宮本徹議員
質問する宮本徹議員=17日、衆院厚労委

65歳以上の労働者のフリーランス化を促す高年齢者雇用安定法(高年法)等改定案が、17日の衆院厚生労働委員会で実質審議入りしました。日本共産党の宮本徹議員は、実態は労働者なのに労働法制の保護を受けられない個人請負の「偽装」が広がる危険を指摘しました。

同法案は、安倍政権の「全世代型社会保障改革」の柱の一つ。

65~70歳の就労確保を企業の努力義務とし、その際、労働法制の対象外であるフリーランスや個人事業主としての業務委託も可能とするもの。

宮本議員は、業務委託は請負「偽装」の温床になっていると指摘。

東京電力パワーグリッド関連会社「ワットライン」と請負契約を結ぶ作業員が労働組合を結成した後、同社が組合員への発注を前年比で最大7割削減した事例を紹介。

東京都労働委員会は作業員らを「労働者」と認めており、労働条件の不利益変更は許されないとし、「同法案で業務委託を認めれば、業務の打ち切りや縮小が自由にできるようになる」と迫りました。

厚労省の小林洋司職業安定局長は「正当な理由のない業務委託打ち切りは(同法案の)趣旨を損なう」としつつ、歯止めは「労使双方の話し合い・納得が重要だ」と述べるだけでした。

宮本議員は「労使には力の差があり、労使合意は担保にならない」と批判。
「幅広く就業の継続を図りたい」と強弁する加藤勝信厚労相に対し、就業継続の方法として「雇用以外の形態を入れなければならない必然性はない。雇用によらない働かせ方を労働法制に組み込むことで、65歳以下にも広がる懸念がある。許されない法案だ」と力を込めました。

同委員会理事会は18日に同法案の採決をすることを決めました。

高年法等改定案 参考人「廃案を」 規制なき労働増える

参考人として意見を陳述した全労連の伊藤圭一雇用・労働法制局長は改定案について、企業に努力義務を課す60代後半の「就業確保措置」の中に「雇用以外の措置」として「委託契約」や「有償ボランティア」の選択肢を入れ込んだことを批判。

「法案が成立すれば高齢フリーランスが増える可能性が高い。労働法の適用が外れ、最低賃金規制も労働時間規制もかからなくなる。不安定で保障のない働き方を増やすのは間違いだ」と強調しました。

さらに、委託契約とはいえ元従業員であり事業主は以前と同様の指揮命令をする可能性が高いと指摘。
「そうなれば委託契約は労働契約を偽装した違法なものとなる。違法を誘発する制度を認めてはならない」と廃案を求めました。

連合の仁平章・総合政策推進局総合局長は「将来的に『雇用でない措置』が65歳以下の労働者にもなし崩し的に広がる懸念が拭い去れない」と発言。

一方、経団連の正木義久労働政策本部長は、「非雇用型」の選択肢まで認めたことについて「評価している」と述べました。

委託契約への切り替えの要件とされている従業員の過半数代表者の同意は多くの場合、歯止めにならないと指摘した伊藤氏に対し、宮本議員は具体的な実情を質問。

伊藤氏は「過半数代表者を選ぶ仕組み自体が法的に厳格ではない。経営者が見ている中での挙手や、社内メールで賛否を問うなどするため、使用者の目を意識し、使用者が指名した人物が代表者になるケースが極めて多い」と語りました。

(2020年3月18日付「しんぶん赤旗」より)