました。

宮本氏は、同法案は国民健康保険料(税)の値上げの圧力を市町村に加えるものだと指摘。国保に加入する自営業者やフリーランス、非正規雇用の労働者はコロナ禍で厳しい生活状況に置かれているとして、「こんな時に国保料の値上げへ圧力をかける法案など認められない」と強調。国保料引き上げではなく、公費を投入し、協会けんぽ並みに引き下げるよう求めました。


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(2021年4月9日付「しんぶん赤旗」より)