国保負担 「協会けんぽ並み」に 共産党が改革案を提言

2018年11月10日

国保負担 「協会けんぽ並み」に 共産党が改革案を提言
都に要請「独自支援を」
 日本共産党は1日、高すぎる国民健康保険料(税)の問題で政策を発表しました(概要別項)。相次ぐ負担増で払いたくても払えない滞納世帯は全国で289万人、全加入世帯の15%を超えるまでに至っています。日本共産党が発表した政策は、全国知事会も政府に求めている1兆円の公費負担増を提案。「協会けんぽ=中小企業の労働者が加入=の保険料並み」に引き下げるもので注目を集めています。
 
 国保は、加入者の約8割が非正規労働者や高齢者などの無職で、国民の4人に1人が加入。「国民皆保険制度」を担う重要な役割を担っています。しかし、高齢化などで医療費が増える一方、加入者に低所得者が多いなどの構造的な問題があり、国保料が年収の一割にのぼるなど、加入者の負担は限界に達しています。
 
 区市町村では一般会計から国保会計に繰り入れ、保険料負担の軽減を図っています。その額は全国で3298億円ですが、東京の自治体は、その30・44%を占める1004億円を繰り入れています(2016年度)。
 
 しかし政府は国庫負担を削減・抑制し、都道府県を保険者にする今年度の制度改定を契機に、自治体の繰り入れをなくす方向です。その一方で加入者への負担増と合わせ、滞納者への保険証の取り上げや差し押さえなど、容赦ない対応を自治体に求めています。
 
 
時代錯誤の均等割
 共産党の政策では、高すぎる国保料(税)の問題解決について、「住民の暮らしと健康を守るためにも、国保制度の持続可能性にとっても、社会の公平・公正を確保するうえでも、重要な政治課題」だとし、政治の責任を強調しています。
 
 その上で、国保料(税)が協会けんぽなどの被用者保険と比べて高くなる大きな要因として、国保にしかない「均等割」「平等割(世帯割)」という保険料算定だと指摘。「均等割」は法律で必ず徴収することが義務づけられているもので、23区の場合、39歳以下の人で1人=5万1000円、家族が1人増えるごとに負担額が上がります。
 
 収入とは無関係に、子どもの数が多いほど国保料が引き上がる「均等割」には、「子育て支援に逆行している」との批判があがっています。政策では、「人の頭数」に応じて課税する人頭税は人類史上で最も原始的で過酷な税とされているとし、時代錯誤で逆進的な負担を廃止し、所得に応じた保険料(税)にすると提案しています(表参照)。
 
 日本共産党東京都委員会が2日行った、来年の2つの選挙に向けた東京都要求交渉でも高すぎる国保料(税)の問題が取り上げられ、参加した区市町村議員や同予定候補が、この政策をふまえ、負担軽減に向けた都としての取り組みを求めました。
 
 主な要望は▽都独自の財政支援を実施。保険料(税)の引き下げ、子ども均等割の負担軽減や低所得者の負担軽減など、都が積極的役割を発揮する▽国保料(税)負担軽減のため、国に国庫負担の抜本的拡充を求める▽国保料(税)の差し押さえは悪質な事例に限る。強引な取り立てや機械的な差し押さえは行わないよう区市町村を指導するーことなど5項目。
 
 足立区の横田ゆうさん(区議予定候補)は「年収120万円、子ども5人がいるある世帯では、必死に働いているが国保料は40万円で払えない。区と相談して月1万円の分割にして払っている。制度そのものが問題。都は住民を守る立場で対応してほしい」、清瀬市の佐々木あつ子市議は「都内3市で子どもの均等割の軽減が始まっている。都は国が考えるべきというが、都が動かないと国も動かない。一歩でも二歩でも前に進めてほしい」と、都の対応を迫りました。
 
 
対都交渉に70人
 共産党都委員会の都交渉には都内の区市町村議員や同予定候補ら70人が参加。国保の問題の他、
①子ども・子育て、福祉の増進(福祉保健局)
②ゆきとどいた教育(教育庁)
③安全で住みやすい東京(都市整備局、建設局、総務局)
─の切実な課題で、住民の深刻な実態を示し、要望の実現を求めました。
 
国保の深刻な実態と引き下げを求める声が出された東京都への要請=2日、新宿区

均等割をなくした場合の特別区の試算例(共産党の国保政策から)
現状 廃止後 協会けんぽ
○給与年収400万円・4人家族(30歳代の夫婦+子2人) 42万6,200円 22万2,200円 19万8,000円
○給与年収240万円・単身者(20歳代)  16万2,600円 11万1,600円 11万8,800円
○年金収入280万円(夫230万円、妻50万円)・高齢者夫婦世帯 15万5,000円 7万3,400円 ─
○所得300万円・自営業・3人世帯(30歳代の夫婦+子1人) 40万7,700円 25万4,700円 ─