都議会 代表質問 感染防止と経済両立へ

PCR検査の抜本拡充を
都議会第3回定例会は9月29日に小池知事の所信表明に対する代表質問、翌30日に一般質問を行いました。小池知事が再選して初めてとなる本会議では、今後4年間、都民への責任を果たし抜く意思があるのかなど、知事の基本姿勢が問われました。日本共産党からは代表質問に大山とも子都議が立ち、都政の最重要課題である新型コロナウイルス対策や中小・小規模企業支援、都民生活支援、防災対策、オリンピック・パラリンピック大会などについてただしました。

通所施設にも拡大
大山都議は新型コロナウイルスの感染拡大防止と社会経済活動の両立へ鍵となるPCR検査を1日数万件に増やすなど、抜本的な拡充を求めました。
PCR検査の拡充を巡っては、特に集団感染を招きやすい医療や介護の現場で働く人たちや利用者への検査拡充を求める声が切実で、当事者はじめ都民からも強い要望が出され、署名運動も広がっています。都のモニタリング会議の専門家も、感染リスクが高い地域・集団の集中的なPCR検査の検討を提言しています。こうした中、都は補正予算案に高齢者(約750施設)と障害者施設(約100施設)の職員、入所者合わせて約15万人分の費用を盛り込みました。
大山都議は補正予算案で、高齢者・障害者施設のPCR検査支援を計上したことを評価した上で、医療機関職員と入院患者、通所福祉施設や学校、保育園などにもPCR検査を拡充するよう要求。小池知事は「国の指針を踏まえ検査体制の強化を図る」、初宿和夫・健康危機管理担当局長は「通所施設やショートステイでのPCR検査も補助対象とする」と答えました。
秋冬に向け、インフルエンザと新型コロナの同時流行が心配されます。補正予算案には共産党が求めていた高齢者へのインフルエンザ予防接種の無料化が計上されました。大山都議はこれを評価した上で、国が接種を推奨している医療従事者や基礎疾患のある人、妊婦、小児も補助対象にするよう提案しました。
大山都議はまた、コロナ患者を受け入れていない病院でも4月に平均3000万円赤字になり、減収により4分の1の病院で賞与が減額となる中、「疲弊しながら頑張る従事者の心が折れる事態だ」と紹介。新型コロナ患者の受け入れの有無にかかわらず、医療機関に減収補てんを行うよう求めました。

コロナ条例改正 中身もやり方も
大山都議は都民の権利を制限する新型コロナウイルス感染症対策条例「改正」を、小池知事は7月臨時議会が閉会(7月27日)して、わずか3日後に議会に諮らない専決処分で行ったことについて、「中身もやり方も、大きな問題がある」と批判しました。同条例改正案は、事業者に対し、都のガイドラインの遵守と感染防止宣言ステッカーの掲示、都民にはステッカー掲示店舗の利用について努力義務を課すもの。小池知事は「議会を招集する時間的余裕がなかった」と弁明しています。

大山都議は日程的に臨時議会中に改正の検討を行い準備していたのは明らかだとし、「あえて議会審議を避けたのではないか」と追及。「議会を招集する時間的余裕がないと判断した具体的根拠」を示すよう求めました。また条例「改正」で店側に客同士の一定の間隔などが求められるガイドラインに関連して、店が狭いなどの事情でこれに沿った対策ができない飲食店などもあることを指摘。「どの店も感染防止対策ができるように支援することこそ、都の本来の役割だ」と強調しました。
山手斉総務局長は臨時議会閉会後に条例改正に着手し、翌28日に知事に報告したと答弁。閉会わずか3日後に専決処分した根拠について、「さらに大きく感染が拡大する恐れのある危機的状況」に対応するためだったと強弁しました。
大山都議は再質問で「今回のような専決処分の乱用は、議会が決定し、知事を長とする行政機関が執行するという、地方自治体の二元代表制の否定につながる」とし、知事に猛省を求めました。

都民生活への支援求める
コロナ禍で全国6万人が解雇され、ひとり親世帯の13%で無収入になったなど深刻な実態が広がっています。大山都議は倒産の危機にある中小・小規模企業に対し、都独自の「年越し給付金」創設や家賃支援給付金の都の上乗せ・横出しの拡充などを提案。都の児童育成手当の増額や食料支援の拡充など、ひとり親世帯の生活を支える支援、大学生への給付支援を求めました。
村松明典産業労働局長は中小・小規模企業の支援について、「中小企業等を取り巻く状況などを見極めながら、適切に支援を行っていく」と答弁しました。
大山都議はまた、学校再開後、子どもたちが過密授業や行事中止でストレスを抱えていると指摘。感染拡大防止と手厚い教育をするために、全国知事会や市町村も求めている少人数学級の実施に踏み出すよう提起しました。藤田裕司教育長は「国の責任において行われるべき」との従来答弁を繰り返しました。

保健所の拡充 知事「検証する」
大山都議は東京の保健医療体制の弱体化が「市場原理・経済効率優先で住民に自己責任を押しつける新自由主義『改革』の結果だ」とし、その転換を強く求めました。
これまでの都政は、多摩地域に31カ所あった保健所・保健相談所を7カ所に統廃合し、小池都政も保健所の医師定数を削減してきました。コロナ禍で保健所に業務が集中し、都民からの電話がつながらないなど、深刻な実態が浮き彫りになりました。
大山都議は都立松沢病院の齋藤正彦院長の「(公的病院が)近年、経済合理化や採算重視でどこも余裕を失っている」「今回の感染拡大は公立・公的病院や保健所のあり方などの課題を浮き彫りにした」との発言を紹介。「都立・公社病院の独法化は許されない」と批判。保健所の職員が疲弊している実態をあげ、都民の要望に応えて保健所を増設し、職員を増やすよう迫りました。
小池知事は都立病院・公社病院の独法化の目的について「行政的医療など質の高い安定的・継続的な提供を将来にわたり果たすこと」とのべ、採算を最優先する民間経営に近づけるという本当の目的を隠す一方、「独法への移行準備を着実に進めていく」(病院経営本部長)と、強行姿勢を示しました。
保健所について小池知事は「重要な役割を担っている」として、「感染拡大から収束までの取り組みを検証して、あり方を検討する」と答えました。