緊急都政政策(2020年5月20日発表)

新型コロナ感染拡大をとめ、都民の命と健康、
くらしを守るための緊急都政政策

2020年5月20日
日本共産党東京都委員会

新型コロナウイルス感染症は、39県で「緊急事態宣言」が解除されましたが、東京では、外出自粛や休業など、都民や事業者による必死の努力が続いています。
そのもとで、新規の感染者数は減少傾向となっていますが、感染状況の全体像は未だ把握できておらず、再び感染が拡大する危険をはらんでいます。感染の第2波、第3波に備え、特に、今年の秋から冬にかけての流行に備えた対策も急がれます。小池都知事は、休業要請解除に向けた「ロードマップ」を作成していますが、最大のカギであるPCR検査の都内実施状況はきわめて低い水準にとどまっています。
日本共産党東京都委員会は、「住民の福祉の増進」という地方自治体の本来の役割を、東京都がいまこそ発揮し、長期戦を覚悟せざるをえない新型コロナウイルスの対策で、その人員、財政を総動員して感染拡大防止に総力をあげること、都民のくらしと営業を守り抜くことを求め、その実現のために全力を尽くします。

1. PCRなど検査体制の抜本的強化で感染拡大防止と経済活動の両立を

(1)医療機関と医療従事者の活動に本格的財政支援を

医療崩壊をくいとめ、感染拡大防止と経済活動再開を両立させるために、以下の点を東京都に求め、実現のために全力をあげます。

① 東京都の責任で検査体制を抜本的に強める

厚労省クラスター対策班の西浦博氏は「実際には10倍の感染者がいる」と述べており、遅れている検査体制を抜本的に強化してこそ感染の実態をより正確につかみ、効果的な対策をすすめ、感染拡大を収束させることができます。仮に、感染拡大の次の波が起きた場合にも、迅速で的確な対応が可能になります。
検査の抜本的強化により、感染の全体像を把握することは、感染拡大防止と経済活動再開を両立させる最大のカギです。
人口1,000人あたりのPCR検査人数はイタリア34.9人、ドイツ30.4人、アメリカ20.6人、韓国12.3人で、日本は2.2人、OECD37ヵ国平均27.7人です(5月4日現在、OECD調べ *数字を最新のものにあらためました)。日本と東京でのPCR検査は世界的にみて大きく立ち遅れています。東京都のコロナ対策の最大の問題は、「医師の総合的判断に基づいて、必要な検査が実施されておると認識」との小池知事の答弁(2020年4月21日、都議会第1回臨時会)に象徴されるように、PCR検査の遅れを容認し、検査を抜本的に拡大するとりくみを怠ってきたことにあります。
PCR検査の大幅な遅れによって、多くの都民が不安にさらされてきました。また、感染者を把握・隔離することができず、市中感染を大きく広げています。PCR検査を受けられず、自宅で待機している間に重症化し手遅れで亡くなる方もでています。感染の実態が分からないために、行動制限や休業解除の正確な判断ができず、解除後に新たな感染拡大をうむ危険性もあります。
医療崩壊をくいとめ、感染拡大防止と経済活動再開を両立させるうえで決定的なカギをにぎっている検査の遅れをただちに解消するために、PCR検査センターへの財政支援など、検査体制を抜本的に拡充し、必要な人を速やかに検査する体制に転換することが必要です。    
また、保健所の業務が逼迫(ひっぱく)した状態が続いており、保健所職員の負担も限界を超えています。大幅な体制強化と負担軽減をさらにすすめることが急がれます。

▼東京都医師会が都内47の地区医師会、各自治体とともに設置をすすめているPCR検査センターに対し、東京都が全面的な財政支援をおこなうこと。ドライブスルー、ウォークスルー方式の導入を推進するために、要望があれば、都有地や都施設などを活用すること
▼東京都の責任で、医師が必要と判断した患者のPCR検査が保健所を通さずに行える仕組みを、一刻も早く都内全域で整備すること。保健所の負担軽減と体制強化のための支援を強めること
▼院内感染防止等のために、医療機関がおこなっているPCR検査に対し、医療保険の適用を全面的に認めるよう国に要望するとともに、実現までの間、東京都が全面的な財政支援をおこなうこと。介護、福祉、保育、教育等の現場で働く人たちが、公費で定期的にPCR検査を受けられるようにすること。すべての妊婦と、立ち会いを希望するパートナーが公費でPCR検査を受けられるようにすること
▼PCR検査の実施状況と検査結果の全体を詳細に公表し、7日間の移動平均とともに、日々のPCR検査陽性率を明らかにすること
▼PCR検査と並行して、東京都の財政負担で抗原検査、抗体検査の活用を積極的にすすめること。検体として唾液の利用を積極的にすすめること

② 新型コロナ患者に対応する万全な医療体制を確保するとともに、医療機関への財政支援を抜本的に拡充し医療機関を守ること。縮小を余儀なくされている医療体制全体の立て直しを急ぐ

新型コロナから都民の命を守る最前線にたっている医療機関と医療従事者の活動を、東京都が全面的に支援していくことが喫緊の課題です。
医療機関への財政的支援は、医療関係者の声と運動、日本共産党をはじめとした野党の要求で政府を動かし、国の補正予算でようやく実現しました。しかし、その内容は、対象でも規模でも、医療崩壊を止めるにはきわめて不十分です。東京都の支援も、現状では国の支援の枠内がほとんどです。すでに一部で始まっている医療崩壊を食い止め、医療機関と医療従事者を支え、都民の命を守るためには、抜本的な政策の転換が不可欠です。
特に重要なのが、重症・中等症の患者を受け入れる病床の確保ですが、東京では感染者を万全に受け入れるだけの医療体制が整備できていません。4月28日時点で、東京都内の病床使用率は92%となり、病床は逼迫(ひっぱく)しました。その後も、病床確保の遅れが抜本的に改善されているとは言えず、感染の第2波、第3波に備えるうえでも、対策は待ったなしです。東京都は、3,300床の病床確保を見込んでいると発表しましたが、これは医療機関への要請数であり、現場で実際に使用できる病床数ではありません。東京都は、病床確保の「見込み数」ではなく、実際に利用できる「実数」を都民に示すべきです。
病床確保の大きな障害になっているのが財政負担です。感染者受け入れのために病床を空けること、医師や看護師の特別の体制をとること等により、医療機関の経営は危機に直面しています。コロナウイルスとのたたかいに挑めば挑むほど病院が経営難となり、最悪の場合、病院自体が崩壊しかねないという実態が広範に広がっています。
一方、発熱を理由に医療機関での診療を断られる事例が増えており、救急の受け入れに長時間かかる深刻な事態も生じています。
新型コロナの対応に医療機関が力を集中せざるを得ないなか、通常の診療や検査を一部、縮小、停止している事態が続いており、救急患者の受け入れ中止や、健診の先延ばしなども広がっています。がんの手術ができず、代替手段として化学療法など他の治療法を選択せざるを得ない患者もうまれています。
医療機関における通常の診療や検査、手術、健診など、医療機能を一刻も早く立て直すために、東京都があらゆる支援をおこなうことが求められています。東京都は、医療現場の危機的な現状を直視し、医療供給体制の抜本的強化に取り組むべきです。

▼重症患者、中等症患者、無症状・軽症患者ごとに、新型コロナウイルス感染者受け入れ病床、宿泊療養施設を一刻も早く確保すること。移行期・蔓延期の医療体制確保も見据え、日本医師会が提唱している「コロナ専門病院」や「専門病棟」の設置をすすめること。感染者の診療とそれ以外の診療区域を明確に区別し、感染拡大防止策を徹底すること。東京都の全面的な財政負担で発熱外来の設置を促進すること

▼院内感染を防ぐための医療材料の確保、供給をすすめること。人工呼吸器、ECMO(エクモ)の確保とともに、医療機器の管理・運用のための専門スタッフの養成・配置を急ぐこと
▼東京都は、経営難、経営危機に直面している医療機関を守るため、財政支援を抜本的に強めること。島しょの医療体制を強化するために支援すること
▼今秋以降のインフルエンザの流行をおさえ、医療崩壊をくいとめるために、インフルエンザワクチンが十分に供給されるよう、国とともに準備をすすめること。同ワクチンの接種を促進するために患者負担をなくす財政措置を講じること

③ 感染対策の最前線にたつ医療従事者への支援を抜本的に強める

新型コロナの治療の最前線にたつ医療従事者は、常に感染の危険と向きあいながら、使命感をもって診療にあたっています。本人はもとより、高齢や病気などのリスクを抱える家族、子どもへの感染の不安から、家族との接触を減らしたり、ホテル等での生活を選択している医療従事者も少なくありません。また、医療従事者の子どもの保育の預かり拒否や、家族の出社拒否など、医療関係者とその家族に対する風評被害も広がっています。精神的にも、肉体的にも限界だという悲鳴が医療現場からあがっています。
一方、医療従事者への感染は、院内感染や医療崩壊に直結します。医療従事者を守り支える施策は待ったなしです。しかし、こうした医療従事者への国や都からの支援はきわめて限られています。新型コロナの治療にあたる医療従事者の安全対策、支援は政治の責任です。

▼医療現場での感染対策をさらに徹底するため、東京都は財政的、技術的支援をおこなうこと
▼新型コロナウイルス感染症の治療や検査等にあたっている医療従事者を対象にした「危険手当」の対象と額を大幅に拡充すること
▼医療従事者が、公費で定期的にPCR検査を受けられるようにすること

(2)都民の営業と雇用、くらし、文化を支える補償と支援を

外出自粛、休業要請が長引くなか、都民のくらし、営業は深刻な打撃を受けています。派遣切りなどで仕事を失い生活が立ち行かなくなる方、廃業に追い込まれる事業者も増えています。ネットカフェの休業で野宿の危険にさらされた方も少なくありません。人間として生きていくために必要不可欠な文化や芸術に携わる方々への支援も待ったなしです。
日本共産党都議団が、「自粛要請と一体で補償をおこなうこと」を繰り返し求める中で、感染拡大防止協力金や、理美容店への給付金が実現しました。さらに、NPO法人に対象を広げたことは一歩前進です。また、ネットカフェの休業などで住まいを失った方の住宅確保を、支援団体の方々とともに求め、東京都はネットカフェ等の利用者に対して、ビジネスホテル2,000室の確保を表明。ホテルの利用者は5月17日までで、のべ966人となりました。さらに感染リスクの高い無料低額宿泊所の相部屋の利用を原則にするという東京都の姿勢を「原則個室」との方針に転換さえたことも大きな成果です。
今後も、特に生活基盤が弱い方々が生活に困窮し、孤立し、さらに追い詰められていくことが予想され、くらしと営業への本格的な補償がいよいよ求められています。
しかし、東京都は補償を拒み続けています。協力金もその対象事業者は、都内中小企業、個人事業主の約3割にすぎません。都民のくらし、営業を守り抜き、感染症を克服するためには、補償の対象と規模を抜本的に拡充することが強く求められます。
東京都は、いまこそ「住民の福祉の増進」という地方自治体の本来の役割を発揮し、すべての都民のくらしと営業を守る本格的な補償に足を踏み出すべきです。
以下の点を東京都に求め、実現のために全力をあげます。

▼感染拡大防止協力金の対象業者の線引きをやめ、「緊急事態宣言」のもとでの休業等により減収になっているすべての中小企業、個人事業主等に協力金を支給すること。その際、協力金は、申請の段階で支給し、審査は支給後とするなど、迅速に支給するよう改善すること。家賃やリース料など固定費に対する本格的な補償に踏み出すこと。ライブハウスやバーなど、利用を避けるよう都知事が名指しした事業者には、特段の支援をおこなうこと
▼緊急融資は、迅速に執行するなど、営業を守り抜くためのあらゆる措置をとること
▼生活が困窮している学生・院生や若者、低所得世帯への家賃助成、学生・院生への緊急給付型奨学金、非正規労働者、フリーランス等に対する生活費の補償をおこなうこと
▼都立大学、都立専門学校の授業料を半額免除すること。私立学校(小中高校)で、必要な授業料等の減免を行えるよう、都として各学校の減免制度への補助率を上げるなど、支援を拡充すること
▼住民基本台帳に登録されていない方、東京都が提供するホテルに滞在している方、DVや虐待被害者にも、特別定額給付金がすみやかに届くよう、区市町村と連携して実効ある措置をとること。ホームレス状態にある方々などへの特別定額給付金に関する丁寧な情報提供および給付手続きを区市町村と連携してすすめること
▼文化・芸術への支援を抜本的に拡充すること

(3)福祉・介護、保育、教育など社会的インフラへの支援を
   ――すべてのコロナ対策に、ジェンダーの視点を

長引く「外出自粛」による行動制限、学校の休校、介護・福祉施設の介護・福祉サービスの縮小など、社会を支えるインフラ機能が大きく後退しています。生活を支える介護や福祉のサービスが途絶え、食事や入浴など基本的な生活が崩れている人も少なくありません。学校の休校が長引くもとでの、学習の遅れに対する対策が求められています。
「ステイホーム」の呼びかけのもと、DVや虐待など家庭内で暴力にさらされ、孤立している人々が増えています。NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」のアンケートによると、コロナウイルスの影響でシングルマザーの半数以上が収入減(48.6%)あるいは収入がなくなる(5.8%)という結果が出ています。
あらゆる場面で、ジェンダーの視点を取り入れたコロナ対策がきわめて重要になっています。長期にわたる感染症とのたたかいを見据え、学校や公共施設、福祉施設、災害時避難所など、生活のあらゆる場面で具体的な措置が求められます。

以下の点を東京都に求め、実現のために全力をあげます。

▼介護、福祉、保育などの現場で、感染の危険性に向き合いながら、社会的役割を発揮している方々の命と健康を守るための感染防止対策を抜本的に強化すること。利用者の減少等のため経営が困難に直面している介護・福祉施設、保育園等への減収補填をおこない、地域の介護・福祉機能を守り抜くこと。特別手当の支給など財政支援を強め、縮小している介護、福祉サービスの拡充をおこなうこと
▼ひとり親家庭に、臨時特別給付金を支給すること。東京都の児童育成手当を大幅に増額すること
▼生活保護の申請にあたっては、丁寧な支援をおこない、必要な人がすみやかに利用できるようにすること。申請手続きを簡素化し、オンライン申請を導入すること
▼TOKYOチャレンジネットにおける住居確保支援事業は、規定の期間で事務的に支援を打ち切ることなく、事業そのものを実態にあったものに抜本的に改善し、相談者一人ひとりの実情に合わせたていねいな支援をおこなうこと
▼女性や子ども、高齢者等に対する暴力、虐待を防止するための相談体制の強化、シェルターや居場所としてのホテルの確保、支援につなげるための広報活動の強化をすすめること。被害者に寄り添いかけがえのない役割を発揮している民間支援団体に対し、物資および財政の支援をおこなうこと
▼学校休校中は、学校が、子どもや親に寄り添い生活や家庭学習を励ますことを重視し、新しい内容の
習得は、学校再開後に学校で責任をもつこと。就学援助対象の家庭には休校中の昼食代を支給すること。オンライン学習環境を整備すること。学校再開後は、三密を避け、きめ細かい教育をおこなうため、少人数学級と必要な教職員の増員、施設整備をすること。感染防止対策の予算と人員をつけること
▼梅雨から夏にかけての水害や猛暑などの災害、震災等に万全の備えをおこなうこと。避難所の整備にあたっては、「密」状態を避けることをはじめ、感染拡大防止とプライバシー、ジェンダーに配慮した抜本的な改善をはかること。高齢者世帯、低所得者世帯などへのエアコン設置助成をおこなうこと

2. いま東京都政のあり方の根本が問われる
  ――効率・開発優先から、都民の命・くらし最優先への転換を

パンデミック(世界的流行)を引き起こした新型コロナウイルス感染症とのたたかいは、長期にわたることが予想されます。一度、感染がおさまったように見えても、国外、国内の他の地域から新たな感染が広がり、第2、第3の感染拡大をうむことも十分に考えられます。また、新型コロナウイルス感染症が収束したあとも、人類はまた新たな感染症の危険にさらされる状態が続きます。平時から、新たな感染症の流行に備え、医療機能の確保や、公衆衛生の向上と強化に努めることは、政治の責任です。
1994年、都内に71か所あった保健所は、現在、31か所にまで削減され、今回、「何度、保健所に電話をしても全く通じなかった」という声が数多く寄せられました。新型コロナウイルスの感染拡大は、自民党都政のもとで、経済効率最優先で公的医療が縮小され、保健所の統廃合など公衆衛生が後退させられてきたことによる「感染症に弱い社会」の実態を浮き彫りにしました。それにもかかわらず、小池都知事は、3月31日、「コストの見直しをさらに進め」「都の財政負担の軽減にもつながっていく」として、都立病院・公社病院を独立行政法人化する方針を決めました。
都立病院・公社病院、保健所、公共サービスの縮小・切り捨てから拡充へと、いまこそ政策の抜本的な転換が求められています。大型開発や道路建設最優先をあらため、都民の命とくらし最優先の都政実現へ、幅広い都民の皆さんとともに力を尽くしていきます。
東京都は、小池知事の了承のもとで、イギリスへ職員を派遣するなどしてカジノ誘致に向けた具体的な調査活動を強めています。新たにギャンブル依存症を生み出すなど、都民の命とくらしをさらに危険にさらすものであり、絶対に許されません。また、東京都は「国際競争力の向上」のためとして、東京一極集中をさらにすすめる羽田新ルートを積極的に推進しています。これは、巨大な旅客機が都心上空を超低空で飛行し、住民の命とくらしを脅かすものです。いま求められているのは、そうしたやり方ではなく、都民のくらしに直結した事業、雇用を応援していくことです。都民生活の維持と向上に必要な経済活動を、感染防止対策と並行してすすめます。

第1に、都立病院・公社病院の独立行政法人化の計画を中止し、都立病院・公社病院を、感染症医療も含めた都民の命と健康を守る拠点として充実、発展させていくことです。今回の新型コロナウイルス感染症の拡大を教訓に、緊急時の医療体制を想定し、都立病院・公社病院では平時から施設、設備、人員を確保し、医療スタッフの養成をはかります。また、感染症対策、公衆衛生の中心を担っている保健所についても、これまで統廃合で縮小されてきた機能を大幅に拡充し、新たな感染症に対応できるよう予算を大幅に増やすとともに、増設・増員をはじめとした体制の抜本的な強化をすすめます。新型コロナウイルスのPCR検査をおこなうなど、都民の命と健康を守る科学的・技術的拠点である東京都健康安全研究センターの機能を抜本的に拡充し、体制を強化します。

第2に、スウェーデンの国家予算とほぼ同じ規模の東京都の財政を都民の命と健康、くらしを守るために思い切って振り向けることです。感染拡大のもとで、長期にわたる経済の低迷にともなう税収減も予想されます。石原都政から小池都政に至る、これまでの都政運営は、都民サービスを切り捨てながら、大型開発や道路建設に財政を振り向けてきました。都民の命と健康、くらしが脅かされている今こそ、こういうやり方を改める必要があります。
公共事業の延期・規模の縮小、とりわけ超高層ビルを林立させて東京一極集中を加速させる巨大開発や、1メートル1億円もかかる外かく環状道路をはじめ住民合意のない大型道路建設への支出削減などが重要です。
日本共産党都議団が提案した予算組み替えでは、不要不急の大型開発や、大型道路建設などをやめれば、今年度だけで新たに1,278億円の財源が生まれることを明らかにしました。そのほか、外国人観光客誘致をはじめとした観光振興事業を今年度中止すれば、約200億円の財源が生まれます。これから着手する日本橋の首都高地下化は、総事業費3,200億円をこえるものです。カジノ誘致の検討や羽田新ルートはやめるべきです。日本共産党は、税金の使い方を抜本的に改めて、都民の命とくらし、中小企業、個人事業主の営業を守るために必要な予算を確保します。

第3に、教育、医療、介護、保育、障害者福祉などの公的サービスの充実をはかるとともに、文化や芸術を大切にし、都民一人ひとりに寄り添う都政を実現することです。今回の新型コロナウイルス感染症への対応で、自治体による公的サービスや社会インフラの重要性が改めて明らかになりました。文化・芸術活動の大切さにも光が当たりました。生活困窮者支援やジェンダー問題に取り組む支援団体が大切な役割を発揮していることにも注目が集まっています。これらそれぞれに焦点をあて、充実させる都政を実現します。

日本共産党は、「コロナ後」の東京の未来をみすえ、今あらためて東京都政のあり方を皆さんとともに議論し、幅広い都民と連帯し、希望ある新しい都政を実現していきます。

この記事をカクサン!