都民を守る都政、今こそ 新型コロナ 緊急事態宣言を全面解除

東京都 段階的緩和へ行程表
東京都は国が緊急事態宣言の全面的解除を発表(5月25日)したことを受け、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛・休業要請を、ロードマップ(行程表)に基づき5月26日、緩和しました。都が設定した指標に基づき3つの段階(ステップ)を踏んで緩和するもので、感染が拡大すれば再要請するとしています。
緩和はおおむね2週間ごとに段階を踏んで実施。小池百合子知事は、感染者が少ない状況が続けば、次のステップへの移行を早めることも検討するとしています。
現在の「ステップ1」では博物館や美術館、図書館などの文化的施設に加え、体育館など屋内運動施設も緩和されます。「ステップ2」は、学習塾や劇場、生活必需品販売以外の店舗など。「ステップ3」は、漫画喫茶やパチンコ店、遊園地など遊戯施設が対象となります。
イベント開催は可能な参加人数を段階的に示し、飲食店の営業時間や酒類提供時間もステップごとに示しています。一方、接待を伴う飲食業やライブハウスなど、クラスター歴のある感染リスクの高い施設は対象に含めず、今後、検討します。

新規50人で再び
都は要請の緩和指標について、「新規感染者が20人未満」(1週間平均)、「感染経路不明者の割合が50%未満」(同)、「週単位の感染者の増加比率が1未満」などを示してきました。この指標を上回るなどした場合、「東京アラート」を出して警戒を呼びかけます。その際、東京湾お台場のレインボーブリッジを赤色に点灯(午後8時~0時)します。
さらに「1日の新規感染者数が50人」「新規感染者数に占める接触経路等不明が50%」などの基準を超えた場合、外出自粛や休業などを再要請します。

学校は分散から
都立学校は6月1日から再開します。週1日2時間程度の分散登校からはじめ、登校日の設定数を変更。オンライン学習などの家庭学習と組み合わせます。
週1日2時間程度の在校時間で生徒数は6分の1程度とし、段階的に登校頻度や在校時間、生徒数割合を増やし、学校と家庭学習の配分も変えていきます。感染拡大にも備えます。
各自治体の多くも6月1日から段階的に再開する方針。狛江市も6月1日から市立小中学校を再開し、5月26日までは分散登校とします。夏休みを短縮し、小学校は7月31日、中学校は8月7日まで授業を行います。1学期分の給食費は無償とする方針です。小金井市は市立小中学校の通常授業を6月15日とし、事前に準備登校日(5月5日)、分散登校日(6月1日)を段階的に設定。給食も6月15日以降、順次始める予定。

PCR強化 都の姿勢転換が急務
共産党緊急政策 田辺都委員長に聞く
日本共産党都委員会は20日、新型コロナ感染拡大を防ぎ、都民の命と健康を守るための緊急政策を記者会見で発表しました。PCR検査の抜本拡充や医療体制の確保など、感染拡大防止と経済活動再開を両立させるための政策を提案。あわせて、長期的な感染症とのたたかいのため効率・開発優先の都政の転換を提言しています(別項に骨子)。田辺良彦都委員長に政策のねらいと重視したことを聞きました。


―緊急政策を発表した、ねらいは。
いま、幸いなことに、新規の感染者は減少傾向に入り、緊急事態宣言は解除されました。しかし、感染拡大の広がりを食い止めるため、多くの都民がさまざまな自粛を求められ、それに協力する中で、暮らしと営業に深刻な困難が広がっています。都民の命、暮らしをどう守っていくのか、国の対策も都の対策も、事態の進展についていけていません。
今回の感染拡大では、大規模な医療崩壊が起きる寸前でした。何がその事態を招いたのか、都政がやるべきことは何だったのか、その教訓を生かさないで第2波、第3波の感染拡大を迎えれば、さらに重大な危険に都民がさらされます。いったん感染が収まりつつある今こそ、やらなくてはいけないことがあると、緊急政策にまとめました。
―その点で、小池都政のコロナ対策の現状をどう見ていますか。
小池都政の対策の最大の問題は、今、最も求められている、PCR検査の抜本的な拡充に取り組んでいないことです。
日本はPCR検査の人数が各国に比べて極端に少ないため、感染者を把握・隔離できず、市中感染を広げてしまいました。感染の実態をより正確につかんでこそ、効果的な対策を進めることができるし、仮に次の感染の波が起きた時にも、迅速に対応できます。
また、自粛要請が長引く中で、多くの中小企業・業者が、倒産や廃業の寸前まで追い込まれています。感染拡大を防ぎながら、経済活動の再開を進めなくてはいけません。感染拡大防止と経済活動を両立させるためにも、大規模な検査で感染の実態を把握することが、決定的な鍵なのです。
小池知事は今年4月の都議会で、「必要な検査が実施されていると認識」していると、検査の現状を容認する答弁をしています。第2回定例都議会に出された補正予算案も、PCR関連の予算は極めて不十分です。
検査抜本拡充に取り組まない都の姿勢の転換が急務です。

総額5800億円の補正予算
PCR検査は不十分
東京都は、新型コロナウイルスの対策費を盛り込んだ新たな補正予算案(総額5800億円)を19日公表しました。補正予算案は、27日開会の都議会第2回定例会で審議されます。
補正予算案には、「協力金」の追加支給のための費用930億円、申し込みが殺到している中小企業制度融資の目標額を2兆5000億円に引き上げるための預託金の増額、信用保証料補助の経費3041億円を計上。「協力金」をめぐっては支給が遅く、休業や時間短縮で苦境に立つ業者から急いでほしいという声の他、追加支給や対象業種の拡大など、拡充を求める要望が強く出されています。
他に新型コロナ感染症の影響による休業などで一時的な資金需要に応える特例貸付(緊急小口・総合支援資金)の原資(574億円)、一日で申し込み枠を超えた「アートにエールを!東京プロジェクト」の拡充のための経費(28億円)を盛り込みました。
また、感染拡大の第2波に備え、ウイルスの感染を短時間で調べることができる「抗原検査」や、感染したことがあるかを調べる「抗体検査」、区市町村立学校の感染症対策への補助(28億円)、テレワークの活用促進支援(366億円)などの費用も含まれています。共産党都議団の要望が盛り込まれた一方、PCR検査体制の拡充のための予算などは不十分だとの指摘が出ています。
都議会が開会する27日には、小池百合子知事が施政方針を表明。6月2日に代表質問、3日に一般質問、10日に討論・採決を行い閉会予定です。