「まるで奴隷」過酷なコンビニオーナー 世田谷で共産党が調査

「しんぶん赤旗」首都圏版に掲載された山岸学記者のレポートを紹介します。


「コンビニオーナーは奴隷のよう」。コンビニエンスストアのオーナーから寄せられたアンケートには切実な実態が示されていました。東京都世田谷区で、日本共産党の里吉ゆみ都議、同区議団、地区委員会とともに、アンケートや現地調査を行いました。

高すぎるロイヤルティー/長時間労働

フランチャイズ法制定は急務

コンビニオーナーから話を聞く里吉都議(左)=3日、東京都世田谷区

党地区委員会が区内316店舗のコンビニにアンケート調査を行ったところ、7月末現在でセブンイレブンやファミリーマートなどのオーナー15人から回答がありました。

「一番の問題はロイヤルティー(各店の精度に応じて利益の一定割合などをフランチャイズ本部に納めるお金)の分配が不変なことです」。14人が共通して回答したのが、ロイヤルティーが高すぎることです。オーナー側が人件費や店舗の維持・管理費、消耗品などの負担をすることもあり、ロイヤルティーの改善は重要課題です。

同様にあげられていたのが人手不足です。「時給を高くしても人が集まらない」。外国人労働者の依存度が高い現状でも人出不足を補うため、オーナーは長時間労働を強いられています。「従業員が安心して働ける環境づくりが会社を超えて必要」との意見もありました。

声聞かぬ本部

また、現場の声を聞かないFC本部への不満も多く出ていました。

記者は里吉都議とともに3日、40年の勤務・経営経験があり、複数店舗を運営している男性を訪問しました。

男性は運営している店舗の契約更新に必要な階層に、1000万円以上の内装費が自己負担となることに悩んでいました。また、複数店舗の運営を始めてから、休みを取ったことがないと語りました。

24時間営業について、「自分の店だけが営業時間を減らすとよそにお客を取られてしまう。地域全体で営業時間を減らし、お客がそれを受け入れるような社会が必要だ」と話しました。

また、男性は外国人労働者を1人、正社員として雇っています。「お金を稼ぎながら勉強している人たちの生活を保障することが大事」と語り、外国人労働者への待遇改善の重要性を訴えました。

アンケートと現地調査では、同系列店で提供しているコーヒーサービスについて、原料のコーヒー豆、コーヒーマシンの維持管理費や修理費、砂糖やミルクなどの消耗品は店側の負担なことが明らかになりました。

地域に不可欠

日本共産党は6月、「加盟店の営業と権利を守り、コンビニ業界の健全な発展をはかるため、コンビニ・フランチャイズ法の制定を」との6つの緊急提言を出し、オーナーと労働者の権利と営業を守り、地域と共存できるコンビニの在り方を提案しています。

里吉都議は調査を受けて、「今や地域になくてはならないサービスを担っているコンビニの多くが、店舗のオーナーのみなさんの犠牲のもとに成り立っているのだと痛感しています。ロイヤルティーの見直し機会をつくるなど、本部とオーナーの関係を改善する必要があります。コンビニ業界の健全な発展のため、力を尽くします」と語りました。

(「しんぶん赤旗」2019年8月10日付より)