【都知事選】宇都宮けんじ候補への志位委員長の応援演説

日本共産党の志位和夫委員長が18日、東京・新橋駅前で行った宇都宮けんじ候補の応援演説は次のとおりです。

志位和夫委員長
訴える志位和夫委員長=18日、東京・新橋駅前(「しんぶん赤旗」提供)

 みなさん、こんばんは。日本共産党の志位和夫でございます。宇都宮さんをどうしても東京都知事にと応援にかけつけました。どうかよろしくお願いします。(拍手)

 宇都宮けんじさんは、長年にわたって弱い立場の人びとにとことん寄り添いつづけた心優しい人であります。同時に、サラ金やヤミ金の被害者を守るためならば、どんな脅しや暴力にも屈しない勇気を貫いた人です。

 私は、人格、識見、政策、どれをとっても最良の候補者が宇都宮けんじさんだと確信しております(拍手)。どうか市民と野党が力を合わせて、必ず都知事に押し上げようではありませんか。(拍手)

東京都の新型コロナ対策の転換を

 みなさん。東京都の新型コロナ対策は今のままでいいでしょうか。

 小池知事は、いったい何をやってきたのか。

 小池知事は、東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まった翌日――3月25日に、にわかに「感染爆発重大局面」だと言い始めました。オリパラ優先のために初動が遅れたのではないでしょうか。

 小池知事が「東京アラート」を解除した日――6月11日は、都知事選挙出馬表明の前日でした。

 これらの一連の対応は、自分の政治的思惑を、感染対策に優先させたと言われても仕方のないものではないでしょうか。(拍手)

 私は、感染対策は、あくまで科学を根拠にすべきだと考えます。政治的思惑を科学に優先させるなら、信頼はなくなり、失敗は避けられないのではないでしょうか。都政のこうした姿勢を大本から改めなければならないのではないでしょうか。

 「PCR検査が受けられない」――多くの人々が苦しみました。政府の専門家会議も5月29日の「状況分析・提言」で、「検査が必要な人に対してPCR等検査が迅速に行えなかった」と反省を述べています。ところが、小池知事は、6月に入ってからの都議会の答弁で、「遅れているではないか」との指摘に対して、「必要な検査は実施されている」と強弁しました。あんなに苦しんだのに反省がないじゃないですか。こんな姿勢で感染拡大の「第2波」が防げるでしょうか。

 自粛と補償はセットで――この多くの都民の願いに都政は応えたでしょうか。都の協力金は、対象が休業要請を行った業種に限られており、全事業者のわずか3分の1しか対象にしていません。申請開始から約2カ月たっても、いまだに届いていない事業者が多く残されています。怨嵯(えんさ)の声があふれているのに、小池都知事は「これからは自粛から自衛だ」と言い放ちました。都民に「自衛」をもとめるだけなら、何のための都政かということになるではありませんか(拍手)。都民の自己責任だと突き放す態度は、知事としての責任放棄ではないでしょうか。

 私は言いたい。パフォーマンスだけの人はもう退場してもらいましょう(「そうだ」の声、拍手)。誠実な人に代わってもらいましょう(拍手)。宇都宮けんじさんで、誠実に、都民の命と暮らしを守る都政に切り替えようではありませんか。(拍手)

 PCR検査を抜本的にふやして、先手を打って感染拡大を抑える、積極的検査が必要です。暮らしと営業が立ち行かない人々に、徹底的な補償を行うことが必要です。(「そうだ」の声、拍手)

 都民の生存権がかかった選挙――宇都宮けんじさんを都知事に押し上げて、新型コロナから都民の命と暮らしを守り抜こうではありませんか。(拍手)

保健所の強化、都立病院・公社病院の独法化は中止、拡充を

 みなさん。もう一つ訴えたいことがあります。保健所や都立病院を粗末にする都政を続けていいのかという問題です。

 保健所の大切さは、コロナ危機を通じて、痛いほど実感されました。「電話がつながらない」。職員の方々は不眠不休で頑張られましたが、都内の各地の保健所がパンク状態に陥りました。

 なぜこんなことが起こったか。自民・公明の都政によって、1994年には都内に71カ所あった保健所が31カ所まで減らされたからです。ところが小池知事は都議会で問われて、「機能強化を図った」と強弁したのです。ここでも反省がありません。宇都宮けんじさんで、感染症の最前線で頑張る保健所の抜本的な強化をはかろうではありませんか。(拍手)

 今回のコロナ危機で、都立病院・公社病院は、感染症のベッドをフル稼働させるとともに、コロナ患者を率先して受け入れ、献身的な大奮闘をしました。

 ところが小池知事は、コロナ危機のまっただなかの3月31日に、都立病院・公社病院を独立行政法人化するという方針を決めました。民営化に近づけ、都の財政支出を大幅に削減しようというのです。みなさん、これはあべこべではないですか。もっとも頑張っている病院に対しては支援こそ必要ではないでしょうか。財政支出を減らしてしまうというのは、危機から何も学ばない姿勢ではないですか。(拍手)

 宇都宮けんじさんは、今日の第一声で、「都立病院・公社病院の独立行政法人化を中止し、拡充を求める」と力強く訴えました。

 感染拡大の「第2波」に備え、また東京の未来を展望しても、保健所や都立病院、福祉と教育に手厚い東京を、いましっかりつくっていかなければなりません。その仕事を宇都宮けんじさんにやってもらおうではありませんか。(拍手)

自己責任の押しつけでなく連帯の力でよりよい未来を
 新型コロナ・パンデミック(世界的流行)のもと、世界でも日本でも、社会保障を切り捨て、自己責任を押し付ける「新自由主義」が、大破綻したことはもはや明らかです。「新自由主義」の居場所は、世界にも、日本にも、そしてこの東京にも、もはやどこにもないのではないでしょうか。(拍手)

 自己責任の押しつけでなく、連帯の力でよりよい未来をつくりましょう。この願いを宇都宮けんじさんに託してください。どうか最後の最後までご支持の輪を広げに広げてください。

 ありがとうございました。(拍手)

(2020年6月19日付「しんぶん赤旗」より)