マラソン・競歩 札幌実施へ 東京五輪 調整委で決定

2019年11月12日

 2020年開催の東京五輪のマラソン、競歩の開催地を東京から札幌に移すことが1日、正式に決まりました。国際オリンピック委員会(IOC)、国、都、大会組織委員会の4者トップが出席して都内で開かれた調整委員会の会合で決まりました。
 合意内容は①会場変更の権限がIOCにあること②札幌に変更となった新たな経費は東京都に負担させない③すでに支出した経費は精査・検証し、東京都において別のものに活用できない場合は東京都に負担させない④マラソン、競歩以外の競技変更はしない─ の4点。
 IOCはドーハで行われた陸上の世界選手権で棄権する選手が相次いだことを受け、猛暑の影響が懸念される東京五輪のマラソンと競歩の会場を札幌市に移すと発表していました。一方、小池百合子知事は事前説明がなかったとして反発を強め、東京実施を主張していました。この日の会合で小池知事は「開催地の決定権限はIOCにある。都として札幌開催には同意できないが、IOCの決定は妨げない。あえて言うなら合意なき決定」だと表明しました。
 7・8月の開催時期を巡っては、IOCが莫大な放映権料を払う米テレビ局の要求を最優先にしているためです。しかしこの時期の東京は「いのちに関わる危険な暑さ」「災害と認識」(気象庁)というような猛暑。都民団体や共産党都議団などは、当初から開催時期を9・10月などに再検討するよう求めていました。
 しかし都は、大会招致時に示した「立候補ファイル」(13年)で、「天候は晴れる日が多く、かつ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」と、東京の猛暑をごまかして紹介。都や組織委の暑さ対策も、競技時間の早朝繰り上げ、保冷剤の配布、コースの遮熱性舗装など、抜本対策には遠く、選手からのコース変更の要望にも消極的でした。

IOC、都にも責任 共産党が談話

 日本共産党都議団の大山とも子幹事長は1日、東京五輪大会のマラソンと競歩会場が札幌市に正式変更されたことを受け、「IOCにも都にも重大な責任がある」「真にアスリート・ファーストを貫くものとするよう、IOC、東京都、組織委員会に強く求める」とする談話を発表。選手からコースや時間などを早く決めてほしいとの意見が出ていると指摘。「札幌での具体化は、両競技のアスリート、競技団体をはじめ関係者の合意と納得のもとに速やかに進めていくべき」だと強調しています。
 大山幹事長は会場変更の正式決定前にも談話を発表し、会場変更についてアスリート・ファーストの立場を最優先にして、あらゆる可能性を検討し、十分な意見交換をすることや、IOC、組織委員会、都が今回の会場変更方針をめぐる経過や、真夏に開催することについて、どのように考え、検討し、対応してきたのかを明らかにすることなどを求めていました。