都議会の海外視察のムダ使いを告発します
──いまこそ浪費は やめるべきです
  

2005年5月10日
 日本共産党東京都議会議員団




 日本共産党都議団は、今年の第1回定例都議会において、海外視察の抜本見直しを提案しましたが、自民党、民主党、公明党、生活者ネットの各会派は、海外視察の見直しをすすめる意思を示しませんでした。わが党は、改めて海外視察の実態を明らかにし、都民のみなさんのかけがえのない税金の浪費をなくすために力をつくすものです。


1、この4年間の海外視察の実態はどうか


 都議会の海外視察をおこなう場合は、都民の税金を使うのですから、1)たんに見聞を広げるというものではなく、ほんとうに都民のための施策を充実するための意義があるかどうか、2)視察の効果が十分あがるような計画になっているかどうか、3)可能なかぎり経費を節約することになっているかどうかで、その是非を決める必要があります。
 この立場から、この4年間の海外視察の実態をみるとどうでしょうか。
 自民党、民主党がそれぞれ4回、公明党が1回の海外視察をおこないました。その「視察」先のほとんどはヨーロッパとアメリカで、費用は、総額5645万円、1人平均148万円、最高は1人あたり218万円(2004年度の民主党)にもなっています。普通の都民の海外旅行なら、1人あたり20万〜30万円、せいぜい50万円くらいです。それに比べて、いくらなんでもお金をかけすぎています。
 自民党は、毎年6人前後、4年間に23人の視察団を海外に派遣、平均1人あたり128万円の費用をかけています。民主党は、毎年3人、4年間で12人の視察団を派遣、1人あたり182万円かけています。公明党は、2002年に3名の視察団を派遣、1人あたり167万円かけています。
 以下、その視察の実態を吟味し、その是非を明らかにします。

(1)自民党、民主党、公明党が強行している海外視察は、
   税金を使ってまで実施する意義はほとんどありません

 まず、視察の中身です。
 各党の海外視察報告書やテレビ報道などを見たかぎり、全体として、観光旅行的な要素がつよいものです。調査事項も、多くは日本でも書物やインターネットなどでの調査、大使館に問い合わせればわかるような内容です。あえて多額の公費を使って視察をおこなう意義もなければ、効果があがるように練られたものでもありません。

1)テレビ報道で明らかになった海外視察の実態

 2003年11月の自民党のミラノ・ロンドンへの視察を密着取材したとして、同年12月に、日本テレビの「報道特捜プロジェクト」が、視察の実態を放映しました。これによると、一行は11月22日、この日の宿泊先である5つ星(※注 )のホテル「エクセルシオール・ガッリア」に到着。その後、貸しきりの大型バスに6人が乗って別の5つ星ホテルに移動、フルコースのディナーをとりました。翌23日、計画書では、終日、観光産業とLRT(路面電車)など交通政策の視察をやることになっていましたが、午前中に行った先は、イタリア最大のゴシック建築、大聖堂「ドゥオモ」。次がレオナルド・ダ・ビンチ国立科学技術博物館、そしてサッカー場や競馬場でした。なんのことはない、ただの典型的なミラノ観光コースを廻っただけでした。番組は、帰国した都議を成田空港で直撃、リポーターが「観光旅行ではないかという批判がありますが」とマイクを向けると、1人の都議が「とんでもない話。朝から晩まで勉強、勉強で。調査、調査で」などと答え、別な都議は「観光もしましたか」と聞かれ、「しない、しない。疲れたくらい一生懸命やってきた」などと答えています。 
 テレビ報道にはありませんが、報告書によれば、この日の午後、調査目的であるLRTを視察したが、たんに乗車しただけでした。夕方は「パークアンドライド」のための駐車施設(都心部の渋滞を緩和するため、都心部の入り口まで車で来た市民がLRTに乗りかえる場所)を視察したものの、日曜日だったため、駐車台数が少なく、ウイークデイのラッシュ時の混雑緩和の効果などを見極めることができなかったという、おそまつな視察結果が示されています。
 テレビ報道を見た都民から「税金どろぼうと言うより外にない」「都民の税金は自分たちの小遣いなのか」などという怒りの声が殺到したとのことです。

  • ※注 = 外国人が宿泊するホテルのほとんどは1つから5つの星によってランク分けされており、5つ星は最 高級ホテル。


2) 「調査」時間は1日平均わずか2時間30分。「カジノ調査」に2泊の視察も

 視察報告書などで調査にあてた時間や場所など、いくつかの実態を見てみましょう。

◆2002年1〜2月の民主党のオランダ・ロンドン視察は、1日あたり「調査」時間は、2時間30分にすぎません。

◆2002年10月の民主党のアメリカ視察では、サンフランシスコに3泊していますが、視察場所はサンフランシスコジャイアンツのホーム球場、シリコンバレーの博物館(コンピューターに関する技術を集めた博物館)、再開発でつくられた「ピア39」という観光施設の3カ所だけです。きわめつけは、カジノ調査でラスベガスに2泊したことです。視察場所は、写真によればディーラー(ルーレットのチップやカードを配り仕切る人)養成所、ディーラー専門学校、コミュニティカレッジ、ラスベガス施設内となっていますが、報告書を見たかぎりでは、わざわざ現地に行かなくとも、日本で調べればわかるようなことが書かれているだけで、賭博の現場に足を踏み込んだことが最大の「視察の効果」としか言いようがないものです。

◆2002年11月の自民党のヨーロッパ視察でも、モンテカルロに2泊してカジノ調査をしていますが、報告書のその部分はわずか2ページ、日本にいてもわかる程度のものにすぎません。賭博場で2日間、何をしてきたのか、ほとんどわかりません。

◆2002年9月の公明党のヨーロッパ視察では、報告書によれば、コペンハーゲンでの2日間のうち1日は視察の受け入れやレクチャーを担当する人物と会って話を聞いていることが書かれています。翌日の土曜日のコペンハーゲンと日曜日のミュンヘンでは、通訳もつけず、公共施設を観光的に廻っただけとしか思えません。

(2)視察費用は、ムダだらけ

 費用の内訳を見ても、都民の税金にもかかわらず、人のお金だからやりたい放題といわんばかりで、少しでも節約しようという意思はまったく見られません。

1)航空運賃について
 
 都議会の海外視察の航空運賃は、ビジネスクラス(ファーストクラスとエコノミークラスの中間の価格)を利用しています。ビジネスクラスの運賃の場合、往復割引券を買うとどれでも3割程度は割引がおこなわれます。ところが、この4年間行なわれた海外視察は割引をほとんど利用していません(利用したのは1回のみ)。このため、6回も行ったヨーロッパへの視察では、航空運賃だけで、なんと1人平均84万円もかけているのです。税金を使っての視察である以上、少しでも安くあげるべきなのに、節約の立場がまったくみられず、税金のムダ使いといわれても仕方ありません。

2) 添乗員、通訳、専用車などの経費について

 添乗員、通訳、専用車などの経費も、常識をこえた高額なものです。
 たとえば、日本の添乗員の費用は普通1日2万〜3万円前後といわれています。しかし、ほとんどの視察で1日5万円以上、なかには1日15万円近い費用を支払っているケースもあります。
 また、マイクロバスのチャーター料も1日16万円、のべ9日間で120万円という費用を払った視察もあります。物価の高い東京でさえ、1日6〜8万円で運転手付の大型マイクロバスをチャーターできます。旅行会社のマージンが入っていたとしても常識を超えた高額なもので、許されるものではありません。
 海外視察を請け負った旅行業者の企画料・手配料などマージンがいくらなのかは明らかにされていませんが、実際にこれだけ高額な料金を払ったとしたら、およそ都財政についてあれこれいう資格さえ疑われます。そうでないとしたら、差額はどこに消えたのか明らかにすべきです。
 こうした例をあげると次のとおりです。

◆2002年2月の自民党のシンガポール・ベトナム視察では、ベトナムにおける経費が驚くほど高額です。ベトナムでの平均的月収が1万円前後なのに、現地添乗と通訳の費用として1日6万円前後も払ったことになっています。ベトナム人の日本語ガイドは1日2500円程度、通訳でも高くて4000円程度といわれており、あまりにも高額すぎます。マイクロバスも1日4万円もの料金になっていますが、現地ではこれだけあれば、1人に1台のベンツを雇ってもおつりがきます。

◆2003年11月の自民党の視察では、日曜日の観光施設めぐりやLRT(路面電車)乗車などで通訳がわりにもなる添乗員がいればすむのに、添乗員に加えて通訳が1日つき、3万5000円支払われたことになっています。添乗員には、ミラノで1日あたり10万8000円、延べ3日間雇って32万6000円も払われたことになっています。このときの通訳の費用は1日あたり3万5000円〜4万7000円と通常より少し高めですが、添乗費用はこれと比べてもあまりにも高すぎます。

◆2004年2月の民主党の視察では、1日の添乗員費用がロンドンで7万7000円、ストックホルムで14万8000円、フランクフルトで7万円にもなっています。専用車も1日10万円近くになっています。また、2月8日の日曜日は、観光環境調査と銘打って、エジプト博物館、ペルガモン博物館、ベルリンの壁、カイザー・ビルヘルム記念教会などの観光施設を廻っただけで添乗員だけでいいはずなのに、わざわざ通訳がついているのです。

◆2004年10月の民主党のヨーロッパ視察では、初日の夜、ベルリンに着いて入国手続き援助とホテルへの案内だけの添乗員に3万8000円、翌日以降のベルリン市内における1日の添乗は9万5000円、マイクロバスも1日16万円も支出したことになっています。パリでは1日13万1000円の添乗費用と15万円以上のマイクロバス代を払い、のべ9日間の全日程でマイクロバスのチャーター料がなんと120万円もかかったことになっています。



2、自ら税金のムダ使いをおこなう都議に、都政のムダ使いを正すことはできません

 こうして自民党、民主党、公明党の海外視察の実態は、ムダ使いの最たるものと言われても仕方ないものといえます。
 日本共産党都議団は、「観光旅行」「大名旅行」と都民の批判がつよい海外視察の抜本見直しをくりかえし提案し、93年以降、海外視察への参加をとりやめてきました。しかし、その後マスコミでも「観光旅行」などと大きくとりあげられ、都民の批判がつよまるなかで、ついに1997年3月の都議会各会派幹事長会で「当面自粛」が確認され、2000年までの4年間、海外視察が中止されました。ところが、2001年度以降、自民党、民主党、公明党、生活者ネットがそれまでの都議会としての超党派の視察から会派ごとの視察に形を変え、海外視察を強引に再開しました。会派ごとの視察に変えたのは、「会派で足並みをそろえていくという『調査会方式』では、足並みがそろわないと実施しにくいというマイナス面がある。だから、すべての会派が参加、横並びで行くのではなく、会派が自己責任で判断・実施し、結果についても責任をもつ、といった方法がよい」(2001年2月「都議会のあり方検討委員会における検討結果について(最終報告)」)からだといっています。つまり、日本共産党がいっしょだと注文をつけられて視察を実施しにくいから、自分たちだけで行こうという、とんでもないものです。また、毎年、各会派からだされた海外視察計画は、議会運営委員会理事会でその是非が検討され、日本共産党だけが反対、自民、民主、公明、生活者ネットの各会派の賛成で実施されてきました。
 会派ごとの視察になってから、視察の内容はこれまでにもましてひどいものになりました。たとえば、この4年間に、ロンドンは4回(うちドッグランド地区3回)、ベルリン3回、ニューヨーク2回、パリ2回、ストックホルム2回などと重複が目立ちます。また、職員の同行がないため、通訳、ガイド、車の手配などが旅行会社に委託され、議会には旅行会社の領収書のみが出されることになり、不明朗性が増しています。しかも、高い費用をかけて海外視察に行っても、その「成果」を都議会の質問に生かした形跡はほとんどないといっても過言ではないのです。
 都議会の海外視察の費用は都財政の大きさからみれば少ない額かもしれません。しかし、ことは都議会の政治姿勢にかかわる大問題です。いま、都政では、「臨海開発」の2兆円規模のムダ使いをはじめ、浪費を是正し、都民のために税金を使う地方自治体本来の施策がもとめられています。そうしたときに、税金の使われ方をチェックすべき都議会自身が都民の血税の浪費をつづけていいのかが問われています。自らの浪費もただせない政党、議員に都政のムダ使いをただせるはずがありません。
 自民党、民主党、公明党は、海外視察のムダ使いをただちにやめるべきです。