横田配備 危険な訓練が日常に 米国内 原野でも計画中断

2018年6月8日

横田配備 危険な訓練が日常に 米国内 原野でも計画中断
オスプレイ 再び横田に
 米軍の特殊作戦機CV22オスプレイが5月29日、正式配備をねらう横田基地に突然、再び飛来しました。特殊作戦を担うため、秘密のベールに包まれたCV22が、横田基地や日本各地の空で行う訓練の実態が、米軍文書などから明らかになってきています。住民から、「日本の空を飛ぶな」の声が広がっています。
 
 「横田から4月13日に飛び立った5機のCV22が、どこにいたのかも分からないまま、再び飛来した。秘密のベールに包まれた部隊が、横田に来るということです」
 
 横田基地(福生、武蔵村山、羽村、立川、昭島の5市と瑞穂町)の監視活動を続ける「横田基地の撤去を求める西多摩の会」の高橋美枝子さんは話します。
 
 横田基地に配備される5機のCV22が横浜に陸揚げされ、横田基地に飛来したのは4月5日。横田に飛来した時、基地周辺を2回、旋回してから着陸する姿に高橋さんは、「わがもの顔で横田を飛び、すでに飛行訓練をしている」と怒りが沸いたと振り返ります。
 
 横田に9日間とどまったオスプレイは、13日に飛び立って、米韓合同演習に参加するため、韓国に向かったとみられます。しかし、その後に同機がどこにいたのかわかっていません。
 
 CV22は空軍の特殊作戦機で、ハワイやグアム、沖縄、韓国などにいる、アメリカの特殊作戦部隊を輸送するのが任務です。
 
 特殊部隊は、敵地にひそかに侵入し、暗殺や拉致、施設の破壊などの秘密の作戦を実行します。2011年5月にオバマ大統領の命令で、ビン・ラディン暗殺を実行したのも、特殊作戦部隊でした。ビン・ラディン暗殺のように、作戦が公表されるケースは少なく、数々の秘密の作戦を担うため、CV22もどこでどんな作戦に参加しているのか、明らかにされないことが多くなります。
 
 
米軍の資料を分析
 CV22が特殊作戦を担うことは、都民の生活にも大きな危険をもたらします。暗闇にまぎれて気づかれずに敵地に侵入するには、夜間、低空での飛行など、危険な訓練を日常的に行う必要があるためです。
 
 横田基地に配備されると、日本各地でどんな訓練を行うのか、政府は、民進党議員(当時)への答弁書で明らかにしています(表)。横田基地周辺では、離着陸、人員降下、物料投下、編隊飛行、夜間飛行を予定しています。
 
 こうした訓練が実際にどんなものなのか、一端が見える資料を、オスプレイの実態を研究する、小柴康男さん(九条の会・あきしま)が分析し、5月にパンフレット(A4判64ページ)にまとめています。
 
 小柴さんが分析したのは、アメリカのキャノン空軍基地(ニューメキシコ州)が、CV22の低空飛行訓練区域を設定しようとしたときに公表した環境評価書です。
 
 評価書では「典型的な訓練飛行」として、「約5時間にわたって、時速220海里(約407㌔㍍)で500~1000フィート(約150~300㍍)の高度を、5時間、夜に飛行」、「各訓練では、夜に低高度で敵地に入り、地上部隊を投入、補給、撤収するための能力を育成する」などとしています。
 
 このため、低高度での飛行、編隊飛行、空中給油など、高度な能力を必要とする、危険な訓練を絶えず行う必要があると評価書は指摘します。
 
 小柴さんによると、キャノン空軍基地が設置しようとした訓練区域は、人口が少なく、砂漠や原野が広がる地域でした。それでも、環境評価の過程で、周辺住民から「野生動物や畜産農家の家畜に深刻な影響を与える」「オスプレイに事故はつきものだ」「不動産価値が下がってしまう」などの反対意見が寄せられ、計画がストップしたままになっているといいます。
 
 日本では、日米安保条約と地位協定のもと、米軍が好き勝手に訓練や飛行をできる仕組みです。CV22は、米国内では原野の上でもできないような訓練を、首都圏に広がる住宅密集地など、日本中の空で強行しようとしています。
 
落下事故がすでに
 こうした訓練がもたらす危険は、すでに現実のものになっています。
 
 羽村市の市立羽村第三中学校に4月10日、横田基地での降下訓練中のパラシュートが落下する事故が発生。昨年11月15日には、物料投下の訓練で、重さ30㌔の貨物がパラシュートから外れて基地内に落下する事故も起きました。
 
 いずれも、落下場所が少し違えば、人命にかかわる事故になりかねませんでした。CV22の配備で、危険な訓練が日常的に繰り返され、住民を大きな危険にさらそうとしています。
 
5日に首都圏行動
 オスプレイ飛ばすな!6・5首都圏行動=5日(火)午後6時半、日比谷野外音楽堂。抗議集会後、銀座デモ。主催=戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会