豊洲市場 問題続出、設計に疑問 尾崎都議が追及 開場直前のベンゼン基準140倍

2018年12月7日

豊洲市場 問題続出、設計に疑問 尾崎都議が追及 開場直前のベンゼン基準140倍
 東京都が10月11日に開場を強行して1カ月が過ぎた豊洲新市場(江東区)。深刻な土壌汚染の他にも、さまざまなトラブルが続いています。
 
 開場直前の豊洲新市場の地下水から、最高で環境基準の140倍の発がん性物質ベンゼンが検出されたことが、都の調査で分かりました。猛毒のシアンやヒ素とともに3つの街区全域で高濃度の汚染物質の検出が続き、汚染が以前として深刻な状態にあることが浮き彫りになりました。トラブルも続出で、業者から不安の声が絶えません。
 
 調査は開場(10月11日)直前の7~10月に実施。10月上旬にベンゼンは調査井戸33カ所中23カ所で環境基準を超え、濃度が最も高かったのは青果棟売場がある6街区の井戸の1㍑当たり1・2㍉㌘でした。
 
 ヒ素(環境基準は同0・01㍉㌘)は18カ所中12カ所で基準を超え、濃度が最も高かったのは6街区の調査井戸で、8月に検出した同0・04㍉㌘でした。
 
 
結果の毎月公表を
 開場後、初めて市場に関する質疑が行われた都議会経済港湾委員会(11月15日)では、続出するトラブルについて共産党の尾崎あや子都議がただしました。尾崎都議は地下水の汚染問題で、調査結果を毎月公表するよう要求。相次ぐトラブルをめぐっては「市場関係者から設計そのものに問題があるのではないかという声があがっている」とのべ、追及しました。
 
 
マンホールから
 10月25日に7街区のマンホールで汚水があふれ出たトラブルで、尾崎都議は溢れた水が手洗いやトイレで使用した汚水であることから「二度とあってはならない」と批判。同様のタイプの全マンホールを点検し、再発防止策を講ずるよう求めました。
 
 
使い勝手の悪さ
 開場後、設計段階から現場の声を聞かずに設計したことからくる使い勝手の悪さに、業者から改善要望が多数出ています。都はこの間、車両動線の改善やターレ(小型運搬車)の充電設備の増設などを実施しています。尾崎都議は「あまりにもずさん、これでは改修にいくら経費がかかるか分からない」と指摘しました。
 
 
魚くさい
 6、7街区で異様に魚臭いと苦情が出ています。尾崎都議が原因をただしたのに対し、都は建物が閉鎖型で空調や清掃の問題を理由にあげ、業界と連携して適切に対応するとしました。
 尾崎都議は「業者はこまめに清掃していると言っている」とし、築地市場と異なり、生ごみを受ける排水口のゴミを受ける、マスが売場近くにあることを指摘。「水はけが悪く、店舗近くのマスにごみが集まるので、(清掃する)業者の負担が大きい」と指摘。改善を求めました。
 
 
エレベーター故障
 開場後、10月末までに5街区2カ所、6街区1カ所、7街区5カ所のエレベーターが故障。合計18台中8台も故障したことが明らかになりました。尾崎都議が原因をただすと、都はフォークリフトの接触によるセンサーの破損だとしました。
 
 
床の耐荷重不足
 水産仲卸場棟に張られてあった「2・5㌧フォークリフト 800㌔㌘」の張り紙について質問。都は「2㌧以上のフォークリフトの載荷が事実上800㌔㌘までに制限されていること」を明らかにしました。
 
 尾崎都議は2016年の同委員会で、床の耐荷重について質問した際、都は床の耐荷重は問題ないことや、築地市場のフォークリフトの使用実態を踏まえた上で、「約1㌧強、積載されていると想定して設定していると答弁していた」と追及しました。
 
 また、すでに当時の質疑の中で、耐荷重以上の荷物が頻繁に移動されれば、建物の影響が出ると指摘していたとのべ、「やはり耐荷重不足でないか」と追及。「中核を担う市場として耐荷重問題は軽視できない」と厳しく指摘しました。
 
 
業者が44社減
 豊洲市場の開場時、同市場で営業する水産仲卸業者は492社で、築地市場から移転するまでの1年間で44社減ったことが分かりました。尾崎都議の質問に、都が答えました。
 
 尾崎都議は仲卸業者が減少し、店舗の大型化が進む状況について、「目利きが少なくなることにつながる」と指摘しました。
 
 
揺れる建物
 6街区の3階が常時振動する問題は、自民党都議が取り上げました。都の職員が5分間いただけで気分が悪くなったといいます。

 都は通路のつなぎ目の段差をターレなどが通過するときの振動が原因とし、ゴム板で段差をなくし、ターレの制限速度順守を徹底するとしました。