追い込んだ市民と議会共闘 高橋狛江市長がセクハラ辞任へ
 全国の注目を集めた狛江市長のセクハラ疑惑。共産党の議会追及で発覚してから3カ月近く、否定し続けてきた高橋都彦市長(66)が5月23日、ついに辞職を正式に表明しました。被害女性4人の実名による抗議が辞職への決定打となりましたが、そこまで追い詰めた背景には、市政史上まれな超党派による追及と市民との共闘がありました。(長沢宏幸)

容認続けた自民、公明
 「謝罪の言葉も口にされない市長の下では、私たちは一緒に働くことができません。事実を明らかにし、被害を受けた職員に、まずは公に謝罪することを望みます」
 
 高橋市長の会見(5月21日)を聞いた、被害女性職員4人が「もう我慢できない」として、会見翌日に連名で出した抗議文です。これを受け取った高橋市長は、「これ以上、市政を混乱させられない。受け手がセクハラだというのであれば認めざるを得ない」と辞意を表明するに至りました。
 
 被害女性の怒りをかった会見。市長は「セクハラの言動をした覚えは一切ない」とした一方、市の内部調査で新たな被害女性2人を確認したことに関連して、「誰であるか容易に想像できる」「思い込みの激しいタイプ」などと発言。被害者への謝罪もありませんでした。
 
 セクハラ問題に詳しい青龍美和子弁護士は「セクハラは被害者を精神的に傷つけ、人格権の侵害であり、市のトップとしての責任は極めて重大です」と指摘。市長が会見で本人に会って話せば誤解が解けるなどと弁明していることについて、「財務省の前事務次官と同じで、2次、3次の被害を生むことになり、あり得ない。高橋市長にはセクハラの認識がなく、今後も繰り返すのではないか」と、あきれた様子で話しました。
 
発端は共産党の議会追及
 高橋市長のセクハラ問題は、体を触るなどのセクハラ行為で複数の職員からの相談内容が書かれた内部文書を入手した、共産党市議団の議会追及(3月1日)で明らかになりました。
 
 文書には「口をつけたコップで何度も飲むことを強要された」「エレベーター内でお尻を触られた」「宴席で肩や胸を触られて困っている」などの被害が記されていました。質問に立った西村あつ子市議は、黒塗りされた役職名が2文字であることから「市長ではないか」と追及しました。
 
 その後も、共産党市議団は共産党(3)、生活者ネット(1)、民進(1)、社民(1)の女性市議6氏でつくる「女性議員有志の会」の結成に尽力し、同メンバーや市民とともに、署名活動に取り組むなど、議会内外で市長を徹底追及してきました。
 
 共産党市議団は市長の辞意表明を受けた談話で、「誠実に向き合う姿勢がまったく見られない」と批判。「セクハラ行為を率直に認め、職員と市民にきちんと謝罪し、ただちに辞職を」と求めています。
 
 市民と女性議員有志の会でつくる「高橋市長のセクハラ問題の幕引き許さず、真相解明・再発防止へ」実行委員会の周東三和子委員長は、「市長は最後までセクハラ行為を認めなかった。憤りを禁じ得ない」とのべています。
 
共同枠組みで市政転換
 与党の自民党・明政クラブ、公明党は、高橋市長を一貫して擁護。共産党や生活者ネットが提案した辞職勧告決議案や強力な調査権を持つ百条委員会の設置を求める動議に反対し、議題にすること自体を拒みました。
 
 一方、高橋市長が幕引きを狙って提案した自らの給与2カ月間、20%の減額処分には賛成。市民の批判が高まる中でも沈黙し、事実上、市長のセクハラ行為を容認する態度に終始しました。
 
 自民、公明が支える市長をめぐっては、バカラ賭博で巨額の借金を負った石井三雄氏が1996年に辞職、失踪。その後の市長選で、市民から推された矢野裕氏(共産党市議)が当選した経緯があります(矢野市政は4期16年)。高橋市長が辞職すれば、石井氏に続く、不祥事による任期途中の辞職となり、自民、公明の責任が改めて問われます。
 
 高橋市長は、市議会定例会が開会する6月4日に辞職するとみられます。市長選は50日以内に行われます。
 
 市長を追及していた超党派の女性市議らは、市長選も同じ枠組みで取り組みたいとの意向を示しています。
 
我慢できないと被害女性
 抗議文は被害を受けた女性職員4人が、5月22日、連名で市長に提出。市長の記者会見(5月21日)での発言は、「職員を守るべき立場の人の発言とは思えず、とても憤りを感じた」と批判。「勇気をふるって証言をした職員に対し、『思い込みが激しい』『トラブルを起こす』など、市長としての発言とはとても思えず耳を疑った」とのべています。
 その上で、「私たち4人が市長から以下のセクハラを受けたことは事実」だとして
▽車内で手を握られた
▽宴席でお尻を触られた
▽市長の公用携帯電話から、仕事と関係のない不愉快なメールを送られた
▽随行先で1時間に渡り、腰に手を回されたり、お尻を触られ続けた
▽エレベーター内で腰を引き寄せられ、体をぴったりとつけられた
▽このような行為が1年に渡り続いた
―と告発。
 
 セクハラ被害を受けるたびに、副市長や職員課・相談員に相談したと述べています。
 
 そして、今までは沈黙していたが「もう我慢できません」とし、「謝罪の言葉も口にされない市長の下では、私たちは一緒に働くことができません。事実を明らかにし、被害を受けた職員に、まずは公の場に謝罪することを望みます」と訴えています。