中止決断 今からでも/オリパラ都民の会 IOCに書簡

2020オリンピック・パラリンピックを考える都民の会(オリパラ都民の会)は19日、国際オリンピック委員会(IOC)に対し、「東京五輪の中止または延期を強く求める」書簡を送ったと発表しました。

書簡は、東京都は感染の広がりで4度目の緊急事態宣言を出さなければならなくなった現状や、選手らの行動規制が守られていないことを示し、「感染防止と五輪の開催は相容(い)れないことは明らか」だと強調しています。

さらに、コロナ禍では公平な大会は望めず、選手を「祝福されない五輪」に参加させるべきではないと指摘。開催の強行は「オリンピック125年の歴史に終焉(しゅうえん)を招く最悪の選択」だとしています。

オリパラ都民の会は、小池百合子都知事にも同様の書簡を送りました。


オリパラ都民の会の書簡(全文)

2020オリンピックーパラリンピックを考える都民の会が、国際オリンピック委員会(IOC)に送った東京大会の中止を求める書簡の全文を紹介します。

国際オリンピック委員会 トーマス・バッハ会長殿
「いまからでも2020オリンピックーパラリンピック東京大会を中止することを強く求めます」

東京都は、7月12日から4回目の緊急事態宣言を発出しました。東京都の15日の新たなコロナ感染者は1308人に達し、感染の拡大が加速しています。専門家からは、「感染拡大の速度はさらに加速する」との指摘もあります。東京都民と国民は長期にわたって、感染防止のため、行動の自粛、移動の自粛、社会的文化的な活動の自粛を余儀なくされています。その一方で、たとえ無観客としても東京五輪が開催されれば世界各国から約10万人の選手や関係者が訪れ、大きな人の流れが生ずることは避けられません。

IOCや組織委員会は、「バブル方式」によって、感染のリスクはないと述べています。しかし、その前提となる関係者の行動を規制する「プレーブック」が守られていない実態が次々と報道されています。「バブル方式は机上の空論」といわねばなりません。感染防止と五輪の開催は相容(い)れないことは明らかです。

世界でいまだパンデミツク収束の見通しが立たず、開催都市の感染拡大が加速し、「バブル方式」が機能しない中で、今夏の五輪は開催すべきではありません。

開会を目前にした読売新聞(7月9~11日実施)の世論調査によれば、東京都民の50%が「中止する」ことを望んでいます。日本と世界の人々の命と健康をさらなる危険にさらす可能性が高い東京五輪の強行は絶対に避けるべきです。

コロナ禍においては、選手たちの公平なトレーニングや競技条件の保障が困難になり、さらに選手たちの不参加や棄権も危惧されます。IOCは、アスリートを「祝福されない五輪」に参加させることのないよう必要な決断をすべきです。

私たちは、いまからでもIOCが今夏の東京五輪の中止あるいは延期する勇気ある決断をすることを再び強く求めます。もし、今夏の東京五輪の開催を強行すれば、オリンピック125年の歴史に終焉(しゅうえん)を招く最悪の選択であると考えます。

2021年7月19日
2020オリンピックーパラリンピックを考える都民の会
共同代表・荻原淳、横山聡、和食昭夫

(「しんぶん赤旗」2021年7月21日付より)