国に7・6億円賠償命じる 第二次新横田基地公害訴訟 団長が急逝「思い受け継ぐ」

 横田基地の周辺住民1000人余りが米軍・自衛隊機の夜間早朝の飛行差し止めなどを求めた第2次新横田基地公害訴訟で6日、控訴審の判決が東京高裁でありました。国に総額7億6875万円の損害賠償を命じたものの、住民が強く求めた飛行差し止めや将来にわたる損害賠償は認めませんでした。急逝した原告団長らの思いを受け継いだ「今度こそ、静かな暮らしを取り戻せる判決を」の願いは、かないませんでした。    (荒金哲)

 「事務局長、団長の遺影とともに法廷に入った。二人のためにも、画期的判決を望んだが、かなわなかった。何としても思いを受け継ぎたい」―判決を受けた報告集会で、原告団事務局長の奥村博さんは、悔しさをにじませました。
 原告団の前事務局長だった清水幸一さんは、控訴審の最中だった昨年8月、闘病の末に死去。今年2月には、原告団長の大野芳一さんが病気で急逝しました。
 関島保雄弁護団長は、取材に「大野さんは40年来、基地被害とともにたたかってきた仲間で、大野さんなしに横田の訴訟はあり得なかった。二人は訴訟の二本柱で、今日の判決に立ち会わせてあげたかった」と振り返りました。

将来請求を認めず
 控訴審の判決は、騒音で受忍限度を超える損害が発生しているとして、従来の判決より賠償額を増額した一審判決を維持する損害賠償を国に命じました。
 その一方、夜7時から朝7時の飛行差し止め、将来にわたる損害賠償請求(将来請求)は認めませんでした。
 将来請求は、過去の被害についての損害賠償を何度も勝ち取ってきた原告らが、「将来にわたって被害を救済することで、もう、裁判の繰り返しをしなくてもよい判決を」と強く求めていたものです。
 横田基地で、米軍基地をめぐって全国で初めて国に損害賠償を求める裁判が始まったのは、1976年。 その訴訟で、原告団事務局長を務めたのが大野さんでした。1996年には、約6000人の住民が、第一次新横田基地公害訴訟を提訴。2013年に大野さんが団長として提訴したのが、今回の第二次新訴訟です。
 大野さんは、今回の控訴審の最初の弁論(18年5月25日)で「最初の裁判を起こしたとき、この年齢になっても、被害に苦しみ続けるとは思いもよらなかった」と振り返りました。
 今年1月31日の最終弁論では、「何度、損害賠償の判決を勝ち取っても、騒音はさらにひどくなっている。裁判所は現実を直視し、今度こそ、訴訟を起こし続けなくてよい判決を出してほしい」と訴えました。

最終弁論は「遺言」
 大野さんは、体調を崩して、最終弁論から1カ月足らずで急逝。判決を迎えるにあたっての課題をメモに残すなど、最後まで裁判の今後を考えていたといいます。弁護団、原告団のメンバーは「最終弁論は、まるで大野さんの遺言のようだった」と口をそろえます。
 控訴審判決では、原告らが新たに訴えた、オスプレイによる低周波騒音について、国による大規模調査が望ましいと踏み込みました。その一方、賠償金額や、対象範囲、将来請求などについては、一審の内容を引き継ぐにとどまっています。
 判決を受けた声明で原告団、弁護団は、大野さん、清水さんのように提訴後に亡くなった原告も少なくないと指摘。「ごく当然の願いを実現するために、人生の多くの時間と労力を裁判に費やさなければならず、しかも何十年たってもそれが実現しない現状に憤りを禁じえない」と厳しく批判しました。
 報告集会で、関島弁護団長は、「賠償の内容は一審と同じでも、私たちが裁判で主張してきたことは、判決に盛り込まれている。一つひとつ、道を開くことが、将来請求にもつながっていく」と決意を述べました。

横田基地 相次ぐ飲酒事故 都と自治体「住民の不安増大」
 横田基地の関係者による飲酒運転事故が相次いでいるとして、都と基地周辺自治体でつくる連絡協議会が5月30日、同基地と防衛省北関東防衛局に再発防止などを求める要請書を提出しました。
 要請書によると、5月27日に、横田基地所属の人員が、千葉県内で酒気帯び運転で物損事故を起こしました。日本の警察が対応したといいます。
 横田基地では、5月12日に、所属の軍人が酒気帯び運転で、福生市内のガソリンスタンドのフェンスに車をぶつけた後、さらに羽村市内の電柱にもぶつける物損事故を起こし、逮捕されたばかりでした。この事故の際にも、都と周辺自治体は国や米軍に再発防止策を求めていました。横田基地は、広報部長名で「今後、同じような事故が起こらないよう、空軍兵を教育していく」とするコメントを出していました。
 要請書では、「酒気帯び運転による事故という、非常に危険かつ悪質な事故が短期間に再度起きたことは、基地周辺住民の不安を増大させる」と厳しく指摘。「これまでも再発防止等を要請してきた経緯を踏みにじり、住民感情の悪化を招きかねない」として、「きわめて遺憾」という強い言葉で、自治体の懸念を伝えています。そのうえで、基地外での飲酒の禁止等の具体的な再発防止策などを要請しました。