都の判断で除外できます 都営住宅の家賃算定

2022年4月15日

コロナ協力金
 公営住宅の家賃算定の際に、新型コロナ対策の協力金や給付金が収入と認定され、家賃が大幅値上げになる問題で、国土交通省は「協力金や給付金など、継続的収入とすることが著しく不適当である場合がある」として、「自治体の判断で家賃への算入対象から除外できる」との認識を示しました。山添拓参議院議員と日本共産党都議団の聞き取りで6日、明らかになりました。また厚生労働省も、国民健康保険料(税)の算定にかかわって、同様の認識を示しました。

共産党 山添氏、都議団に厚労省
 新型コロナ感染が長引く中、東京都などの協力金や国の給付金などを受けた中小事業者や、フリーランスなどから「協力金や給付金が収入として算定され、都営住宅の家賃や国民健康保険料(税)が大幅に引き上げられる」との不安の声が上がっています。日本共産党議員には「一時的な収入なのに家賃が倍になる。コロナ禍で商売が大変で借金を返すのに精一杯だ。何とかならないか」といった相談が寄せられています。

家賃が倍に
 中野区の浦野さとみ区議には、区営住宅の家賃が4月から2倍以上になる通知に驚いた居酒屋店主から、相談が寄せられました。都の協力金や国の持続化給付金などを受けており、2021年度の収入は区営住宅に入居できる基準(2人世帯は所得226万6千円)を超え、来年度の収入も同様の見込みです。区からは2年連続で収入超過になれば退去の対象になるとの文書も添えられていました。
 両省から聞き取りを行ったのは、日本共産党の山添拓参院議員、尾崎あや子、曽根はじめ、藤田りょうこの各都議。協力金や給付金などを国保料(税)や公営住宅家賃の算入対象から外して、減免を拡大するよう求めました。
 国交省の担当者は、1961年3月に建設省住宅局長(当時)から都道府県知事あてに出された「公営住宅法施行令第一条第三号の収入の認定の特例について」という文書を示し、自治体が判断すれば家賃への算入対象から除外できるとの認識を示しました。その上で、自治体向け説明会で「住民に寄り添った対応を周知することは可能」だと答えました。

 国交省が示した文書は「継続的収入とすることが著しく不適当である場合の取り扱い」が改定されたのに伴い出されたもの。これによると、「退職所得、譲渡所得、一時所得、雑所得その他の所得のうち一時的な収入(おおむね一年以内の期間ごとに継続的に得る収入でないもの)は除く」としています。
 また、厚労省の担当者は「協力金・給付金は(コロナ対応の保険料減免の対象となる)一時的収入だ。全国の自治体の会議でも周知している」と答えました。
 山添参院議員や尾崎都議らは「収入は保育料や特別養護老人ホームの利用料にも跳ね返る」「自営業者や国保加入者が制度を知らなければ、借金してでも国保料や家賃を無理して払わなければならないと思ってしまう。権利として減免ができるよう、国が全国に通知を出してほしい」と要望しました。

小池知事に要望
 日本共産党都議団は国交、厚労両省からの聞き取りを受けて7日、都営住宅の家賃の収入算定から新型コロナ対策の協力金などの受給金額を除外するよう、小池百合子知事あてに行いました。
 要望は▽都として都営住宅の家賃を決める際、新型コロナ対策としての協力金や給付金等を一時的な収入であり、継続的収入とすることが著しく不適切であると判断し、収入算定から除外する▽すでに収入として認定して家賃が決められた場合には、協力金や給付金相当の額を家賃減免できるようにする▽都営住宅の「収入申請書」用紙に収入額とあわせて協力金・給付金額の受取額も記入できるように用紙を改善する―の3項目。
 応対した青柳一彦・住宅政策本部都営住宅経営部長は、「預からせていただき、確認させていただきます」と答えました。