目黒区 女児死亡 児童福祉司の増員を 都議会厚生委 藤田都議が主張

2018年6月27日

目黒区 女児死亡 児童福祉司の増員を 都議会厚生委 藤田都議が主張
 都議会厚生委員会は7日、目黒区で3月に起きた5歳女児が死亡し、両親が保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された事件を受けて出された、全ての虐待案件について児童相談所と警察が情報共有(全件共有)するよう求める陳情について、全会一致で継続審査にしました。
 
 都などによると、転居元の香川県の児童相談所(児相)から虐待に関する引き継ぎを受けた品川児相の職員が2月に家庭訪問をしましたが、女児には会えませんでした。その後、対応を協議しようとした矢先に、事件は起きたといいます。
 
 質疑に立った藤田りょうこ都議(共産党)は、虐待が起こる背景に、親の親からの虐待の連鎖や貧困、若年妊娠、社会的支援の乏しい一人親、非正規などの不安定雇用、親などの精神疾患など、複雑なリスク要因が多くあり、虐待の表れ方も、それぞれ違うと指摘。必要な介入は確実に行う必要があるとともに「信頼構築など、丁寧な対応が求められる」とし、「そのためには、児童福祉司によるケース対応の質が維持できるだけの人員配置基準を設けることが重要だ」と強調しました。
 
 児童福祉司の国の配置基準(各児相の管轄人口4万人に1人、児童虐待相談対応件数に応じて上乗せ、今年度までは経過措置)に基づくと、都は11カ所ある児相に配置される児童福祉司の必要人員は合計363人になり、現人員から90人の増員が必要です。また、児童虐待に関する相談対応件数は年々増加し、児童福祉司一人当たりの受け持ち件数は、2016年度は56件に達しています(表)。
 
 藤田議員は、こうした問題を明らかにした上で、「対応能力を大幅に超えているのではないか」として、都の考えをただしました。谷田治・都少子社会対策部長は、「チーム制」を導入し、複数の児童福祉司が協議しながら対応し、加えて児童心理司や虐待対策班、医療連携専門員、家庭復帰支援員など、さまざまな役割を担う職員が協働して対応していると答えました。
 
 藤田都議は「チーム制」の利点はあるとしながらも、「受け持ち人数が多すぎて、対応しきれずに虐待死が起きることはあってはならない」とのべ、国基準での人員配置の実現とともに一人当たりの相談対応件数の上限設定による緊急の人員増、人材育成の早急な対応を求めました。
 
 警察との連携について藤田議員は、残虐な傷害事件に発展するものや、児童福祉司自体が保護者の暴力などの被害にあうことも想定されることから、「必要と考える」と表明。全体共有については、児童相談所への通告をためらうのではないかという心配があること、相談の対応の結果、虐待に非該当となるケースが一定あることも考える必要があると指摘。現場の児童福祉司へのアンケートなどを示し、人をしっかり配置することが非常に重要だとのべました。
 
 都は児相には現職やOBの警察官を配置し、身体的虐待による一時保護後に家庭に戻した場合には警察と情報共有しています。谷田部長は同委員会で、警察との連携について、虐待情報の共有範囲の拡大を含めて「協定内容の見直しを行うなど、さらなる連携強化に取り組みたい」としました。一方、全件共有については「児相は虐待をしてしまうことに苦しむ親からの相談機関でもあり、相談内容が警察に流れることになれば、相談をためらう恐れもある」として、否定的な考えを示しました。
 
手を合わせ涙…
 両親から虐待を受けて死亡した目黒区の船戸結愛ちゃん(5つ)。9日土曜日の夕方、結愛ちゃんが住んでいたアパート前には、近所に住む親子連れや通勤帰りの人たちが花束を持って次つぎに(写真)。娘(6つ)と手を合わせた男性(37)は「どうしても来たいと思って…」と涙していました。