参院選で変えよう 安心して働ける社会に 期待します「暮らしに希望」提案 ①

2019年6月5日

 日本共産党は参院選政策「暮らしに希望を―3つの提案」で、「8時間働けばふつうに暮らせる社会」を掲げています。賃上げと労働時間の短縮をセットで行い、「安心して働き、暮らしたい」の願いを実現するものです。最低賃金引上げや長時間労働を目指す運動に取り組む関係者からも期待が広がっています。

人間らしい働き方に 小児科医の夫を過労死で亡くした 中原のり子さん

 今回、8時間働けば普通に暮らせる社会をつくることが、共産党の参議院選挙の政策や、野党4党1会派の政策合意に入れられたことは、私たちの訴えてきたことであり、まさにそのとおりと受け止めています。
 過労死の問題は文字通り働き方の問題です。過労死遺族の詩に、「大きくなったら ぼくは博士になりたい タイムマシーンにのって お父さんの死んでしまう前の日に行く そして仕事に行ったらあかんて いうんや」という作品がありますが、人は仕事のために生きているわけではなく、幸せになるために生きていることは議論の余地がありません。
 私は1999年に小児科医をしていた夫を過労で亡くして以来、過労死の根絶、国際的に見ても異常な長時間労働のまん延と闘ってきました。その中で体験したのは過労死防止対策推進法の衆院本会議での成立(2014年)のわずか4日後に、高度プロフェッショナル制度の検討を開始する現政権の経済成長優先の問題点でした。
 続く働き方改革関連法案で安倍さんは、戦後初めて100時間の残業という長時間労働の容認についても、過労死遺族の面会要請に応じないまま、強行採決で押し通しました。私たちは傍聴席から、ただあぜんとして見守るだけ。国民は黙っていなさいという大きな圧力を感じて、本当につらい思いをしました。遺族の口を封じてまで長時間労働を続けさせようとする現政府に、「尊い命を捧げてまで経済発展に寄与する必要などどこにもない」と言いたい思いでいっぱいです。
 6年前の参院選ではブラック企業の根絶を掲げて共産党の吉良よし子さんが当選しましたね。野党が力を合わせて、人間らしい働き方と暮らし方が実現できることに期待しています。

最賃1500円を歓迎 CU東京執行委員 松井優希さん

 一人でも入れる個人加盟労組コミュニティユニオン(CU)東京は、最低賃金の大幅引き上げ、時給1500円の実現を求めてきました。
 共産党の参院選政策に最低賃金1500円実現が入ったことを歓迎しています。
 所属する江東区労連の青年部では、区内の店先にあるパート・アルバイトの求人広告を写し取って、平均時給を毎年、集計しています。昨年の平均時給は1042円でした。結果をもとに労基署やハローワークと懇談し、最賃引き上げを求めています。
 全国一律最低賃金を求める議員連盟が自民党内にもできました。引き上げ実現に向け、世論への働きかけを強めたい。
 時給1500円になれば、病気で休業した際の傷病手当なども引き上がります。パワハラ(いじめ)で、精神的な病気になったという相談も非常に多いなか、安心して治療に取り組めることにもつながります。
 時給が1500円以上ある人にとっても、最低賃金を底上げしてこそ給料アップにつながります。
 安倍政権は解雇の金銭解決の制度の検討会をつくり、来年にも法制化しようと動いています。現在、法律で禁止されている解雇すら、お金を払うことで可能になる。参院選で、何としても、共産党が伸び野党が勝って、法制化を止めてほしい。
 そして、最悪の使い捨て制度である、労働者派遣法の抜本改正の実現を期待しています。

低すぎる最低賃金、東京でも 厚労相も「生計、厳しい」

 現在の最低賃金は、生活できる賃金を得るには低すぎるものです。
 最も高い東京でも、時給985円。東京都の4人世帯の標準生計費(必要な生活費)である27万9300円を得るには、283時間の労働が必要です。月100時間以上の残業が前提となります。
 普通に暮らすために必要な賃金はいくらか。実際に生活に必要な物やサービスの金額から計算する調査が、全労連など労働組合と研究者が連携して、全国で進んでいます。
 公表された結果からは、都市部は生活費が高く、地方は低いという「常識」と逆に、全国的に生活費はほぼ変わらないことが分かっています。都市部では住居費などが高くなる一方、地方では交通の便が悪く交通費などが高くなるためです。
 単身者が残業のない月150時間労働で必要な生活費を得るには、京都府で時給1618円、青森県で1441円、埼玉県で1613円が必要で(表)、大都市部、地方とも時給1500円は必須です。
 東京でも東京地評などが協力し、同じ方式による生計費調査が始まっています。年内にも一部の結果を発表する予定です。
 今年3月の参院予算委員会では、共産党の小池晃書記局長(比例代表予定候補)、山添拓議員が、最低賃金をテーマに質問。根本匠厚労相に「(最低賃金は)生計費を満たしているかと言えば、ちょっと厳しい」と、生活に必要な金額に達していないことを認めさせました。
 吉良よし子参院議員(東京選挙区予定候補)は、残業代ゼロ制度をめぐる論戦(18年6月)で、政府が対象業務の例としていた、金融アナリストの労働実態を独自調査で追及。拘束時間が長く、政府のいう「時間と成果の関連性が高くない」労働とはいえないと、説明の根拠を崩しました。
 共産党の参院選政策は、中小企業の支援をしながら最低賃金を引き上げる一方、残業代ゼロ制度は廃止し、残業の上限を月45時間に法律で規制します。労働者の健康や生活を守るとともに、地域経済の発展、個人消費の増加など、健全な経済に戻す道でもあります。

「くらしに希望を─3つの提案」より
 8時間働けばふつうにくらせる社会を─賃上げと労働時間の短縮で
・最低賃金をただちに全国どこでも1000円に引き上げ、1500円をめざし、全国一律の最低賃金制度を創設します
・残業代ゼロ制度の廃止、「残業は週15時間、月45時間、年360時間まで」と上限を労働基準法で規制するなど、長時間労働を是正します
・労働者派遣法の抜本改正をはじめ、非正規労働者の正社員化をすすめます
・保育・介護・障害福祉労働者に国の責任で、ただちに月5万円の賃上げし、一般労働者との格差をなくしていきます