不同意性交 適切処罰へ/山添拓参院議員が談話

性犯罪刑法改正 検討会が取りまとめ案

性犯罪にかんする刑事法検討会=12日、法務省(写真提供:しんぶん赤旗)

法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」は12日、法改正に向けた議論の「取りまとめ報告書案」を発表し、現行の強制性交等罪の「暴行・脅迫」要件を見直し、「意思に反して行う性交(不同意性交)」を適切に処罰する規定への改正の検討方向で「おおむね異論はなかった」とまとめました。「不同意性交等罪」の新設を求めるフラワーデモなど性暴力被害の当事者・支援者らの運動と世論を一定反映した形となっています。

報告書案は「性犯罪の処罰規定の本質は、被害者が同意していないにもかかわらず性的行為を行うことにある」と述べ、「暴行・脅迫」要件の改正は「安定的で適切な運用に資するような改正であれば検討に値する」と指摘。処罰範囲の明確化のために、条文に加害手段や被害者の状態を列挙し、「その他意に反する性的行為」など、「包括的な要件を設けるべき」だとする提案に、肯定的な意見が多く出されたとしています。

配偶者間などでの不同意性交の処罰規定については、新設の方向で議論がまとまっているとの認識を示しました。

同日開催の検討会会合では、報告書案を議論し、次回(5月21日)会合で修正案を議論する予定です。

声と運動による大きな前進

日本共産党の山添拓参院議員の話

山添拓 参院議員

「取りまとめ報告書案」は、被害者の「意思に反して行う性交」が「被害者の法益を侵害する行為」だとして、検討会で「異論はなかった」とまとめ、焦点の「暴行脅迫」「抗拒不能」の要件については「改正の検討に値する」とし、刑法としての対処を求めています。上司と部下など地位や力関係に乗じた性被害についても、被害者の「脆弱(ぜいじゃく)」な「特性に応じた対処」が必要だとしています。

こうした「まとめ」がなされたことは、検討会内外での性暴力被害の当事者や支援者らの声と運動による大きな前進だと言えます。

「性交同意年齢」の13歳からの引き上げや、警察に被害を告訴できる期間の公訴時効(強制性交等罪で10年)の一時停止などの論点では複数の意見が併記され、議論が割れている様子がうかがえます。しかし被害者の実態が詳しく記述されているなど、今後の法制審議会(法相の諮問機関)などでの議論に向けて、重要な内容となっています。

検討会報告書は法制審の重要参考資料です。いよいよ被害者の「法益侵害」の視点や、ジェンダー平等の観点からの議論が重要です。法務省は法制審を開催し、被害者心理の専門家らをメンバーにするなど被害者の声を反映すべきです。

(2021年4月13日付「しんぶん赤旗」より)