同一労働に同一賃金を 西東京バス 控訴審が結審

 京王グループの西東京バスの運転士、安田崇弘さんが、自身に課された不当な懲戒処分の取り消しと、同じ運行業務に就く運転士の間で100万円に及ぶ賃金格差があることは不当だと会社を訴えた裁判で、控訴審の第一回が5日、東京高裁でありました。
 西東京バスは、八王子市を中心に路線バスを運行しています。安田さんは同社が経費節減のために設立した子会社「多摩バス株式会社」に就職。2011年に、同社が吸収合併されて、西東京バスの所属になりました。
 しかし、多摩バスの社員だった運転士のために複数の就業規則をつくることで、安い賃金のままで働かされ続け、10年以上にわたって年収で100~150万円にわたる差別が放置されています。運転士は同じバスを同じダイヤで運行しており、「同一労働同一賃金」の原則に反するとして、裁判を起こしたものです。
 東京地裁は2023年4月、格差を容認する判決を出し、安田さんが控訴しました。
 この日の意見陳述で安田さんは、「『一国2制度』と呼ばれる耐えがたい働かされ方が10年以上も続いている。経営環境の変化は、従業員全体の労働条件を調整して対応すべきもの」と訴えました。
 また、安田さんが、2016年に、飲食施設などがない発着所で、休憩中に現金で食事を購入したとして、「私金所持違反」として懲戒処分を受けたことについても、取り消しを求めました。
 終了後の集会で、安田さんの代理人の尾林芳匡弁護士は「一審判決はあらゆる点で不合理」と厳しく批判しました。
 安田さんは、傍聴席をいっぱいにする支援者が集まったことに感謝を述べるとともに「粘り強くたたかい、(同社の)労働者の表情を変えたい。明るく働ける職場となるよう頑張っていきたい」と決意を語りました。
 控訴審はこの日で結審し、判決は12月5日に言い渡されます。安田さんを支援する「同一労働同一賃金・休憩時間の自由利用を求める会」は、公正な判決を求める署名を呼びかけています。