「安倍やめろ」「ウソつくな」 国会前に怒りの5万人

2018年4月20日

「安倍やめろ」「ウソつくな」 国会前に怒りの5万人
 トランプ米大統領のシリア空爆に14日、いち早く「支持と理解」を示した安倍晋三首相。一方で森友学園問題、加計学園問題に見られる国政の私物化や、世論を無視した改憲策動、公文書改ざんと隠ぺいなど、でたらめ政治はとどまることを知りません。世論調査では第二次安倍政権発足後、最高の不支持率になったにもかかわらず、地位に恋々としがみつき問題の解決に背を向けたままです。「もう我慢できない」とばかりに、街に出て「NO安倍政権」の声を上げる人の輪が大きく広がっています。国会前に5万人が集まった14日、各地でくり広げられた行動を追いました。
(菅原恵子)

シスターが訴え
 「平和が一番」「天使にラブソングをだけでなく、安倍政権にNOを。改憲にNOを」と声を合わせ、「安倍改憲NO3000万人署名」を訴えたのは、キリスト教カトリックのシスター(修道女)たち。キリスト教の聖職者だけでなく、心ひとつに僧侶や神主も駆けつけました。
 
 14日正午メルセス修道院のシスター清水康子さんの呼びかけで新宿駅西口で行われた署名宣伝行動にはシスターだけで55人、キリスト者平和ネットや賛同する宗教者を合わせると100人を超える人たちが参加しました。
 
 署名行動に参加した峯妙子さん=シスター=は「私の修道院から3人で参加しています。いつも修道院で平和のために祈っていますが、今日は平和のためにみなさんと一緒に祈る思いで行動に参加しています」と語り、道行く人に丁寧に訴えていました。30代のシスターは「どうしても平和憲法を守りたいと思っています。東アジアの平和は憲法を守ることが大切です」と、初めて行動に参加した動機を話します。
 
 賛美歌を歌いながらの訴えに足を止めた30代の親子連れは「シリアの子どもをニュースで見ました。子どもが怯えることがない世の中が一番」と言いながら署名をしていました。
 
 「宗教でいちばん大切なのは命。お互いを大切にし合うこと」とマイクを握り訴えたのは、光延一郎上智大学教授。浅川金刀比羅神社の奥田靖二宮司は「9条に自衛隊を書き込む事は集団的自衛権の下にアメリカと海外で戦争をすること。繰り返してはいけない」と力を込めました。
 
 「寝ても覚めても改憲が頭を離れません。黙っていれば(改憲に)いいよ、認めるということになるから声を上げます」と話すシスターは最後まで署名をすすめる手を緩めませんでした。平和を願う思いが人の心を動かし、足を止める人がいつも以上に上りました。
世の中を変えるとき
 
 新宿駅西口の署名宣伝行動に参加した人たちと一緒に、国会前に移動しました。
 午後1時30分頃丸ノ内線で国会議事堂前駅から地上に出ると、議事堂前側の歩道は警察によって封鎖され遠回りを強いられました。「過剰警備では」「集会の参加者じゃない方を守っているよう」の声が聞こえます。途中、首相官邸前では日の丸を掲げて整列し「安倍首相頑張れ」と声を上げる人が40人程いました。
 
 国会前交差点を目指して歩くうちに、だんだんと人が増え、ゆっくりとしか進めなくなりました。歩道と車道の境界に鉄柵が設置され、柵と柵とを極太のワイヤーで固定してあります。「ウソつきは独裁の始まり」「#全部明らかにしてください」などと、書かれた色々なプラカードやデコレーションが目に付き、熱気もましてきます。
 
 午後2時「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会(総がかり行動実委)」主催の集会が始まりました。永田町駅方面からも桜田門駅方面からも、途切れることなく人が歩いてきます。メーンステージ前は身動きできない程の状態になりました。観光バスから手を降る人に励まされ、手を振り返す参加者の姿もありました。
 
 立憲民主党の長妻昭衆議院議員、日本共産党の志位和夫委員長ら各界からの連帯のあいさつが終わる頃には、警察から国会前交差点の横断を禁止するアナウンスがありました。参加者は更に膨れ上がる状況になりました。
 
 集会が熱気を帯びる中で鎌田健さん(25)=団体職員=は「安倍さんには辞めて欲しい。戦後70年平和を守ってこられたのは憲法9条があったから。これからの長い人生を考えると、平和と民主主義を守るためにも改憲は絶対にいけない」と参加の理由を話してくれました。「1人では何も変わらないではなく、10人集まれば変わる。今これだけの賛同者がいる。圧力がすごい」と話してくれたのは都内在住の20代の女性です。
 
 午後3時30分総がかり行動実行委員会が「参加者3万人」と発表した後、若者たちのグループ「未来のための公共」と「スタンド・フォー・トゥルース」に主催者が交代。若者たちの「改ざんやめろ」「総辞職」コールに老若男女が応えます。参加者のボルテージが一気に高まり、桜田門から国会前交差点に向かう道の両側の歩道に設置された鉄柵が倒れ、安倍政権への怒りが一気に車道にあふれ出ました。井口諭さん=牧師=は「政治の私物化は許さない。政治は国民のためにあります」と語り、コールに声を合わせていました。
 
 車道と歩道でコールが続く中で、警察が誰もいない国会議事堂を守る反面、主催者の若者たちは警察が放置した鉄柵を片付けながら「足元に気をつけて下さい」と注意を促し、安全を確保する姿が印象的でした。
 
 この日の参加者は延べ5万人(主催者発表)に上りました。