都議会本会議 和泉都議が代表質問

 東京都議会は2月26~28日に本会議を開き、小池百合子知事の施政方針表明(2月19日)に対する各派代表質問と一般質問を行いました。日本共産党からは代表質問に和泉なおみ都議(27日)、一般質問には斉藤まりこ(27日)、米倉春奈(28日)両都議が立ちました。

 「石原都政が切り捨てた高齢者福祉の立て直しや、貧困と格差対策が極めて不十分だ」。和泉都議は小池知事が公約した都政改革について、厳しく指摘しました。
 例えば特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、認知症高齢者グループホーム、地域密着型サービスなど、介護施設の高齢者人口一人あたりの定員数は、いずれも全国最低水準のままです。特養老人ホームの待機者は約3万人で高止まり、都の整備目標に対する進ちょくも立ち遅れています。

 小池都政は昨年12月に策定した「『未来の東京』戦略ビジョン」(長期ビジョン)で、「健康長寿」を目標に掲げました。ところが新年度予算案を見ると、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの整備費補助は大幅に削減されています。福祉保健局が減額要求し、知事査定でさらに削減したためです(表参照)。

 和泉都議は都の厳しい条件でも「入所の必要性が高い」とされた特養老人ホームの待機者でさえ、3年間で3956人から3820人に、わずか3㌫しか減っていないと指摘。「少なくとも入所の必要性が高い人がすぐに入れる緊急整備に取り組むべきだ」と、知事をただしました。

 小池知事は「区市町村のサービス見込み量などを踏まえて整備目標を定めている」とし、厳しい実態に応えようとしませんでした。
 連続値上げが計画される東京23区の国民健康保険料について和泉都議は、「赤ちゃんを含めて全加入者に課せられる均等割が5万2800円になる」と指摘。全国30市町、都内でも5市が子どもの均等割を軽減していることを示して、「都も実施に踏み出す時だ」と主張。小池知事は子どもの国保料軽減について「各区市町村が判断するもの。制度上の課題は国が対応すべきもの」と、背を向けました。

独法化で医療後退させるな 共産党代表質問 小池都政 3つの大問題

和泉都議は小池都政に「3つの大問題」

①都立病院・公社病院の独立行政法人化
②羽田空港の新飛行ルート
③カジノ誘致問題―

があると強調しました。

大問題1 都立病院の独法化

 その一つは、小池知事が施政方針で表明した都立病院・公社病院の地方独立行政法人化(独法化)。病院経営を都立直営から、効率化や採算性を優先する、より民間に近い形態に変えるものです。
 和泉都議はその狙いについて、「新たな病院運営改革ビジョン(素案)」(2019年12月)の「更なるコスト削減」などの記述をあげ、都の財政支出を減らすことであり、「不採算などの行政的医療の後退や、患者負担増、医師・看護師の労働環境の悪化を招くことは明白」だと強調。さらに、庁内における決裁手続きも行われていないことを告発し、独法化方針の撤回を求めました。
 和泉都議はまた、小池知事が独法化について、都民の安全安心を確保するかのようにのべていることは、事実と真逆だと批判。都立病院などが今問題となっている新型肺炎などの感染症医療や災害医療、周産期医療など採算確保が難しい行政的医療の中核的な役割を果たしているとし、知事の認識をただしました。
 小池知事は「一般会計の負担は必要なものであり、地方独立行政法人化後も、同様であると認識している」とのべたものの、和泉都議の指摘には答えることができませんでした。
 和泉都議は、独法化した大阪府立病院機構は母子医療センター分娩(ぶんべん)料が直営時の約2倍の18万2000円、差額ベッド代を一日最大6万円に値上げしたことをあげ、認識を問いましたが知事は答えませんでした。

大問題2 羽田新ルート

 小池知事は国際競争力の向上や東京オリンピックに資するとして、東京都心の超低空を飛行する羽田空港の新飛行ルートを国と一体で推進しています。国は1月末から実際に旅客機を飛ばす試験飛行を強行しました。
 和泉都議は住民の不安の声や2年間で974件にのぼる航空機からの部品落下数を紹介。「重大な事故が起こってからでは遅い。国に羽田新飛行ルートを撤回することを強く求めるべきだ」と迫りました。
 小池知事は「都民の理解が深まるよう、丁寧な情報提供や騒音・安全対策の着実な実施を求めていく」と答弁し、都民の不安に応える姿勢を示しませんでした。

大問題3 カジノ誘致

 カジノ担当の元副大臣で東京選出の現職国会議員が、カジノ業者から賄賂を受け取った疑いで逮捕されるという、衝撃的な事件が起きました。小池知事はこの事件について記者会見で「デメリットの部分がこのような形で出たことはとても残念」とのべました。一方、今後について「都としてメリット、デメリットの検討を重ねていく」とものべています。
 都はカジノについて2014年度以降、調査を重ね、新年度も調査費1000万円を計上しています。和泉都議は「メリット・デメリットとは何なのか」「誘致する気があるから、お金をかけて調べているのではないか」と指摘。ギャンブル依存症の疑いのある人が全国320万人にのぼっていることもあげ、「ギャンブル依存症をさらに増やすカジノ誘致の検討は、きっぱりやめるべきだ」と、ただしました。
 小池知事は「メリット・デメリットの両面について総合的に検討していく」との従来答弁を繰り返しました。
 和泉都議はこのほか、超高層ビルを林立させ、都の街を壊す開発計画、防災対策、東京五輪・パラリンピックの経費削減問題、米軍横田基地の環境汚染問題などについて取り上げました。

都議会傍聴 当面中止に

 都議会は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、2月28日から当面の間、傍聴と議事堂の見学を中止しました。