「まるで戦場」「怖い」 危険激増一変した横田基地

2019年10月21日

オスプレイ正式配備1年

米軍の特殊作戦機CV22オスプレイが横田基地に正式配備されて10月1日で1年を迎えました。オスプレイ配備を機に、米軍機が実戦さながらの訓練を繰り返すようになった同基地周辺。

住民は、「横田はこの1年で一変した」と語ります。

「いつも夜9時半ごろ、横田に帰るオスプレイが上空を飛ぶので、独特の身体が揺れるような騒音を感じて、また来たんだとベランダに出ました。でも、いつもと違って、サーチライトの一つが、下に向けて照らされていた。初めての体験で、自分がライトで照らされているかのような恐怖を覚えました」―日野市旭ヶ丘に住む、大高房子さんは7日夜、下向きにサーチライトを照らしながら飛ぶオスプレイを目撃しました。

横田基地まで10キロほどの位置にある日野市は、同基地の飛行ルート直下にあたります。
これまでも大型輸送機の騒音被害に住民は苦しめられてきましたが、オスプレイ配備からの一年で「飛行の状況が大きく変わり、さらに危険な訓練をするようになった」と、「オスプレイの危険と配備を考える日野懇談会」の磯崎四郎さんは話します。

無灯火で繰り返し

 危険な訓練の一つが、無灯火による飛行です。日野市内で横田基地の飛行ルート近くのマンションに住む鈴木隆雄さんは、昨年6月28日、「バリバリバリッ」というこれまで聞いたことのない、「ジェット機のような騒音」で、ベランダに飛び出ました。斜め上の頭上をオスプレイが飛行していたといいます。
 その日以来、鈴木さんは、家にいるときにオスプレイを目撃するたびに記録を残してきました。それによると、夜なのにライトをつけずに飛ぶ無灯火飛行が18年7月30日に初めて目撃して以来、鈴木さんが見たものだけで35回に及んでいます。
 日本の航空法は、夜間の飛行時の安全を確保するため、飛行機の場所がわかるよう、「灯火で表示」することを定めています。日米地位協定に伴う特例で、米軍機はこうした航空法の適用を免れています。

 鈴木さんは、「これまでは灯火をつけて飛んでいたC130などの輸送機も、オスプレイに続いて、無灯火で飛ぶのを目撃するようになった」と話します。CV22オスプレイが担当する特殊作戦では、敵地にひそかに侵入するため、低空、無灯火で飛ぶ必要があります。サーチライトを照らしたり、無灯火での飛行は、こうした特殊作戦の実戦を想定した訓練とみられています。
 磯崎さんら「日野懇談会」は、米軍機に航空法の適用を求める請願を9月の市議会に提出しました。飛行ルート直下にある高層マンションでは、全戸を訪問して署名を呼びかけました。住民から、「米軍機が家に向かって飛んでくるようで恐怖を感じる」「もし落ちたらと思うと恐ろしい。飛行をやめてほしい」などの訴えが寄せられたといいます。

過去15年で最大の飛行数
 オスプレイ配備からの1年で、横田周辺に住む住民からは「訓練の質の変化」を語る声が多く聞かれます。
 羽村市に住む「横田基地の撤去を求める会」の高橋美枝子さんは、9月25日、3時間以上にわたって市街地上空を旋回しながら、1人から6人ほどのパラシュート降下を繰り返すC130J輸送機を目撃しました。横田基地の監視を、長年続ける高橋さんも「初めて見た」という訓練です。周辺住民は、何度も低空で上空を飛ぶ飛行機の騒音に悩まされることになります。
 オスプレイが上空でホバリング(空中停止)しながら、兵士や貨物を吊り上げたり下ろす「ホイスト訓練」も、頻繁に目撃されています。数十分にわたるホバリングは、周辺に住む人に深刻な騒音被害をもたらします。

 数日間で100人以上という大規模なパラシュート降下訓練も横田基地で繰り返されています。オスプレイの機体後部にある機関銃の銃口を、住宅地に向けながら飛ぶ機影も、何度も撮影されています。
 高橋さんは、「米軍は、横田を最前線の戦地のように見立てて、訓練をしているのでしょう。何でもやりたい放題で、より実戦的になっている分、事故などの危険性も増している」と憤ります。

夕方夜の飛行急増

 オスプレイの配備で横田基地が強化された実態は、飛行回数の急増でもわかります。
 福生市による測定で、横田基地からの飛行回数は、CV22オスプレイが4月に初飛来、10月に正式配備された2018年度は、月平均1026回と、この15年間で最多になりました(グラフ)。2019年度は集計が明らかになっている4月から7月までで、月平均1127回とさらに増えています。
 なかでも増えているのが、家族団らんの時間である夜7時から10時の飛行。2019年度は月平均265回と、過去15年間になかった数字となっています。特殊作戦の訓練のため、夜の飛行が急増していることを反映しています。
 このうち、オスプレイの飛行回数は、休日を除いた朝から日没までという不十分な形ながら、防衛省の職員が目視調査していました。昨年10月から今年9月までの1年間で目視された飛行回数は、575回です。横田基地の撤去を求める会の高橋さんは、「夜間などは入っていないとはいえ、私たちの監視と突き合わせることで、一定のデータが出せる。大事な調査」と話します。
 にもかかわらず防衛省は9日、「配備から1年で一定の役割を果たした」として、この調査をやめることを明らかにしました。
 都と横田基地周辺の5市1町でつくる連絡協議会は、「周辺住民は依然、オスプレイの運用に不安を感じている」として、情報提供を継続するよう求めています。
 米軍は2024年までに、横田基地のCV22オスプレイを現在の5機から10機まで増やすとしています。さらに、飛行回数が増えていくことが予想されるなかで、住民への重要な情報提供を取りやめようとする国の姿勢に、批判が広がっています。

11月24日に大集会

「横田基地にオスプレイはいらない東京大集会」が11月24日、開かれます。平和団体、労働組内などでつくるオスプレイ反対東京連絡会の主催。午後1時開会、福生市の多摩川中央公園で。