豊洲市場土壌汚染 改善の見通し示せず 都議会定例会 代表質問で尾崎氏が追及

2018年12月26日


 都議会第4回定例会は、11日に小池百合子知事の所信表明に対する代表質問、12日に一般質問を行い、小池百合子都政についてただしました。

ターレ事故、粉塵対策も

 代表質問には、日本共産党は尾崎あや子都議が立ちました。まず取り上げたのは、小池知事が「築地は守る」との公約をほごにして強行した豊洲市場の移転問題。小池知事は開場後、約2カ月経過した豊洲新市場(江東区)について「市場の運営はおおむね順調」と評価しています。
 しかし豊洲市場の地下水からは依然として環境基準の140倍の発がん性物質ベンゼンや猛毒のシアンも全街区から検出され、水産仲卸業者から「不安はぬぐえない」「いつになったら環境基準以下になるのか」といった不安の声が出ています。
 尾崎都議は地下水の底面にある地層(有楽町層)や地下水に汚染物質が残っており、地下水にしみ出す可能性が高いとした上で、「いつ環境基準以下になるのか」と追及。小池知事は「中長期的に改善される」と答弁。しかし、その根拠も具体的な見通しも示すことができませんでした。村松明典市場長は尾崎都議の指摘は否定できず、引き続き調査と情報発信をしていくとしました。
 豊洲市場ではまた、マンホールからの水漏れや荷物用エレベーターの故障、トラブルの続発、臭いや揺れ、黒い粉塵、小型運搬車ターレの事故が荷台から人が転落する重大事故を含め50件以上発生しています。尾崎都議は、こうした問題を指摘し、働く人たちの健康被害も心配されるとして、原因の調査や対策を求めました。
 ターレの事故について小池知事は「重く受け止めている」とし、「業界と連携しながら、安全で適正な市場運営の確保に努める」と答弁。村松市場長は「施設内の臭いや粉塵を指摘する声があることは、都として認識している」と表明。黒い粉塵については、ターレなどのタイヤが床面とすれることで発生するとし、適正な清掃に取り組んでいると答弁。「引き続き施設内において良好な衛生環境が確保できるよう、適切に対応する」としました。

築地市場の再開発 業者の要望反映を

 尾崎都議は築地市場跡地の再開発に関し、都が年明けに発表する、まちづくり方針の素案に、仲卸業者など市場関係者の要望を反映させるよう主張。佐藤伸朗都市整備局長は「仲卸業者などの要望を踏まえながら検討する」と答えました。
 尾崎都議は築地市場の建物について、国連の諮問機関や国内の歴史学会などが、「築地市場の骨格構造を残せば、世界遺産に登録される可能性は十分ある」などと高い学術的価値を認め、保存活用を求めていることについて「どう受け止めているか」と質問。村松市場長は「(映像など)資料を後世に伝える」と述べただけで、解体工事を強行する姿勢を崩しませんでした。