市場業者「移転どころでない」 豊洲新市場 農水省が開場認可 説明も合意もないまま

市場業者「移転どころでない」 豊洲新市場 農水省が開場認可 説明も合意もないまま
 東京都が築地市場の移転先とする豊洲新市場(江東区)の開場(10月11日)まで1カ月を切りました。“築地ブランド”を培ってきた要の水産仲卸業者をはじめ多くの関係業者から「汚染が残っていて、とても食の安全は守れない」「まともな説明もない。これで移転しろと言われても無理」との切実な声があがっています。そうした中、農林水産省は10日、都による市場業者へのまともな説明も合意も得ないまま、新市場の開場を認可。厳しい抗議の声が上がっています。(長沢宏幸)
 
 「怒りを持って断固抗議します」。10日開いた都議会経済港湾委員会で、日本共産党のあぜ上三和子都議は質疑の冒頭、農水省の開場認可に対し、厳しい口調で表明しました。
 
 この日の委員会は、小池百合子知事が汚染対策の追加工事完了を受けて、豊洲新市場の偽りの“安全宣言”を出し、開場の認可申請後、初めて開いたもの。日本共産党や仲卸業者らが、認可取り下げを都に求めていましたが、委員会当日に農水省は認可しました。
 
 委員会では“安全宣言”の根拠とした専門家会議の報告書が、設置要綱に違反し、正式な会議を開かずにまとめられ、公表していたことが、共産党の尾崎あや子都議の追及で明らかになりました。
 
 
専門家会議開かず要綱違反明らかに
 設置要綱に「公開で行う」と定められた専門家会議は、昨年6月11日を最後に、一度も開かれていません。ところが、報告書は今年の7月30日付で都に提出され、公開されました。報告書には、専門家会議の提案に基づいて都が行った追加の汚染対策工事の結果について「将来リスクを踏まえた安全性が確保されたことを確認した」とし、事実上、開場にお墨付きを与えました。
 
 尾崎都議は報告書を決定する専門家会議が開かれたのかと質問。市場担当者は7月20日の「打ち合わせ会」で委員全員により確認したと答弁。尾崎都議が専門家会議の設置要綱のどこに「打ち合わせ会」が規定されているか繰り返しただしましたが、都は答弁できませんでした。
 
 都はこの一年以上、「追加対策工事の検討自体は終了した」ことを理由に、正規の専門家会議は開かず、非公開で「打ち合わせ会」なるものを7回も開いてきました。
 
 尾崎都議は「報告書は専門家会議設置要綱違反であり、正当な手続きによるものではない」と厳しく指摘しました。
 
 尾崎、あぜ上両都議は、この他にも豊洲新市場にかかわる深刻な問題を追及(9月23日号に詳報)。移転中止を強く求めました。
 
都ファ「ほっとした」 自民「元々安全だ」都議会委
 一方、同委員会で都民ファーストの会の栗下善行都議は豊洲新市場が認可されたことに「ほっとした」とのべ、「安全・安心を発信してもらいたい」と要望。自民党の山崎一輝都議は「(豊洲新市場は)元々安全だった」とし、追加の汚染対策工事は「小池知事のマッチポンプ」と批判。公明党の細田勇都議は、追加汚染対策工事で「安全性はさらに確保された」と評価しました。
 
女将さん会が抗議
 築地市場の仲卸業者らでつくる築地営業権組合と築地女将さん会は同日、「(開場が認可されても)築地市場で起きている現実は問題山積で移転どころでありません」とする抗議声明を発表。認可は適切な場所に開設しなければならないとする卸売市場法に違反し、「対策等の内容等について十分な説明を行い、その理解を得る」という政府答弁にも反していると批判しています。
 
共産「移転中止を」
 日本共産党都議団の大山とも子幹事長が談話を発表。①無害化の約束を反故にし、有害物質の検出が続き、追加の土壌汚染対策工事の有効性を確認する正式な専門家会議も開かれていない②消費者や業界・市場関係者に移転反対の声が続いている③年間100億円の赤字が見込まれ、市場会計の継続性が担保される保障がない─ことをあげ、移転を中止し、築地を守るよう求めています。