補聴器・難聴アンケートに切実な声 「高くて手がでない」/購入に公的補助求める

「補聴器は、眼鏡、義歯、歩行具などに比べてあまりに高額です」

日本共産党東京都議団が実施した「補聴器と難聴アンケート」に切実な声が寄せられています。

共産党東京都議団実施

厚労省に話を聞くあぜ上、池川各都議、吉良、大門各参院議員、川村のりあき新宿区議=4月24日、参院議員会館(「しんぶん赤旗」提供)

アンケートは5月8日から。6月末現在、回答者は527人です。

「自由記述欄に皆さんぎっしり書かれています。その反応に驚いています」。
アンケートを呼びかけてきた日本共産党の池川友一都議の話です。

寄せられた声は切実です。

「耳が聞こえないのはかなり悲しいです。大切なことは何回も聞くなりして、対応していますが、会合などは、つい控えてしまいます」
「両耳で30万円は高額。義歯だと保険適用になるのに、補聴器がならないのはおかしい」

補聴器の平均購入額は、27万659円でした。最高額は100万円。
補聴器を購入しなかった理由の1位は「価格が高い」。
補聴器使用の動機になるものは「購入費補助制度がある」「価格が安くなったら」。

カラ返事増えた

ヘルパーの女性(75)=東京都目黒区=は「介護の利用者さんの話が聞こえづらく、カラ返事することが多くなった」と言います。
月2回のヘルパー会議では集音器で対応していますが、「雑音が入って不自由」です。

「補聴器店に聞いたら、両耳で約20万円といわれて、とても買えないことがわかりました」。
ヘルパーの収入と年金をあわせて月収は10万円程度。「補聴器を無料で貸し出す制度があればね…」と行政の支援を求めます。

年金暮らしの男性(78)=東京都清瀬市=は、5年ほど前から右耳が聞こえにくくなりました。
集音器や高齢者向けスピーカーを買ってしのいできましたが、昨年9月、耳鼻科医に補聴器をすすめられました。

補聴器は専門家による一人ひとりに合わせた調整が必要ですが、そのことを十分知らされず、「とりあえずインターネットで右耳用のみ3万円ほどの補聴器を購入しました。しかし、金属音など聞こえなくていい雑音は聞こえますが、人の声は聞きとりづらい。電池代も高い」といいます。

生活向上に重要

池川都議は「アンケートを通して、加齢性難聴問題の切実さが浮き彫りになりました。

質問では、早期の補聴器使用は日常生活の質の向上を図るまで重要、と都も認めています。そのためには、補聴器購入への公的補助、補聴器の調整など連結した施策が欠かせません。
寄せられた切実な声を、施策実現に生かしていきたい」と話しています。

「聞こえの支援を推進」と都が答弁 池川都議に

池川友一都議は、6月12日の都議会一般質問で、アンケートで寄せられた「切実な声」を紹介。
早期の補聴器使用、聴力検査による聴力低下の早期発見、補聴器の調整などの重要性をのべました。

「『補聴器が高い』ことが補聴器普及の一番の課題だ」と指摘。
区市町村が実施する補聴器支給や購入費助成への都による補助の充実、補聴器購入費補助の創設を求めました。

都側は「高齢者の聞こえの支援を推進する」「早期の補聴器使用は日常生活の質の向上に有効」などと答えました。

難聴者への支援については、日本共産党都議団は「高齢者等の『聞こえの支援』に関する東京都への提言」(2012年)など早くから具体策を提起してきました。
「提言」の翌年、都議会で難聴者のための携帯型の磁気ループを購入しました。磁気ループを活用する区市町村への補助も始まっています。

今年2月26日には清水ひで子都議が、3月13日にはあぜ上三和子都議が都議会で、自治体のとりくみや難聴者の実態を紹介。
都として補聴器購入補助制度の実施、磁気ループの普及・啓発などを強く求めました。

(2019年7月8日付「しんぶん赤旗」より)