大型開発 推進は変わらず 共産党提案で貴重な前進も

2019年2月1日

都19年度予算案

 東京都が1月25日発表した、2019年度の一般会計当初予算案の総額は、7兆4610億円(前年度比5・9%増)で、過去最大となります。特別会計、公営企業会計と合わせると14兆9594億円(3・6%増)です。都の総予算はスウェーデンの国家予算を超える規模です。予算案は2月20日開会の都議会定例会で審議されます。 (長沢宏幸)

過去最大7兆4千億円に 五輪関連で総額膨らむ

 過去最大の予算案になった主要因は、来年に迫る東京五輪・パラリンピックの経費が、関連費用を含めると18年度の2倍、計5330億円に膨らんだこと。国が本来負担すべき新国立競技場整備の一部、395億円も計上しています。
 小池百合子知事は同日の記者会見で、予算案について東京五輪を推進力として成長を生み続けられるよう、「未来に向けて道筋をつける予算」とした上で、「都市力の強化」「稼ぐ力の強化」「人と人を繋ぐ」という3点で予算編成に当たったとのべました。
 しかし予算案を見ると、石原慎太郎都政から続く、大型開発推進の予算編成の基本は、変わっていません。例えば、1㍍1億円もの巨費を投じて建設を進める東京外環道には、136億円を負担。沿線住民の強い反対運動が起きている都の都市計画道路「特定整備路線」の建設費は、576億円を計上しました。大型クルーズ客船のふ頭整備は、これまで237億円もの巨費が投入されてきましたが、新年度も93億円が計上されています。

国保の新軽減策なし
 一方、値上げが繰り返される国民健康保険料(税)の重すぎる負担が大問題となっているのに、都による新たな負担軽減策はありません。都民の切実な願いとなっている都営住宅の新規建設は、石原都政以来20年連続でゼロです。
 都立病院の直営を見直し、地方独立行政法人化を含む経営形態を検討する予算1億6000万円を、今年度に続いて計上しています。

体育館空調、2/3補助を延長
 新年度予算案には、都民の運動と共産党都議団の提案を受けて、暮らし、福祉の施策で重要な前進もあります。
 学校体育館への空調設備の設置促進もその一つ。昨年12月議会の補正予算による小・中学校の整備費補助(3カ年538棟)に続き、新年度予算案に118億円を計上。公立学校657校のリース補助、都立学校24棟の予算が盛り込まれています。国の補助単価を超える事業費の3分の2を都が補助する補助率は、今年度限りとされていましたが、共産党都議団などの要望を受けて、2021年度まで延長されます。
 学校体育館は子どもにとっては当然ですが、地域の避難所としても重要な施設。しかし都内の学校体育館の空調設置率は10%以下です。共産党都議団は「猛暑、寒さをしのぐにはエアコンの設置が不可欠」と質問や条例提案、申し入れを繰り返し、都に働きかけてきました。
 昨年12月議会では、共産党の代表質問に小池知事が、都立高校は3年以内に全校設置を目標とし、公立小中学校については独自補助で設置を支援すると答弁。補正予算が可決されましたが、新年度予算案はそれらをさらに加速するものとなっています。