LGBT当事者「理解なく、悲しい」 自民都議人権条例めぐる発言に批判

LGBT当事者「理解なく、悲しい」 自民都議人権条例めぐる発言に批判
 都議会第3回定例会(10月5日閉会)で可決された人権尊重条例の審議で出された、自民党都議のLGBT(多様な性)をめぐる発言に批判が上がっています。傍聴した都民からも、「悲しい」「杉田水脈衆院議員の『生産性がない』に重なる」などの声が出された、発言の問題点は―。
 
 
 人権尊重条例(東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例)は、「いかなる差別も許されない」として、性自認や性的指向を理由とする差別を禁止。外国人を中傷するヘイトスピーチを防止するため、知事が公共施設の利用制限の基準を定めるなどとしています。自民党が反対し、都民ファースト、公明党、共産党などの賛成多数で可決しました。
 
 自民都議の発言があったのは、10月2日の総務委員会です。
 
 発言した鈴木章浩都議(大田区)は、それまで厚生委員会の委員だったのが、突然、委員を差し替えて、総務委員会の所属になりました。鈴木都議は、2014年6月、少子化対策を質問した女性都議に「早く結婚した方がいい」などのセクハラ野次が問題となって、一時、自民会派を離脱した過去があります。
 
 鈴木氏の発言で、特に大きな批判があがっているのが、LGBTへの理解を深めることが、日本の家族観、結婚観も揺るがせかねないかのような発言です。
 
 鈴木氏は、同性カップルを公的なパートナーと証明する条例を持つ渋谷区で、LGBTへの理解を深める教育をすることに「現場の先生、PTAから、子どもに異性愛も同性愛も同じというような意識を植えつけていく教育というのが果たしてどうなのかという意見があがっている」と発言。「LGBTの方々の理解を超えた普遍的愛の考え方として、教育することは、日本の家族観、結婚観も揺るがせかねない内容になる、議論が大事だといわれている」と述べました。
 
 言葉を引用した形を取りつつ、LGBTの人の愛が「理解を超えた」ものであり、「日本の家族観や結婚観も揺るがせかねない」という内容です。
 
 鈴木氏はさらに、「男女の婚姻関係と同性カップルは全く異なる。婚姻制度は、子どもの心身ともに健全な発育を図るため、婚姻関係が簡単に壊れない関係になっている」と述べています。婚姻と子どもの発育を結び付けた、この発言にも、自民党衆院議員で、「(LGBTの人は)子どもを作らない、つまり『生産性』がない」と寄稿して批判を浴びた杉田水脈氏と、「同じ発想を感じる」との指摘が出ています。
 
 
重く受け止めよ 共産党が批判
 注目された委員会審議は、多くの都民も傍聴しました。傍聴者の一人で、LGBTの当事者として活動する増原裕子さんは、「男女の関係と、同性カップルは『まったく異なる』と言われていますが、私たちはたまたま性が異なるだけで、同じだと考えています。そうした性の多様性への理解が感じられません。今回の条例が、当事者の苦しみ、悲しみを少しでも減らすことにつながることを願い、傍聴していたのに、悲しく残念です」と話します。
 
 共産党都議団は定例会終了後の談話で、自民党の姿勢は、「人権尊重のよりよい条例をつくろうという前向きな姿勢とかけ離れている」と批判。鈴木都議の発言に多くの批判が寄せられたとして「重く受け止めるべきだ」と述べています。