横田基地オスプレイ配備問題
田村智子参院議員の追及(詳報)

(写真)市街地に囲まれた米空軍横田基地(2012年撮影)
(写真)市街地に囲まれた米空軍横田基地(2012年撮影)

「日本全国で危険な訓練がやりたい放題になる」―。米空軍横田基地(東京都)への特殊作戦機CV22オスプレイの配備問題を取り上げた日本共産党の田村智子議員の追及(22日、参院決算委員会)で、米国のアジア太平洋重視戦略(リバランス)のもと、新たな米軍基地強化策を無条件で受け入れる政府の深刻な対米従属姿勢が浮き彫りになりました。

首都圏でも訓練

CV22の配備は、2006年に最終合意した在日米軍再編協議の中では一切明らかにされていません。しかし日米両政府は近年、リバランス戦略の一環で、「高度な能力」の前方配備との名目で、地元自治体との調整もないまま新たな基地強化策を次々に打ち出しています。

田村氏は、米空軍の指示文書が、CV22による高度30~60メートル(100~200フィート)の超低空飛行訓練に言及していることをあげ、「日本のどこでやるのか」と追及しました。

中谷元・防衛相は「米側は全ての日米合意を順守する」と述べるものの、「横田基地上空で行われる訓練は、通常訓練が大半だ」などと首都圏でさえ危険な訓練の実施を否定しない異常な姿勢を示しました。さらに中谷氏は、政府が進める「沖縄の基地負担軽減」との矛盾を指摘されると、「訓練等を日本全体に分散していく」と答弁。米軍普天間基地(沖縄県)に強行配備されたMV22と同様、CV22についても、全国に訓練展開していく考えを示しました。

合意が守られず

さらに田村氏は、普天間基地の航空安全担当官がオスプレイ運用に関する日米合意について、「必ずしも法的拘束力を持つわけではない」「(別の)飛行基準に従って飛ぶ」(10日)と否定する発言をしていることを指摘(別項)。沖縄でオスプレイが学校上空を飛ぶ写真も突きつけ、「これで(学校上空は避けて飛ぶという)日米合意が守られているといえるのか」と迫りました。

しかし、中谷氏は「(合意)違反があるとの確証はない」と強弁。岸田文雄外相は「(担当官の)発言の後、米側に再確認した」と答えるだけで、政府間合意の不履行に抗議すらできない腰砕けぶりを露呈しました。

田村氏は、CV22が国境も国際法も無視して暗殺や敵地侵入を行う米特殊部隊の輸送を主任務としていることにふれ、「外国軍の特殊部隊の拠点を首都に置く国はない。こんな訓練に国民をさらすのか」とただしました。

安倍晋三首相は「米側には約束を守っていただきたい」と答えるのが精いっぱいでした。


米軍普天間基地のクリストファー・ディマース航空安全担当官の発言(10日、日本記者クラブ沖縄取材団に)

(オスプレイ運用に関する日米合意が)「必ずしも法的拘束力を持つわけではない」「安全に飛行するために定められた(別の)飛行基準に従って飛ぶ」

(ハワイでの墜落事故に関し)「残念ながら事故は完全に避けることはできない」


 

(「しんぶん赤旗」2015年6月25日付より)