2018年度 東京都予算案について~大山とも子・都議団幹事長の談話

東京都の2018年度予算案について、日本共産党東京都議団の大山とも子幹事長が発表した談話(要旨)をご紹介します。

2018年1月26日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 大山とも子

本日、2018年度の東京都予算案が発表されました。

この中には、わが党の要望・提案をはじめ都民要求を反映した施策の前進が盛り込まれましたが、石原都政以来つづく大型開発偏重の予算の基本的構造は変わっていません。

(1)予算案の問題点について

都政の大きな焦点となっている市場問題で、小池知事は都議選の時「都民の食の安全と安心を守る」「築地は守る」と約束しましたが、その後、公約違反を重ねています。

今回の予算案も豊洲移転前提となっており、築地市場の敷地内にオリンピックの輸送道路と位置づけられている環状2号線を通すための用地取得費約100億円が計上されています。

しかも、1メートル1億円の外かく環状道路建設、住民の反対の声がひろがり5件もの裁判が起こされている特定整備路線などの大型道路建設は、ひきつづき推進されています。

わずかに補助98号線の廃止がもりこまれましたが、大手町~日本橋間の110メートルにすぎず、もともと廃止にむけた見直し対象にされていたものです。事業認可された路線の廃止もふくめた抜本的な見直しが必要です。

都民世論に加えIOCからも経費削減がきびしく求められているオリンピック・パラリンピック東京大会準備では、今年度比2.3倍の1,146億円が計上されました。今後2020年までに大会関連の都の負担額は約1兆4千億円にものぼるとされており、いっそうの経費削減が求められます。

日本体育協会やJOCの事務所が入っている岸記念体育会館の土地を、都立公園用地として購入する用地取得費および補償費123億円が計上されていますが、用地購入にいたる不透明な経過の全面的検証と情報公開が必要です。

実際にどれぐらいの寄港があるかという見通しもない大型客船用のふ頭整備に、116億円もの巨額が計上されています。

「国際金融都市」の名で、都民の貯蓄や資産を、リスクをともなう投資に使わせるために、金融事業者を支援したり賞金を出す事業も見過ごせません。

非正規労働者の正規雇用への転換を促進するため実施されてきた都の上乗せ補助が廃止されます。

福祉では、都立東村山ナーシングホームが廃止されます。都立病院については、都立直営の見直し・地方独立行政法人化をふくむ経営形態のあり方検討予算が1億6千万円計上されました。

都営住宅の新規建設は、石原都政以来なんと19年間連続ゼロのままです。
シルバーパスの負担軽減と多摩モノレールや都県境バス路線などへの適用拡大も具体化されていません。
都民の切実な願いである小中学校の少人数学級の前進も、盛り込まれていません。

(2)前進面について

こうした中でも、施策の貴重な前進も少なくありません。

国民健康保険料(税)の負担軽減に向け、都独自補助に踏み出したことは重要です。しかし、6年間の激変緩和措置にとどまるものであり、予算額も不十分です。わが党は、より本格的な財政支援の実現にむけ、全力をつくすものです。

保育サービス、学童保育、NICU、特別養護老人ホームの整備目標が引き上げられ、特養整備費補助は今年度に比べ倍増されました。

こども食堂への運営費補助が新設され、児童相談所の児童福祉司・児童心理司などが40人増員されます。

障害者医療費助成の対象に精神障害者(1級)を拡大し、重度肝硬変・肝がんへの医療費助成が新設されます。福祉人材対策として、障害者福祉職員の確保・定着のため介護と同様の職員宿舎借り上げへの補助事業が実施されます。

教育の分野では、医療的ケアを必要とする子どもたちの通学保障が拡充され、肢体不自由特別支援学校全18校に専用のスクールバスが導入されます。

私立高校生の給付型奨学金は、通信高校などに対象拡大されます。

防災対策では、わが党がいっかんして求めてきた木造住宅耐震助成の対象地域の拡大が実現し、新たな予算7億円が計上されました。救急車が6台増強され、救急隊員も6隊60人が増員されます。

住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の家賃補助が新たに実施されます。

育休取得、生産緑地の活用・保全、農地の創出・再生、公衆浴場活性化などを支援する新規事業も貴重な前進です。

わが党は「多摩格差ゼロ」を掲げた小池知事の公約実現をつよく求めてきましたが、市町村総合交付金が550億円計上され、今年度比50億円増額されたことは、きわめて重要です。

島しょ支援でも、伊豆諸島南部地域において国制度で実施されていた国内定期航空運送事業に係る運賃の負担軽減事業が、北部地域でも都の事業として実施されます。
また、大島町で深刻被害をもたらしている外来生物キョンの捕獲対策が拡充されます。

2018年度東京都予算案の予算規模は、一般会計で7兆460億円、全会計では14兆4,440億円とスウェーデンの国家予算に匹敵するものです。

わが党は、今後の予算議会をとおして、幹線道路建設をはじめとした不要不急の大型開発を抜本的に見直して、この巨大な財政力を全面的に生かし、都民のくらし・福祉充実を図るよう、予算案をきびしくチェックするとともに、予算組替をはじめとした建設的な提案・議論を行うものです。

以上

日本共産党東京都議団サイトより転載